薄毛に悩む20代の間で植毛ブーム。中国で「毛髪移植」の検索急増
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1990年代生まれの第一弾が早くもハゲ始め、早くも植毛し始めた。この現象の影で急速に発展する業界がある。毛髪移植市場だ。Market Research Futureが発表した「世界毛髪移植マーケットレポート」によると、毛髪移植市場は、今後5年間で年平均24%成長し、2023年には世界で238.8億ドルに達すると予想されている。
さらに細かくデータを見ていくと、
・中国人男性の脱毛症発病率は 21%に達している。
・2015-2017年に「毛髪移植」に関する検索回数は114%増加した。
・2017年には中国毛髪移植業界の市場規模は97億元に達した。
・今後数年内の関連市場の潜在規模は500-1000億元とされる。
2005年に設立された碧蓮盛(ビーリェンシェン)は、中国の毛髪移植業界のパイオニアである。チェーン店方式で国内主要都市に23の直営クリニックを運営。これまでに数万件の毛髪移植手術を行い、年商は数億元とされる。年初には華蓋医療基金(HGキャピタル)をリードインベスターとする投資家チームから5億元の戦略的投資を獲得した。
碧蓮盛の従業員数は約1,000人。創業者でCEOの劉争(リゥ・ジェン)氏は、かつてデル(Dell)や金山軟件(King Soft)にてマーケティングを担当していた人物である。
1997年に毛髪移植技術が導入されて以来、中国では多くの中小企業が雨後の筍のごとく誕生した。現在もその傾向は続いているが、客単価が高い一方で、利潤が低いのが現状である。原因の一つはマーケティングコストが高いこと。iリサーチコンサルティングの報告によると、現在、毛髪移植業界のマーケティング手法は限られており、経費の約70%がリスティング広告に投入されているという。
多くの企業がリスティング広告や、地下鉄広告に集中する中、碧蓮盛は豊富なコンテンツをマーケティングの重点と位置付けている。劉争CEOは、「消費者はますます合理的になってきており、広告を見た後で、資料を集めて意思決定する。そこで、碧蓮盛は、コンテンツを充実させることにより、消費者を教育し、販売実績へ転化させ、ひいてはマーケティングコストを抑制したい」と36Kr記者に語った。
人件費はこの業界の2大コストのうちの一つである。毛髪移植手術は通常、1名のドクターと数名の看護師が5−8時間かけて行う。セールスに対応する人数が必要なので、施術チームの育成は事業の拡大と発展に不可欠となる。
碧蓮盛では、経験豊かなドクターを集めると同時に、施術チームには6-9ヶ月の研修を実施している。これは、同業界平均(約3ヶ月)を大きく上回る期間だ。
碧蓮盛が業界他社と異なるもう一つの点は、「一都市一店舗」のチェーン店経営である。顧客は、自分にとって非常に重要な施術なので、どこであれ(その地域の)「本店」を選ぶからだ、という。
碧蓮盛は、独自基準で進出都市の選択を進めている。同社は選択基準を公開していないが、現在は、客単価が1-3万元以上で、25-28歳男性がメインだが、生え際修正手術を受ける女性客も増えているといった、支払能力が高い一級都市と二級都市が多いようだ。さらに今年中に30店舗へ拡大し、3-5年内に50店舗を目指している。
毛髪移植業界が発展してきたこの十数年の結果、現在は、碧蓮盛や雍禾(ヨンホー)が第一線に陣取り、科発源(コーファーユェン)などがその後を追う形になっている。この業界は毎年倍々の成長を続けているので、さらに多くの新規参入者を惹きつけており、新生などの新しいブランドも急速に成長してきている。碧蓮盛の手堅く拡大するという路線は、ライバルに猶予を与えているようにも見える。
劉争CEOの考えは以下の通り。
・数百億元規模の市場だが、各社の規模がまだ小さいため、さらなる参入が可能になっている。
・毛髪移植は「手術」であり、新規参入者は一定の営業資格を取得する必要がある。また施術チームの育成も求められることから、急速に成長することは難しい。
・業界の競争が激しくなるにつれ、下位の業者間での価格争いは避けられず、継続困難な企業が出てくる。そうなると、碧蓮盛による買収、合併という可能性も大いにある。
毛髪移植業界は、客単価は高くても、リピーターが少ないことは否めない。そこで、今後、碧蓮盛は、髪質向上、髪質修復、関連医薬品といった、「毛髪」関連の製品やサービスにも着手する計画だ。