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中国大手ECサイト京東(JD.com)傘下の物流会社「京東物流(JD Logistics)」は、地方の小規模な都市でも受注後24時間以内の配達を目指す「千県万鎮24小時達」物流戦略を今年さらにバージョンアップすると発表した。これは地方都市や県・鎮に新たな物流インフラを建設し、農村部の配送能力とサービス効率の向上を目指すもので、この取り組みにより24時間以内に配達できる地方自治体がさらに増えることになる。
京東物流はこの物流戦略に基づいて、今年中にスマート物流倉庫「アジア1号(亜洲一号)」12カ所の運用開始を計画している。この12カ所は東北にあるハルピンや瀋陽などの省都、河北省廊坊や四川省広漢など物流中枢都市に建設され、いずれも二級~五級都市だ。さらに都市型倉庫や中継倉庫の新築・増築も13件予定しており、配送拠点を地方都市に広げていく考えだ。
これらの都市型倉庫や中継倉庫では四級以下の都市からの受注が最高90%を占める。倉庫の拡張が完了すれば、商品充足率と24時間内配送エリアのカバー率が大幅に向上するとみられる。
「これまでに運用を始めた20カ所のアジア1号は、大部分が北京や上海、武漢、西安など全国八大物流中枢の一級~二級都市にある。今後は地方都市へと裾野を広げ、二級~四級都市にもスマート物流を浸透させていくつもりだ。これは我が社が物流インフラの建設を進めていく上で重要な方向性ともなっている」と京東物流の責任者は語る。
京東物流は日用消費財にフォーカスし、地方都市の販売業者とリソースを統合してVIM(ベンダー主導の在庫管理)モデルやオンライン・オフライン一括棚卸しの導入を進めていく考えで、オンライン注文のフルフィルメント業務を近場で行うことによりコスト削減と効率化を図る。さらにサプライチェーン、宅配便、コールドチェーンなどの業務でも積極的に地方進出を進め、全国の重点工業地帯22カ所に向けたオーダーメードのサプライチェーン・ソリューションを提供していくという。
注目に値するのは、京東物流が巨額を投じて建設した自前の物流インフラが、新型コロナウイルス流行期間中に大活躍した点だ。多くの宅配業者が業務を停止し、物資の供給や消費ニーズが爆発的に増加する中、京東はかなりの量の物流を請け負った。
京東の2020年第1四半期(2020年1~3月)決算では、フルフィルメント費用の割合がいくらか増加したが、これは倉庫物流のコストが104億元(約1570億円)とかつてない額に膨れ上がったことに起因する。とはいえ、配達1件当たりの物流コストは減少傾向にある。
京東の黄宣徳CFOは財務報告会議で、同四半期に配達1件当たりのコストが過去最低になったことを明らかにした。黄氏は効率重視で物流事業を展開した結果が第1四半期の利益率だとした上で、今後も規模拡大を進めることでこの数字をさらに伸ばすことができるとした。
2019年8月に損益分岐点を超えてから、外部からの物流受託による収入が全体の40%以上を占めるまでに成長している。物流サービス事業者としての京東物流の進化はこの先も止まらないだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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