進化する中国の経費精算サービス、社員「信用スコア」導入で承認フロー効率化

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経費精算サービスを提供する「毎刻科技(Maycur Technology)」がこのほど、プレシリーズBおよびシリーズBで1億元(約15億円)の資金調達を終えた。リード・インベスターは「緑洲資本(Vitalbridge)」、コ・インベスターは「博将資本(Bojiang Capital)」が務めた。

経費精算管理システムはベンチャー投資における新たなブームとなっている。企業の情報化により、財務管理や出張シーンなどで新たな変化が起きている。共通するのは大量の紙版・電子版の伝票や社内外での繁雑なやりとり、膨大な人件費だ。

毎刻科技は2015年の創業当初、経費管理クラウドプラットフォーム「毎刻報銷(Maycur)」をリリースした。経費の精算管理からスタートし、大中企業の出張予約、経費精算管理、そして全プロセスの経費管理サービスを提供している。経費精算管理製品は第三者サービス、経費精算管理、銀行支払との連携、電子領収書、企業情報システムマッチングで構成されている。消費、精算、承認、財務監査、出納・支払、入金、費用分析、管理を一本化した。現在、毎刻報銷はすでに市場で流通しているOA、ERP(基幹業務システム)などのソフトウエアとの連携が可能だ。

毎刻報銷は公費出張に関わるシーンを一つにまとめた。タクシー、ホテル、仕入れプラットフォームなど50の消費系プラットフォームと連携している。従業員がアプリ上で消費または仕入れを行なえば、立替金は銀行口座またはアリババグループの決済サービス「アリペイ(支付宝)」に直接振り込まれるため、経費精算管理にかかる業務量を9割ほど軽減できる。

経費精算管理製品に信用スコア体系も取り込んだ。例えば初期設定で従業員の信用スコアを80点とし、従業員の経費精算に基づき、財務はスコアの加減を行なうことができる。スコアが多く蓄積された信用度の高い従業員であれば、精算の承認フローが短縮され、財務審査段階での綿密な承認手続きや抜打ちチェックが免除される。逆に信用度の低い従業員は承認手続きが長くなり、稟議も多く、承認の優先度も低くなる。このようなモデルを採用したことで、財務管理者の承認業務が大幅に軽減され、承認効率の向上につながったという。

製品の開発段階において、精算管理と消費シーンに加え信用体系を組み入れたことで、第一線の応用シーンと公開されている業務データを収集することができたと、同社の董事長兼CEOの魏美鐘氏は語った。また、データを広範囲で収集したことで、企業の経費管理だけでなく、消費行為や業績ルールとも関連付けることが出来、財務管理から経営管理へとつながったとの認識を示した。

電子領収書の流れを受け、毎刻科技は19年7月に新製品「毎刻檔案(Maycur Cloud)」をリリースした。クラウドコンピューティングとビッグデータ技術を応用し電子会計ファイルシステムの構築をサポート、クラウド上の「財務+共有+事務」の一体化を図った。

この新製品は中国が打ち出す政策の流れを受けたものだ。伝票の電子化が加速する中、税務電子化の動きもますます速くなっている。中国財政部も20年3月に「電子会計証憑を利用した経費精算の計上処理およびファイリングに関する通知」を公布している。同通知では、電子版と紙版では同等の法律効力を有するとしている。財務ではいかなる形式の経費精算の計上にかかわらず、電子版での経費精算資料ファイルの保存が求められているため、電子会計証憑はオンライン上でファイルの保管をしなければならない。これにより、電子ファイルシステムの市場開拓がいっそう進んでいる。

毎刻檔案では、電子請求書は直接サードパーティー(「WeChat(微信)」やアリペイ)を通して每刻報銷にインポートされる。システムが電子版請求書と90%の紙版請求書に対してOCRによる識別チェックを行い、オンライン上で転送、チェック、承認を経て電子ファイルシステムに保存される仕組みだ。ファイル保存時には、財務照合システム(ERP世界最大手の独「SAP」やソフトウエア開発の「金蝶(Kingdee)」など)と照合される。その後、財務システムが生成した会計証憑が収集され保存される。また証憑と原本の会計証憑(請求書、受領書、業務伝票など)の関連性を保存した上で証憑を自動保存する。

検索とセキュリティーに関しては、自由に権限付与できる機能をサポートしより細やかな人的管理を実現した。各企業の差別化に対しカスタマイズされたシステム設定ページをサポートすることで、財務操作と管理の柔軟性を向上した。

市場への参入障壁について魏美鐘CEOが語ったところでは、経費精算管理市場は初期段階にあり、SaaS製品にはより多くの可能性があるという。また每刻報銷の強みとして、従来の製品に比べ大中企業のニーズを十分に満たすことができ、対応製品とサービス能力を持ち、さらには中小企業への市場開拓も可能である点を挙げた。

また、コアメンバーは大手企業のIT、製品、管理部門の出身者だという。製品開発においては管理、製品設計を重点に置いており、経費精算管理からTMC(出張管理プラットフォーム)などの分野に参入している企業も多い中、同社はSaaS型製品メインの姿勢を堅持するとの考えを示した。

同社の19年売上高は3倍増となったほか、大中企業の3分の2を占める1700社以上にサービスを提供してきた。顧客は医薬、小売、機械製造、電子、外食、ワンヘルス(One Health)など多業種にわたり、継続率は120%を維持している。各業種の特性に対応するため、ユニバーサルユティリティーを構築し、顧客が自由に設定できるようにもしている。料金徴収は、SaaS製品のサブスクリプションをメインモデルとしている。

今回調達した資金は製品開発および市場開拓に充て、販路と協力モデルを構築し業務の定着を目指している。

緑洲資本パートナーの張津剣氏は、「これまでの財務システムは『モノ』が中心で入荷、販売、在庫管理と商品回転率の最適化がメインであった。しかし現在の社会は『モノ』中心から『ヒト』中心へと価値が移っている。したがって『ヒト』を中心とした業務と財務が統合したシステムが必要になっている。毎刻科技と提携できて大変光栄だ」と語った。

毎刻科技は杭州に本部を置いている。開発メンバーは300人超を有する。コアメンバーの半数が浙江大学の卒業生だ。開発メンバーは20年近くの研究開発と管理経験を有する。監視カメラ開発の「大華股份(Dahua Technology)」、ボストンの金融機関「ステート・ストリート(State Street)」などの企業で勤務経験を持つ。ITの専門家のほかに、大手企業の人事、財務責任者や内部監査担当の出身者で構成されている。(翻訳:lumu)

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