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ライフスタイル・美容・ファッション・旅行などの情報を共有するSNS「小紅書(RED)」を運営する「行吟信息科技(Xingyin Information Technology、以下「小紅書」)」が米国で上場するとの報道は先月は2回続いた。
4月27日、ロイター傘下の金融メディアIFRが関係者からの情報として報じたところでは、同社は年内にも米国で上場し、5〜10億ドル(約540〜1090億円)の調達を計画しているという。これまでにも6回の資金調達を行っており、直近では「高瓴資本(Hillhouse Capital)」が主導するシリーズで評価額が公称50億ドル(約5400億円)となっている。
小紅書は50億ドルの価値に見合うのか
小紅書はSNSとECをかけ合わせた性質を持ち、ユーザーの「購買意欲を刺激する」コミュニティとして機能している。ユーザー生成コンテンツ(UGC)がブランドマーケティングを担っており、小紅書の主な収益源は広告となっている。小紅書ではこれまでに3000万人以上の投稿者が3億件以上の投稿をシェアしてきた。
小紅書の盛り上がりは、KOC(Key Opinion Consumer)やKOL(Key Opinion Leader)といったインフルエンサーの存在と切っても切り離せない。彼らはユーザーの購買意欲を焚きつける中心的存在であり、ブランド人気の起爆剤となっている。小紅書の総経理によると、2019年時点で小紅書では世界の約8000ブランドが公式アカウントを開設している。前年比600%増という数字だ。
「PERFECT DIARY(完美日記)」などのコスメブランドは、小紅書を活用したマーケティングでブランドイメージを早々に確立した。PERFECT DIARYが小紅書に開設した公式アカウントには現在200万のフォロワーがつき、同ブランドの急成長を支えている。運営元の「逸仙電商(YATSEN)」は昨年米国で上場を果た、時価総額約70億ドル(約7600億円)となっている。
小紅書は上場目論見書をまだ公開していないが、昨年1年間の投稿内容や検索キーワードを総括した同社のレポートによると、小紅書のユーザーはすでに3億人を超え、月間アクティブユーザー(MAU)は1億人を超えている。
大手ECプラットフォームのタオバオ(淘宝網)や京東(JD.com)と比較すると、小紅書の核心的競争力はユーザー同士の頻繁な交流にあり、常にアクティブなコミュニティがこれを創出している。
米国では小紅書と同業の写真共有サービスPinterestが時価総額417億ドル(約4兆5400億円)となっており、先月30日に発表された財務諸表によると、今年第1四半期時点でMAUは小紅書の約4倍となる4億7800万人に達した。単純にMAUでみれば、小紅書の評価額も100億ドル(約1兆900億円)に達していると見積もれる。
事業化とUXの両立
小紅書最大のポテンシャルはコミュニティにある。その価値はアクティブなユーザーによって作り出されているため、小紅書としては良好なユーザー体験(UX)を維持する必要がある。
ユーザーが増え、集客力が魅力となり、小紅書と提携するブランドはますます増えてきている。同時に、一部で行き過ぎたマーケティングが横行し、小紅書でのマーケティング活動は一種のカオス状態となっている。専門業者が投稿作業を代行したり、「いいね」の獲得数を稼いだりといったやり方で、ユーザーの正常な意思決定を混乱させているのだ。
小紅書が発信するコンテンツが獲得してきた信用はサクラレビューによって大きく損なわれ、ユーザー数の伸びも鈍化してきた。モバイルインターネット関連の中国のコンサルティング機関「iiMedia Research(艾媒諮詢)」のデータによると、2019年1月から2020年11月までの約2年間で小紅書のユーザーは小幅だが減少に転じている。2020年11月時点のMAUは前四半期比0.32%減の1232万1900人だった。
先月、小紅書もEC業界のトレンドに合わせて初めてライブコマースを行い、プラットフォームとしてのアップグレードを図るとともに、コミュニティと高度に連携した新たなビジネスモデルを開拓した。MAUは現時点で小紅書の価値を図る最も重要な物差しだが、事業化とUXの質の維持で良好なバランスを探り当てることが喫緊の課題となっている。
(翻訳・愛玉)
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