”好衣庫”、テンセントがリード投資で数億元の資金調達、新型WeChatビジネスはブランディングに向かう
36Krの取材によると、ソーシャルECプラットフォーム好衣庫は、Bラウンドにおいて数億元の資金を調達し、テンセントがリードインベスターを、IDG Capital・険峰長青(K2VC)・元璟(Vision Plus Capital)等投資機関がコインベスターを務め、沖盈資本(Evering Capital)が単独で財務顧問を務めるとのことだ。6月に、好衣庫はIDG Capitalがリードインベスターを務める1億元のAラウンド融資の獲得を発表したばかりである。
テンセントの投資を得ることは、WeChatシステムの下で成長する企業にとって大きな意味を持つ。今のところ、ソーシャルEC拼多多(IPO以前、テンセントの拼多多株式保有率は18.5%で第2位株主だった)やミニプログラムのECツール「SEE小電舗」に投資した以外は、テンセントはソーシャルEC(即ちサプライチェーンを中心化し、フロントエンドでは個々の小B(WeChat代理販売)に頼って販売するモデル)の分野にはあまり手を出していない。これより以前、好物満倉が唯一テンセントがリードインベスターとなる1社で5000万のAラウンド融資を獲得している。また、騰訊投資(Tencent Capital)に近い人物によると、彼らはミニプログラムECにおける投資機会の掘り起こしを今も引き続き行っているそうだ。
好衣庫の創業者でありCEOである鄔強強氏(ニックネーム:鬼谷)は、かつて9年間アリババで勤務し、聚劃算事業部ゼネラルマネージャーを務め、タオバオオープンプラットフォームの生みの親だ。このキャリアの一面は、好衣庫にブランドリソースを蓄積させ、WeChat ECの発展は中心化ECのこれまでの道のりのコピーになる可能性が大いにあるという認識を彼に持たせた。それはすなわち売れ残り・並行輸入品等の非主流商品から主流のブランド商品へのアップグレード、非主流層から主流層への拡張である。
言い換えれば、WeChatシステム下のEC企業の中で、もし拼多多が初期のタオバオに相当するならば、徐々に天猫(Tmall)や京東(JD)等のタイプの企業が現れ、ブランディングはこの傾向の核心である。取材によれば、現在好衣庫の提携ブランドは数百に上り、森馬(Semir)・太平鳥(PEACEBIRD)・李寧(LI-NING)・安踏(ANTA)等、客単価が100元前後の小都市における主流消費財が中心である。
ブランディング以外に、好衣庫のカテゴリー戦略も非常に明確である。それは、利益が高い服(初期はブランド在庫がメイン)から着手し、このカテゴリーのSKU(Stock Keeping Unit)が多く、在庫が薄いという特徴に適応し、商品の組み合わせやサプライチェーン管理の強みを生かし、徐々にチャネルのブランドに対する価格交渉権を確立させていくというものだ。以前は拼多多にしろ雲集にしろ、主にSKUを選りすぐり、単独人気商品モデルを採用していたので、定番ファッションや美容商品等SKUが多くないカテゴリーの販売に適していた。
両者の違いは以下の点にある。1つのペーパーナプキンは1日に数万売れるので、拼多多は業界の川上に深く入り込め、メーカーとの商品手配の交渉や薄利多売ができた。一方あるファッションブランドのTシャツの手配可能な数量は通常数百から千ほどに過ぎないが、デザインは百種類以上ある。このことが品物の選択・組み合わせ・細心の運営にとって大きな試練となった。
代理購入や事業主等スモールビジネスをコミュニティーに売り込むための販売方式は、ソーシャルECのトラフィックエンドにおけるイノベーションであり、好衣庫のやり方もそんなにはっきり違わない。システムが成熟したWeChatビジネスグループと比べると、ECから始まった好衣庫は、コミュニティー運営に関して迅速に学ぶべき分野である。36Krの取材によれば、現在好衣庫のスモールビジネス事業者の数は数万人に達し、彼らの報酬は安く仕入れ高く手放すこと(「バーチャル」な商品所有権の移転)による差額、つまり「代理購入費」と、一定の週間販売額(現在5000元と20000元の2ランク)達成後の「給料」インセンティブである。政策コンプライアンスの前提の下、いかにスモールビジネス販売を奨励するか、制度設計や管理能力についての検証が待たれる。
鄔強強氏によれば、同じデザインのブランド商品なら、好衣庫の代理購入で買えば、天猫やブランドのオフラインチャネルで買うより価格は30%抑えられるが、これはチャネルコストの大幅ダウンによるもので、「これまでは店舗運営管理・トラフィック購入・無条件返品は全てコストだった」と語った。事実、これはソーシャルECモデル確立・普及のための鍵でもある。
一方、拼多多の年間GMV(取引総額)は1400億元を上回り、好衣庫モデルに似たソーシャルEC企業雲集の年間GMVも100億を超え、商品のアップグレードを進めている。トッププレイヤーの既存のトラフィックと取引規模により彼らはブランドと価格交渉する際によりしっかりと主導権を握れ、好衣庫との競争は益々激しくなっている。
先に、鄔強強氏は36Krを含むいくつかのメディアによるインタビューを受け、WeChatビジネスのアップグレードでどんな商品を売るかという問題について彼自身の考えを示した。
以下の内容は36Krが整理・編集済み
Q:好衣庫はWeChatビジネス市場における消費のアップグレード版だと見ることができるか?
A:できます。我々は一つ前の世代のECを経ています。2003年から2004年頃タオバオで2種類のものが良く売れてました。一つはファッション市場の衣類、もう一つは並行輸入品で、どちらも非主流商品でした。今日のアリババはその時代からの蓄積があり、その後非主流商品から主流商品へ、非主流層から主流層への変化を経ています。カテゴリーでは、最初期のCCC認証(中国強制認証制度)対象デジタル製品や比較的安い婦人服・市場商品から、ブランド商品に変化し、当時の顧客が子供を産み、マタニティ&ベビー・リビング・日用品から、建材・住宅購入・自動車購入まで、世代全体の消費がアップグレードしています。
Q:現在のWeChat ECは小都市の人々をターゲットにしているのか?
A:我々は2012年に聚劃算をスタートさせ、特売モデルのブランドグループは、3年かけて1千億を達成しましたが、その10年間、主要都市の人々をターゲットにしてました。ブランド認知から、ファストファッション・プチ贅沢品・デザイナーズブランド・ビッグブランドの販売へと、我々は歩んでいます。現在の小都市の人々は10年前の我々で、彼らはアップグレード過程の真っ只中にあるのです。
Q:WeChat ECはこの過程を完全に繰り返すわけではないと思うが、違いはどこか?
A:1990年代生まれ・2000年代生まれはインターネットネイティブ世代で、彼らは物事のハイスピード化を受け入れられたので、拼多多は2年で1千億を達成しましたが、当時のタオバオは5年掛かかりました。
Q:既存のソーシャルECと比べ、好衣庫が差別化したのはどの点か?
A:ソーシャルEC全体で、ブランド品が大いに不足しています。今日でも雲集の商品構成を見ると、美容関連では若干ブランド品を揃えてはいるが、多くのファッション・リビング・マタニティ&ベビー関連では実際ブランド品が非常に不足していて、典型的な末端ブランド品も大部分が不足状態です。その原因は、これらのカテゴリーはこうした人気商品方式による販売にフィットしていないからなのです。
Q:なぜか?
A:こういうブランド商品、たとえば子供服・マタニティ&ベビー・リビング等はSKUが特に多く、生活の各方面をカバーしていて、それぞれの商品の在庫は美容関連商品のようにはいきませんし、9.9包郵のように毎回数万件出すのは、雲集のやり方であれ拼多多のやり方であれ、ブランドの在庫が薄い商品にはフィットせず、新しい販売方式が必要になるのです。
Q:それはサプライチェーンの力量を試す試練となるか?
A:それがまさに我々の仕事の強みだと思っています。以前彼らにはこのカテゴリーはありませんでした。なぜならサプライチェーンの管理能力・ブランドの管理能力、商品の組み合わせの能力についての要求が高く、間違いなくやりにくかったからです。しかし過去に我々はこれをやったことがあるのです。
Q:好衣庫の運営は聚劃算の時期と比べ、どの部分を受け継ぎ、どの部分が違うのか?
A:実際、サプライチェーンや商品サイドでは、類似手法が多く見られます。たとえば如何に商品を選択し、如何に価格や粗利益率をコントロールし、如何に商品を組み合わせて、集客できそうな商品や粗利商品を計画するか、5月はどれ、7月はどれと、如何に夏期の商品の棚卸しの議論をするか、一般的にブランドが販売する商品は1カテゴリーにとどまらず、Tシャツもあればミニスカートもあり、どう組み合わせるべきか、比率はどうするか等、商品要素にかかわる全ての事柄は、本質的に変わりません。違っているのはフロントエンドのトラフィック構築方式で、「人がモノを探す」から「モノが人を探す」への巨大転換にあります。
Q:この違いが逆に運営にどのような影響を与えるのか?
A:影響は非常に多方面に渡ります。たとえば、元来運営の大部分はそこに座って品物を全部きちんと準備して、人が来るのを待っていればよかったが、今日我々の運営システム内の一部では双方向化されており、それは今日ではユーザーにリーチ可能で、WeChatモーメンツや抖音(Tik Tok)でリーチできるからです。また、コンテンツも制作できる。以前は画像掲載や価格設定だけで商品のウォームアップは簡単なものでしたが、今日我々は投票により、ユーザーの好きなブランドを仕入れ、ユーザーに人気のあるデザインを売ることができ、消費者と双方向での価格あてクイズさえ可能です。
Q:ブランドが好衣庫のような新しいチャネルに興味を持つ理由は何か?
A:今のところ、チャネル構築についてはユーザーにしっかりリーチするにはまだ不充分で、天猫小店や京東便利店が展開される理由は、リーチできずに、多くの人がこれらのアプリにアクセスできないのです。以前我々が制作したECアプリでは、1ユーザーが4~5回アクセスしてくれれば上出来でしたが、好衣庫では1ユーザーによる1日4~5回のアクセスが平均レベルです。
Q:販売価格はどうか?これまでのオフライン小売店や天猫と比べると?
A:同一商品の値段は、大体30%以下だと思いますが、彼らより安くなるでしょう。
Q:可能な理由は?
A:過去のチャネルはコストがとてもかかりました。店を開くには、商品を並べ、店舗運営・管理を行い、トラフィックを集めねばならず、これらは全てコストとなりました。特にファッションカテゴリーでは、店舗のブランドエンドースメントだけが頼りで、7日間以内の無条件返品を承諾せねばならず、3着購入しても2着返品するような人が多いのですが、こういうコミュニティーでは、多くの場合友人や顔見知りといった人が販売経路になる人頼みの販売を行うと、返品率は大幅に低下し、わずか1%になったのです。
Q:WeChatシステムECの利益をどう見るか?スタートアップ企業にはどれぐらいのチャンスがあるのか?
A:PCの時代からモバイルの時代へ、大企業は順調に構造転換できました。ユーザーを誘導して来ることができたからです。トラフィック分配方法、検索方法、棚作り等はロジックが相通じています。しかしソーシャルプラットフォームでは、トラフィックは中心化され、企業は大小に関わらず同じスタートラインに並んでいます。WeChat ECの淘汰の第一波はすでに収束し、去年は少なくとも数百あったものが、いまではわずか10~20に減っており、この市場発展速度は一世代前より更に速くなり、2~3年の内には勢力構造が定まるでしょう。