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中国アリババ・グループが世界初となるスマート・マニュファクチャリングのプラットフォーム「犀牛智造(Rhino Smart Manufacuturing)」を発表、直後の今月17日にも同社のB2B事業グループがさらに三つの新プロジェクトを発表した。
新プロジェクトは仕入れ業者と受注メーカーのマッチングサービス「淘工廠(tgc.1688.com)」、購買業務の効率化・自動化を図る「超級買家(SUPER BUYER)」、中小メーカーによるノーブランド品を工場直販で提供するC2Mプラットフォーム「淘宝特価版(Taobao Tejia)」と同じくメーカー直販に特化したB2Bプラットフォーム「1688.com」の相互連携計画の三つだ。生産・卸・小売の三つの市場を最適化していくもので、アリババによると、3年以内に売上高1億元(約15億5000万円)越えの工場を1000以上誕生させる目標だ。
オンデマンド生産などを手がける生産市場向けに1688.comがローンチしたマッチングサービス淘工廠は、生産現場をオンライン化させると同時に一連の管理ツールを提供するものだ。多くの中小メーカーにとって受注の確保は長年の課題であり、これまでは受注や取引拡大のために全国各地の展示会に出向く必要があった。これを解決するため、1688.comは1年365日を通じてオンライン展示会を開催し、ライブコマースの機能も設けた。
卸市場向けにローンチした購買業務支援サービス超級買家は、これまでにアリババのプラットフォームが蓄積したデータを業者の購買部門や製造工場に提供し、生産現場の効率化とともに受発注のマッチング精度を高める。
小売市場向けには、既存の二つのプラットフォームを相互連携させた。工場直販の廉価商品を流通させるC2Mプラットフォーム淘宝特価版とB2Bプラットフォーム1688.comを全面的につなげることで中国国内最大のC2M小売プラットフォームを構築する。これによって製造現場は需要の変化により敏感になり、オンデマンド生産を実現できる。また1688.comに加盟する全工場を淘宝特価版に移入させ、工場直販体制の確立と卸売・小売の統合を図る。
以上三つの新プロジェクトと冒頭で言及したスマート製造プラットフォーム犀牛智造はいずれも、製造業界の川上を改革するアプローチだ。
新型コロナウィルスのパンデミックにより、製造業界では旧来型の展示会がことごとく中止となり、多くのメーカーが受注先を確保できず、業界全体がIT化を迫られた。中央政府や地方自治体も既存型メーカーのIT化を後押しする。中国国内には約670万の工場が存在し、世界の工業生産高の4分の1を担うといわれている。これらをIT化させるならば、その市場規模は巨大だ。
しかしその道のりは困難を極める。中国工業互聯網研究院(China Acaemy of Industrial Internet)が今年発表した「中国インダストリアルインターネット産業経済白書」によると、中国では55%の企業で基礎的な設備のデジタル化を完了しておらず、業界間でデジタル化の進度に大きな格差がある。また一部の零細企業にはデジタル化や新技術の導入に必要なコストを賄う力がない。
アリババによる製造業改革は長い目で見ていく必要がありそうだ。(翻訳・愛玉)
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