気付いたときには手遅れも……起業家がやりがちな9つの失敗
更新
カナダのスタートアップ企業SoapBoxの共同創業者でCEOのブレナン・マクイクラン氏がWebサービスMediumにコラムを投稿し、起業からの8年間で気づいた9つの過ちについて明かした。起業当時は失敗ばかりの日々だったが、これこそが天からの贈り物であり、かけがえのない教訓だったと語っている。以下に、起業家が陥りやすい間違った思考を紹介する。
1. 発明はできたが、イノベーションは起こせなかった
真の発明とは何だろうか。真にゼロからの発明というのはそう多くはない。人は変化を嫌い、現状に執着するからだ。
SoapBoxは8年前、創業事業として企業が従業員の本音を吸いあげる「デジタル意見箱」を開発した。6年後、職場改革を目指したこのツールは一定の収益を上げたが、我々のソリューションは真に必要とされているものとは違うことに気づいた。多くの人が求めるものは「意見箱」ではなく、意見を直接やり取りできる職場環境だった。彼らはより速く、より簡単に、より発言しやすい環境を求めていた。
我々はそれから改善を繰り返し、現在のサービスが完成した。「クールな製品を世に送り出してやろう」という気持ちを「人々が日々、職場で直面している問題点を解決したい」という思考に切り替えたのだ。結果的にクライアントの職場では、従業員からのフィードバックが10倍に増えたという。
2.製品でなくて販売に気を取られてしまった
自社製品を世に送り出すとき、販売ばかりに気を取られてはいけない。販売数、契約数、顧客定着率などの拡大に注力するのではなく、製品そのものに力を注ぐべきなのだ。
世に送り出した製品が優れたものかどうか、顧客に愛されるかどうかを確かめるのは、どのみち数年後のことになる。1年より2週間、2週間より5分間でいい。顧客を5分間惹きつける努力をし、それを積み重ねることで初めて多くの顧客の定着が図れるのだ。また、最初は大きな経済的利益を得られる顧客よりも、フィードバックの速い顧客を選ぶべきだ。決断や結論をスピーディーに出せる小規模な組織を相手にするとよい。
3.成績を上げるために人を増やしすぎた
企業の運営に、お金はなくてはならない存在だ。お金を得るためには間断なく販路を拡大し、潜在顧客を掘り起こさなければならない。
そのためには営業人員に仕事を任せることになる。営業成績を上げるために組織をあげて営業戦略を編み出し、個別の顧客対策を練る。ただし、顧客のさまざまな要求に応えることにマンパワーを割かれてしまえば、さらに多くの営業人員が必要となる。加えて、チームとして一貫した方向性を見失ってしまう。
こうした問題は、最初は問題として意識されない。従業員数が増えると組織が成長したように感じられるからだ。しかし、1000人で10億ドルの利益を出す企業と10人で10億ドルの利益を出す企業、経営の手腕が光るのはどちらだろうか?おそらく後者ではないだろうか。
4.人材採用に労力を取られ、本質を見失ってしまった
会社を興し、事業を軌道に乗せる過程は大型のからくり装置を組み立てる作業に似ている。利益を得るために顧客を獲得する。顧客を獲得するために見込み客を探す。見込み客を探すために従業員を雇う……。1年後に達成すべき成果のために、今すぐやるべきことは人を雇うことだと判明する。
こうして目標達成のためのプロセスを分解していくうちに、その一つ一つが単なるからくり装置の一部品であることを忘れていく。優れた人材を確保するという目の前のミッションに手を焼いているうち、目標の達成は当初の予定よりどんどん遅れていく。運転資金が目減りする。すると、今度は人員削減を考えるようになるだろう。
5.自分より優秀な人たちに任せすぎてしまった
初めて起業し、初めてCEOを務める人物にとって、業務のほとんどを占めるのは「自分より優秀な人材を雇う」ことだ。優れた人材が集まりだすと、自信を失うこともあるだろう。
創業者あるいはCEOだからといって、自身が率いる企業の全てに通じているわけではない。社内にはエンジニア、デザイナー、営業など、それぞれの分野で経営者より長けた人材がいる。彼らを目の前にすると多くの経営者はこう考える、「その分野では彼らのほうが優れているのだから、彼らの好きなようにやらせよう」。従業員の自主性を重んじるのももちろん大切だが、経営者はそれでも自分の直感を信じなければならない。直感こそが、自身をここまで導いてきたものだということを忘れてはならない。
あなたの事業に出資してくれた人々のことを考えてみよう。彼らはあなたの事業にお金を投じた。お金を出したのは彼らだから、経営者は彼らの言うなりになるべきだろうか?答えはNOだ。彼らは自分自身に出資したのではない。あなたに出資したのだ。従業員に対する考え方もこれと同じで、彼らがあなたより秀でているからといって、彼らの全てに従う必要はない。
創業者として、あなたは他人が持ちえない多くの情報や経験を持っている。それらが培ってきたあなたの直感を信じ、組織を率いれば、きっとうまくいくはずだ。あなたの興した会社に、あなたより聡明な人間はいない。
6.そのうち時間ができると考えていた
「従業員が5人になれば業務を任せられる。きっと楽になるだろう」という考えは、実際に5人を雇ったときに間違いだったと判明する。その時には「従業員が15人いれば……」と考えるようになるだろう。
どんなに待っても、どんなに従業員を増やしても、今より時間に余裕ができることはない。今できないことは、今後もできるようにはならない。これは、起業したばかりの人は信じたくない事実かもしれない。プライベートももっと重視したいというなら、今、それをすることだ。ビジネスとプライベートの調整は、自身の思考を変えない限り実現しない。
7.自分への投資を後回しにしてしまった
会社の成長ばかりに気を取られ、自分自身の研さんをおろそかにしてしまう経営者は多い。起業当初は2~3人でスタートしたフラットな組織も、従業員が10人ともなれば管理者の存在が欠かせなくなる。管理者として人材や設備への投資に夢中になっていると、人は自分自身への投資を忘れていく。これが企業の成長にとって障害となる。企業の成長と創業者の能力は一定の相関性があるからだ。
8.人に助けを求めなかった
世の中の多くの物事は損するか得するかに二分されるが、人間関係は互いに利益をもたらすことのできる希少なものだ。長期にわたって人との絆を構築し、大切にする人は、大いに報われるだろう。
人に助けを求めることは簡単ではない。断られたらどうしよう、気を悪くされたらどうしようと考えてしまう。しかし人脈という最強のツールを利用しないのはもったいない。それはいつでも快くあなたを助けてくれるだろう。また、起業家にとって必ずしもメンターが必要とは言わないが、もしいるならば大いに助けになるだろう。
9.従業員とのコミュニケーションを軽んじた
創業当初は人材が定着しなくても仕方がない、という考えは大きな間違いだ。もし誰かが会社を辞めていく、あるいは誰かを解雇せざるをえない状況になったなら、それは一種の忠告と受け止めるべきだ。
持てる時間の1割を割いて、マネージャーが従業員1人1人とコミュニケーションを図ることに意義はあるだろうか?答えは「大いにある」だ。これで問題の9割は解決できると言ってもいい。彼らが口に出せずにいた本音の中に、多くの警告を見出せるはずだ。すでに本音を言えないような雰囲気の職場なら、1人1人と個別に対話の場を設ければよい。
(翻訳・愛玉)