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4月29日、EC店舗向けのSaaSを提供する「光雲科技(Raycloud)」がハイテク市場「科創板」に上場した。発行価格は10.8元(約160円)/株であり、約4.33億元(約65億円)を調達する。
光雲科技は2009年に杭州で設立され、アリババなどECプラットフォームに出店する店舗向けのSaaSを主要業務としている。同社はこれまでに300万以上の店舗顧客を持っており、うち有料サービスを利用しているのは100万店以上に上る。2019年の売上高は4.65億元(約70億円)だった。
光雲科技は収益力に優れており、EC向けSaaSのなかでは数少ない純利益が1億元(約15億円)以上の企業である。目論見書によれば、同社の2017〜2019年の株式報酬費用を除外した親会社に帰属する純利益は、それぞれ1億元(約15億円)、1.1億元(約16億5000万円)、1.12億元(約17億円)だった。
光雲科技はこれまで複数回の資金調達を行っており、アリババ系列の「阿里創投(Ali Venture Capital)」や「雲鋒基金(Yunfeng Capital)」、「同創偉業(COWIN CAPITAL)」、「賽富投資(SAIF Partners)」などが出資している。今回の上場によりEC向けSaaS企業が初めて中国のA株で上場を果たしたことになる。
中国のECにおける取引額は2019年の時点で30兆元(約450兆円)を超え、2018年時点でのアリババ、「京東(JD.com)」、「拼多多(Pinduoduo)」、「微店(Weidian、海外版は「Youshop」)」の4大プラットフォームのアクティブ店舗数は合計で1000万を超えた。競争が激しさを増すなか、店舗は効率向上とコスト抑制の必要があり、それに応えるべくEC向けのSaaS企業が登場した。
この分野では「有賛(Youzan)」、「微盟(Weimob)」が香港で上場しているが、両社ともSNSアプリ「WeChat」のエコシステムを中心に運営している。EC全体向けのSaaS企業のなかで上場したのは光雲科技が初である。
同業他社と比べ、光雲科技の最大の特徴は豊富なサービスを提供できるという点である。大半の企業がECの特定の部分に特化したSaaSを提供するのに対し、光雲科技は業務の全プロセスをカバーするワンストップ型のソリューションを提供できる。
光雲科技は、初期には中小店舗をターゲット顧客としており、「超級店長」という店舗管理SaaSを発表した。同サービスは商品、受注の管理、店舗情報ページのデザイン、データ分析など50以上の機能を持ち、アリババでは長年有料サービス利用者トップの座に君臨し、その後は各機能をより強化した細分化されたSaaSも発表された。
近年の光雲科技は大型店舗向けのサービスを強化し、「快麦」というブランドで統合基幹業務システム、顧客管理システム、店舗ページデザインシステムなどのSaaSを発表している。また、快麦ブランドのハードウェアとしてラベルプリンターも販売しており、快麦のSaaSと一緒に使用することで、ラベルの印刷速度が大きく高まる。アリババ傘下のEC「淘宝(タオバオ)」では、注文の7件に1件が快麦で印刷されたラベルを使用している。
光雲科技が手掛けている業務は競争が激しいものだが、同社が優位性を保ち続けられるのは、新製品と技術開発に余念がないためだ。同社の開発費は毎年数千万元(約数億円)に上り、売上高の20%近くを占める。
上場後の構想について、同社創設者である譚光華氏は次の数点を中心に展開していきたいと話した。
まず、主要業務の顧客をさらに増やすことである。アリババなど総合ECプラットフォームだけでなく、近年成長してきたデリバリー専門のプラットフォームや、ライブコマースに対応したサービスを展開していきたいという。
次に、すでに安定した運営を行っている店舗向けに、全プロセスをカバーする、より洗練されたソリューションを提供することである。
最後に、EC以外の業種の法人向けのSaaSの開発である。同社は2017年からこの分野の開発を始めており、現在アリババ傘下の企業向けコミュニケーションツール「釘釘(DingTalk)」のエコシステム内で5つの製品を開発済みだ。2019年の当該業務の売上高は1000万元(約1億5000万円)超となり、今年は新型コロナ禍のためにすでに前年同期比の5倍の売上高になっており、大幅な成長が見込まれる。
(翻訳:小六)
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