中国AIチップ企業の高額資金調達が相次ぐ 国家戦略でさらなる成長に期待

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中国ではAIチップへの注目度がますます高まっている。

2021年に入ってから、これまで21件のAIチップ関連の資金調達が公表され、少なくとも7件が10億元(約170億円)以上の高額の資金調達で、最高額は53.5億元(約910億円)だった。

2021年1月〜4月までのAIチップ関連資金調達一覧(4月19日時点)

高額な資金調達が頻発

2021年に公表された21件のAIチップ関連の資金調達の内訳を見てみよう。シリーズ別では、エンジェルラウンドが1件、プレシリーズAが5件、シリーズAが3件、シリーズBが1件、シリーズCが4件、シリーズDが3件、その他が4件だった。

2021年1月〜4月までのAIチップ関連資金調達のシリーズ別統計(4月19日時点)

金額が公表された案件のうち、10億元(約170億円)超となったのは6社の計7件だった。この7件の調達額だけで200億元(約3400億円)を超える。6社のなかで、「紫光展鋭(Unisoc)」と「地平線(Horizon Robotics)」以外はクラウドAIチップを開発している。

2021年1月〜4月までの調達額10億元(約170億円)超のAIチップ関連資金調達一覧(4月19日時点)

上記の表には、調達額未公表のバイドゥのAIチップ部門「崑崙(Kunlun)」や「壁仞科技(Biren Technology)」、2件の資金調達の総額のみを公表した「摩爾線程(Moore Threads)」の資金調達は含まれていない。

企業の所在地別に見ると、調達した17社のうち、6社が北京、6社が上海、1社が深圳、4社が米国となっている。すべて8年以内に創業した企業だ。

2021年1月〜4月までに資金調達したAIチップ関連企業の創業時間(4月19日時点)

出資者を見てみると、著名な投資会社のほか、AIチップとの関連が深い産業の大手企業も多数名を連ねている。「SambaNova」にはソフトバンク、インテルキャピタル、グーグルが、摩爾線程にはTikTokなどを運営するバイトダンス、自動運転技術開発の「小馬智行(Pony.ai)」が、「墨芯人工智能(Moxin)」には情報技術開発の「浪潮(Inspur)」が、地平線にはBYD、大手自動車メーカーの「長城汽車(Great Wall Motor)」、自動車部品メーカーの「長江汽車電子(Changjiang Automobile Electronic)」、「東風資産(Dongfeng Asset Management)」、光学レンズメーカーの「舜宇光学(Sunny Optical)」、自動車用照明メーカーの「星宇股份(Xingyu Automotive Lighting Systems)」が、「耐能(Kneron)」には鴻海精密工業、「華邦電子(Winbond)」が、「晶視智能(CVITEK)」にはシャオミが出資している。

成長し続けるAIチップ産業

市場調査機関「中商産業研究院(askci Corporation)」の集計によると、中国のAIチップ市場は2015年の19億元(約320億円)から2019年の122億元(約2100億円)に伸び、年平均成長率は59.18%に上る。2021年には市場規模が251億元(約4300億円)になると予想される。

中国のAIチップ市場規模の推移(画像は中商産業研究院より)

また、中国工商銀行のデータによれば、2019年の中国のAIチップ業界の資金調達額は58.57億元(約1000億円)で、前年比で90%以上増えた。2020年は10月までの時点で2019年の通年を上回っている。

2021年から、中国の国家成長戦略である第14次五カ年計画がスタートした。その計画要綱には集積回路に関する内容も含まれており、各地方がそれに基づいて様々な取り組みを始めている。たとえば上海は独自の第14次五カ年計画要綱において、AIチップなどの分野で大型プロジェクトを誘致することを明記している。

北京、上海でAIチップ事業の資金調達の件数が多いことを見れば、各地方の戦略の効果がすでに出ていることがわかる。しかも、紫光展鋭のような大手集積回路企業だけでなく、地平線のようなユニコーン企業や、製品の商用化が実現していない企業も順調に資金調達ができている。資金を確保したことで、数多くの企業のAIチップが量産化され、導入が進むだろう。

原作者:芯東西(Wechat ID:aichip001)

(翻訳・小六)

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