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スマートデバイスを得意とする中国の新興企業、「埃微健康(iWOWN)」が、心臓・血管疾患を病院外で検査するためのソリューションを開発した。手首に巻いて使用する「HB1体温血圧スマートバンド」は、体温を連続モニタリングしながら、血圧の動きや血中酸素の異常や不整脈に加え、睡眠の質もモニタリングできる。これらの機能に加え、心電図(ECG)モニタリングも可能なスマートウオッチも投入、中国でも数多くの患者が毎年発生する心血管疾患を、発作などに至る前に未然に発見、早期治療につなげる。
中高年になると最も心配な健康問題が心臓・血管の疾患だ。脂っこい食べ物は血管が詰まるのではないかと気をつかい、ずっと座っていると血管が萎縮するのではないかと運動もおろそかにできない。事実、心血管疾患は中国で発症率、死亡率とも最も高い慢性疾患だ。最新のデータでは、心臓血管に関する医薬品市場規模は300億元(約4500億円)近くに上る。
中高年のニーズだけではなく、若年層も決して油断できない。半年前には台湾の俳優ゴッドフリー・ガオ(高以翔)氏が番組撮影中にいわゆる心臓麻痺でこの世を去り、ネット上では大騒ぎとなった。都市生活でのストレス、不規則な就寝時間、週休一日で朝9時から夜9時まで働いている若者にとっても、自身の健康状態に気を配る必要がある。
だが心血管疾患の症状が見られる患者の89%が、自分が罹患(りかん)していることを知らないか、受診すらしていない。このため急性心筋梗塞などが突如として襲いかかり、その際には一分一秒を争う救命措置が求められる。このため日常のモニタリングでいち早く体の異常を知らせてくれるスマートデバイスを開発した。
心臓血管のモニタリング スマートバンドとスマートウオッチ
今回開発したHB1体温血圧スマートバンドは、「手首で測れる体温計兼血圧計」米テキサス・インスツルメンツ(TI)社の医療用レベルのデュアルチップを採用。AI(人工知能)のアルゴリズムにより、0.1度まで正確に体温を測定できる。光学式心拍センサー(PPGセンサー)の採用で、血圧と血中酸素飽和度は指先をデバイスに軽くあてると簡単に測定できる。また、睡眠時の心拍数、体温測定とレム睡眠(脳は覚めているが体は眠っている状態)のモニタリング結果を結びつけデータを取得し、睡眠の質に関するアドバイスもしてくれる。
一方、スマートウオッチは、体温血圧スマートバンドの機能に加え、心臓の原始音を収集、心臓異常時の瞬間データを捕らえ、AIで自動生成する心電図の監視機能もある。事前に心血管疾患の危険性を知らせ、脳卒中(心房細動の測定)リスクを評価し、未然に防ごうとする仕組みだ。また、スマートウオッチには4GSIMカードが内蔵されていて、GPSによる正確な位置情報、音声通話機能があり、高齢者が家族とすぐに連絡が取れる機能もついている。
このスマートハンドとスマートウオッチは中国最大級のEC商戦「618セール」で登場し、ベータテストが始まった。
iWOWNは6月末、三甲級(中国の最高レベル)の総合病院と提携し、健康管理の科学的研究を共同で進める。臨床医療分野でのスマートウエアラブルデバイスとソリューションの模索、臨床試験と応用を推し進め、心臓内科における心臓の健康アルゴリズムとモデル研究を行う計画だ。
このような健康モニタリング機能を搭載したスマートデバイスは、日常のモニタリングだけでなく、院外のスクリーニング、術後経過観察の再診時にも注意喚起的な役割を果たす。埃微健康はすでに医療機器認証の申請を行っており、承認されれば、医療機関向けに医療レベルのデータモニタリングサービスを提供できる。
創業者の祝紅甲氏は対象ユーザーに関し、「中国の心血管疾患関連の罹患者数は2億9000万人に上る。弊社の製品はこの人たちの測定ニーズを解消できる。また、弊社の製品に搭載している睡眠モニタリング機能、心電図機能は都市生活のストレス、心理的な悩み、不安、うつなどの問題を抱える人にも応用できる」と述べた。
同社は創業8年で、スマートウオッチ、スマートバンドなどの生産・販売において豊富なリソースを蓄積している。同社のスマートデバイスは、京東(JD.com)の2016年の販売ランキングで中国通信機器大手ファーウェイ(華為技術)、シャオミ(Xiaomi、小米科技)に次いで4位となった。今回打ち出した新製品についても、Eコマースによる販売チャネルを活用し、インターネットでの販売を行う予定だ。このほか、iWOWNは高齢者施設や保険会社を通した販売促進を計画している。
自社ブランドのほかに、iWOWNはスマートウオッチ・バンドのOEM(受託製造)を行ってきた。2014~19年の総出荷台数は1100万台に及び、中国国内市場はもちろん、日本や欧米にも出荷されている。同社は昨年よりOEMの形で心電図関連の健康製品を販売しており、販売台数はすでに30万台に達している。また有名医療機器メーカーのためにOEMした心電図デバイスは、中国国家薬品監督管理局(NMPA)による医療機器認証の承認がまもなく下りる見通しだ。
(翻訳・lumu、編集・後藤)
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