「実験場」としての中国——AI・ロボット市場に多国籍企業が殺到する
中国の人工知能(AI)コア産業規模はすでに1兆2000億元(約28兆8000億円)を超え、企業数は6200社余りとなった。超大規模な応用シーンや豊富なデータ資源を生かし、中国はAI技術進歩のために充実した実験場を提供しており、多くの多国籍企業の注目を集めている。
経済協力開発機構(OECD)の統計によると、2025年に中国のAI企業が世界のVC(ベンチャーキャピタル)から調達した資金は約139億ドル(約2兆2500億円)に上り、米国と欧州連合(EU)に次いで世界3位となった。
英製薬アストラゼネカは25億ドル(約4000億円)規模の投資計画を発表した。北京市に世界で6カ所目となる戦略的研究開発センターを設立し、AIを活用した初期段階の医薬品開発や臨床開発に注力する。
ドイツのフィジカルAI企業ニューラロボティクスの中国子会社である紐鼐機器人は、中国自動車部品メーカーの浙江兆豊機電と戦略的協定を締結した。合弁会社を設立し、製造業分野での人型ロボットの研究・開発や実用化を共同で推進する。
国際会計事務所大手KPMGが発表した「多国籍企業による中国アウトルックリポート2025」によると、調査対象企業の90%以上がデジタル化への投資を計画または実施し、うち58%がすでに業務運営にAIツールを導入していた。
中国は世界最大の産業用ロボット市場というだけでなく、エンボディドAI(身体性を持つ人工知能)ロボットなどの最先端分野でも高いイノベーション能力を示している。
米金融大手モルガン・スタンレーはリポートの中で、50年までに世界の人型ロボットの市場規模は5兆ドル(約810兆円)を超え、10億台以上のロボットが投入されると予測し、中国が世界をリードするとの見通しを示した。中国の協働ロボット市場の市場規模は10年前の1000台未満から25年には4万台以上へと拡大し、年平均伸び率は50%に達した。この明るい見通しが、世界の業界大手の中国のイノベーションチェーンと産業チェーンへの深い融合を促している。
スイス重電大手ABBは、1億5000万ドル(約240億)を投じて上海市に世界最大かつ最先端のロボットスーパーファクトリーを設立したことに続き、25年12月には江蘇省南京市に約15億元(約360億円)を投じ、研究・開発や製造、顧客体験を一体化した地域センターを設立すると発表した。
独自動車大手BMWの中国法人は外資系自動車メーカーとして、初めて電子商取引(EC)大手のアリババグループやAI新興企業の杭州深度求索人工知能基礎技術(DeepSeek、ディープシーク)、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)など中国のテック企業と深い協力を展開し、インテリジェント運転支援やAI、車載ヒューマンマシンインターフェース(HMI)などの分野でイノベーションを推進している。
中国は「第15次5カ年規画(2026~30年)」期間中、引き続き積極的に自主的な開放を推進し、AIの深い融合を図る国家戦略「AI+(プラス)」などの分野で外資が共同研究・開発やVC(ベンチャーキャピタル)投資に参加することを支持し、新たな質の生産力(科学技術イノベーションが主導し、質の高い発展を促す生産力)の発展がもたらすメリットを共有するとしている。【新華社済南】