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6月26日、中国人気動画サイトのビリビリ動画(bilibil)創立11周年イベントが開催された。ビリビリ董事長兼CEOの陳睿氏は、この11年間で変わったことと変わっていないことを総括し、同時にビリビリの今後のミッションを3つ取り上げた。
↓以下陳睿氏の講演抄訳↓
ビリビリの3つのミッション
ソニーから資金調達のビリビリ動画が快進撃(一) 変化しながらも初心忘れぬ
勢力範囲を広げる一方で、本陣の防備もしっかり固めてきたと言えるだろう。問題は、ビリビリは今後どこへ向かうべきかということだ。私が思うビリビリの3つのミッションについて話そう。
第一に、ユーザーのためのコミュニティー、各ユーザーが気持ちいいと感じるコミュニティーを構築すること。
第二に、優れたクリエイターが才能を十二分に開花させられる舞台を構築すること。
第三に、中国オリジナルのアニメーションやゲームを世界に普及させること。
次に、これら3つのミッションを踏まえた我々の取り組みを紹介する。
まず、コミュニティ。当社の企業文化の最初の一文はコミュニティーファーストであり、我々はファンコミュニティーから生まれた企業である。コミュニティは当社の遺伝子だ。コミュニティへの参加希望者には今も100問の試験を課している。当社は1億人以上のユーザーを擁するプラットフォームとしては、コミュニティへの参入許可制を堅持する唯一のプラットフォームかもしれない。
2020年の第1四半期の時点で、合計8200万人のユーザーが試験に合格し、正会員になっている。我々はコミュニティの雰囲気を重視している。メンバーの一人一人はコミュニティの雰囲気に対して高い意識を持っている。なぜなら、私自身もコミュニティメンバーの1人だからだ。ビリビリでは、毎日35万件以上のテロップやコメントが通報されている。当社スタッフは逐次審査と判定を行い、そのうちの40%は違反と判断されて削除される。
8200万のユーザー、これはドイツの人口に匹敵する莫大な数だ。このような大規模なコミュニティでは、ルールや秩序の維持に加えて、コミュニティ特有の精神や独自の価値観も大切だと私は思う。
私の意見では、うちのコミュニティで最も重要な価値観は第一に公明、第二に寛容だ。過去11年間、我々はデータの真正性を堅持し続けてきた。もし、ユーザーの中にインターネット業界従事者がいれば、中国でデータの真正性を堅持することがいかに難しいかを知っているはずだと思う。これは、フィッシング対策に大金を投じるというだけでなく、多少稼ぎが減るとしても自主規制を行うことをも意味する。また、寛容の精神がなければ、現在のビリビリでの自由な芸術活動や、次から次へと生まれてくる多彩なコンテンツは有り得ない。
第二については、我々は健全なコンテンツエコロジーの育成に取り組んでいる。私の意見では、ビリビリの本当のミッションは優良コンテンツの配信というより、優良コンテンツを配信するメカニズムの構築であり、このメカニズムの中心となるのが投稿者だ。投稿者へのサービスこそ当社の最も重要な仕事であり、我々はずっと優良コンテンツの配信を最重要目標としてきた。
ビリビリでは、1686人の常勤スタッフが投稿者のために働いている。著名な投稿者だけでなく、多くのミドルクラスの投稿者や無名の新規投稿者も対象だ。投稿者の管理方法から、AIによるコンテンツレコメンドまで、我々は皆、優良コンテンツのために働いている。コンテンツが優秀か否かは再生回数ではなく、視聴者がこのコンテンツに与えた評価、投げ銭、肯定的なフィードバックから判断している。
優良コンテンツを配信するために構築したメカニズムにより、ビリビリでは、優良コンテンツがますます多くなると信じている。
ビリビリの第三の使命は、国産アニメやゲームの振興だ。これこそ我々の夢であり、このためにずっと努力を傾けてきた。
上場以来、海外アニメの著作権取得に注力しており、新たに購入した海外アニメは1680作品を超える。現在、ビリビリは世界で最も多くのアニメの著作権を持つプラットフォームの1つであると私は断言できる。日本でもこれほど多くのアニメを放映できるプラットフォームを見つけることは難しいと思う。
一方、国産アニメにも10億元(約150億円)以上を投資し、皆もよく知っているSF小説「三体(The Three-Body Problem)」を含め104作品以上を制作、もしくは制作に参与した。現在、ビリビリはすでに国産アニメの大手プロデューサーの1つになっている。また、国内アニメだけでなく、日本アニメの製作委員会にも加わり、日本のアニメ業界でもトップに上り詰めた。ここ数年間、皆もよく知っている「炎炎ノ消防隊」「どろろ」「干物妹!うまるちゃんR」など、42本以上の日本アニメの製作委員会に参加してきた。これは、日本で制作されたアニメの10%以上にあたる。
過去11年間で、私たちは愛好家のコミュニティから従業員5000人を超える大企業へと成長した。この11年にビリビリは確かに多くの変化を遂げたが、我がチームがこれらの3つのミッションのために努力している限り、ビリビリの本質は変わらないと私は考えている。私自身もビリビリの一ユーザーであり、ビリビリへの投稿を始めて今年で10年になる。私はすべてのユーザーと同様、ビリビリが大好きだ。 ビリビリの使命を堅持するとの前提の下、長期的な発展のために最善の決定を下すよう努力していることを信じてもらいたい。
(翻訳・永野倫子)
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