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月間アクティブユーザー5億人超の大人気ショート動画アプリ「TikTok(ティックトック)」は、今年3月と4月の世界モバイルアプリランキングでダウンロード数および売上部門の第1位となった。だが一方で、TikTokの収益化は依然として初期段階にあるため、先行者利益の獲得を目指すMCN(マルチチャンネルネットワーク)が次々とTikTokに参入している。
今年3月に設立されたばかりの「喫鯨MCN(Chijing)」は、中国では最も早くTikTokの公認を受けたMCNの一つだ。同社は主にTikTokアカウントの運用代行や企業向けの研修、統合基幹業務システム「TikTok MCN ERP」の提供などを手掛けており、現在の運用アカウントは100近く、総フォロワー数は数千万人に上る。同社は先ごろ、エンジェルラウンドで海外向けゲームプロバイダーの「百舟互娯網絡(Baizhou Interactive Entertainment)」から数千万元(数億円)を調達しており、資金を社内組織の拡充と海外フォロワー数の拡大に充てる方針を明らかにしている。
喫鯨MCNは現在、日用品を取り扱う企業のアカウント運用を主に代行している。主な顧客はサプライチェーンを完備した越境EC企業、TikTokの中国版「抖音(Douyin)」にアカウントを持ちつつ海外進出を目指す企業、商品の供給源が中国にある海外企業の3カテゴリーに分けられる。また、自社アカウントも複数運営しており、その総再生回数は1億回を超えている。
喫鯨MCNの創業者、吉翔氏は、中国国内にTikTokを対象とするMCNがまだ少ないのはTikTokが中国のユーザーアカウントからの投稿を制限しているためだが、同社は海外の担当部署のスマートフォンを通じて安定的にTikTokアカウントを運用できると強調する。
喫鯨MCNは、顧客企業と共にアカウントの設定からリモートデプロイメント、運用、決済まで一連のプロセスを完了するとともに、リモートマネジメントやアカウント運用に関する研修を企業に提供する。サービス適用期間は1〜3ヶ月、費用は6〜15万元(約90〜225万円)程度となっている。
吉氏は、中国のMCNが海外事業を手掛ける際には国内外の市場文化の違いに直面することも多いが、喫鯨MCNは国際的な知的財産権と食品安全に関する基準に合わせた商品管理を実施する方針だとしている。
喫鯨MCNは自社の統合基幹業務システム「TikTok MCN ERP」に商品選択の基準を設けている。同社は、基準に適合した商品のデータを商品供給ERPシステムに蓄積するとともに、同社が企画制作した動画をTikTokが運営する広告配信プラットフォーム「TikTok Ads」で配信し、自社サイトやアリババ傘下の海外向けECサイト「AliExpress(全球速売通)」に誘導することにより利益を得る。
喫鯨MCNはTikTok Adsへの広告配信やショート動画の企画・制作などを手掛けると同時に、インフルエンサービジネスにも注目し、海外のTikToker(ティックトッカー)育成を進めている。
吉氏によると、喫鯨MCNは設立以前から多くの顧客にサービスを提供しており、TikTokアカウントに関する豊富な運営経験に加えて、優れた管理技術という強みもある。同社は現在、各アカウントのフォロワー拡大を主な業務としているが、TikTokのショッピングカート機能のテスト導入にも参加しており、ここでも先行者利益の獲得を目指している。
(翻訳・田村広子)
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