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中国の新興EVメーカーを代表する一社「小鵬汽車(Xpeng Motors)」が先月27日、米ニューヨーク証券取引所に上場した。中国新興EVメーカーとしては「蔚来汽車(NIO)」、「理想汽車(Li Auto)」に続く3社目の米国上場だ。小鵬汽車は上場初日の取引開始10分後に株価を66%上げ、今月7日時点で約19ドル(約2000円)をつけており、先行して上場した蔚来汽車の約18ドル(約1900円)、理想汽車の約17ドル(約1800円)を上回っている。
普段は寡黙な人物として知られる創業者の何小鵬氏は上場セレモニーで興奮を隠せず、「人は夢があるからこそ偉大だ」と熱く語った。
中国新興EV御三家「小鵬汽車」の目的地(上)、憧れのテスラに倣って
第二のトヨタを目指して
中国のスマートフォン・IoT機器メーカー「シャオミ(小米科技)」がアップルを目指したように、小鵬汽車はテスラを目標としている。シャオミを率いる雷軍氏は長年にわたり何小鵬氏の事業を支援してきていることもあり、小鵬汽車は「自動車界のシャオミ」とも喩えられている。
しかしながら、小鵬汽車が最終的に目指すのは「第二のトヨタ」だという。トヨタはミドルレンジからハイエンドまでを網羅する世界最大手クラスの自動車メーカーだ。その代名詞の一つが「高燃費」であることから、多くの消費者が「トヨタ車を選べば間違いない」との認識を持つに至っている。
トヨタをベンチマークに据えた小鵬汽車は昨年2月、広東省肇慶市に設けた工場の品質責任者として、トヨタ出身の宮下善次氏を抜擢した。
徹底したコストコントロールで無駄を排したトヨタの生産モデルは同社を大いに潤した。過去5年、世界の自動車市場では利益率が3~6%に留まる中、トヨタは2019年に利益率9.2%を達成している。小鵬汽車も徐々に損失幅を狭めており、売上総利益率は2019年の-24.0%から2020年上半期には-3.6%、純利益率は2019年の-159.07%から2020年上半期には-79.36%と伸びてきている。ただし、第二のトヨタにはほど遠い状況だ。
中国の乗用車協会である乗用車市場信息聯席会(CPCA)によると、2020年上半期の小鵬汽車の販売台数は前年同期比51%減の4697台で、新興系メーカーのトップ3から陥落した。しかし、下半期にはスポーツセダン「P7」の大規模な納車が行われるため、こうした状況は改善されると見込まれる。
一方で、自社開発や自社工場にこだわるアセットヘビー型の事業モデルには不安も残る。今年6月末時点で同社が抱える負債は62億2000万元(約960億円)に上っている。
こうした潜在リスクも同社の目論見書には隠さず記されている。販売台数やサービスネットワークを拡張するための近道はないことや、販売代理店による経営モデルに大きなリスクが存在することを52ページにわたって記載しているのだ。
今年6月末時点で、小鵬汽車は44の直営販売店と103の販売代理店を擁している。さらに店舗を増やしていくとともに、販売台数の引き上げとブランディング効果を狙って直営店を強化していく方針だ。無論、これには多額の資金と経営資源が必要になる。
中国の新興EV御三家のうち、蔚来汽車および理想汽車はすでに売上利益率で黒字化している。小鵬汽車も出資者に向けすみやかに自身の利益力を証明しなけれればならない。
今年に入って蔚来汽車の時価総額は280%も跳ね上がり、理想汽車の時価総額は上場後さっそく160億ドル(約1兆7000億円)をつけている。小鵬汽車の株価は上場初日の終値で20ドル(約2120円)を越えており、資本市場が新エネ自動車メーカーを高く買っていることがわかる。
しかし、上場は決してゴールなどではなく、新たなスタート地点に過ぎない。彼らがこれから黄金時代を迎えるにはまだ長い時間がかかる。(翻訳・愛玉)
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