ジャック・マー、雷軍……中国IT界4巨頭が語る「人類とAIの未来」

上海で開幕した2018世界人工知能(AI)大会には、4社で時価総額1兆ドルを超える中国IT企業の巨頭、アリババ(阿里巴巴)の馬雲(ジャック・マー)、テンセント(騰訊)の馬化騰(ポニー・マー)、バイドゥ(百度)の李彦宏(ロビン・リー)、シャオミ(小米)の雷軍と、4トップも顔を並べた。

莫大な利益をもたらすと期待されるAI産業。雨後の筍のようにスタートアップが出現し、国家戦略にも組み入れられて以来、上記4人のリーダーの発言からは、「そろそろAI産業の方向性に着地点を見つけたい」との思いも透けて見える。

AI化できない企業は先がない

「AI時代が到来した」。前年のAI世界大会でこう発言したバイドゥの李彦宏CEOは、AI産業の未来に常に楽観的な見方を示す。「現代化の定義はすなわちAI化だ。AIと一切無関係だと言い切れる企業は将来的に存在しなくなるだろう」とまで断言している。

テンセントの馬化騰CEOも同様の見解を示す。「AI技術に関しては、いかなる企業や都市、国家もこれを避けては通れない。もはや世界全体を巻き込む動きだ。技術開発からソフトウェア、ハードウェア、そしてサービスに至るまで、世界規模で協力することで最適化されていくことだろう」と述べている。

アリババの馬雲会長は、自身の提唱する「五新(新小売、新製造、新金融、新技術、新エネルギー)」のうち「新製造」を例にとり、「製造業などの既存産業を刷新できないなら、AIなどの新興技術は意義を失う。また、AI技術導入に失敗した企業は失速するだろう」とした。

シャオミの雷軍CEOは、「AI時代の現在、世界をリードする巨大企業はおしなべて核心的戦略にAIを据えている。シャオミもこれに倣うより他はない」と述べた。

AIは「人のつながり」の限界を打開する存在

馬雲をはじめとする4人は、AIが単なる技術から思考方式のひとつに昇華したと考えている。

馬雲は「AIは確実に人類の未来の生活を変える。ただAIそのものは技術というよりも、外界や未来、人類自身を認識する一種の思考方式と考えている」と述べ、李彦宏は「企業がAI化を進めるには『AI思考』を備えていないとならない。万物が相互に関連するという視点から、新たに企業戦略を練り直すのだ。インターネットが人と人とのコミュニケーションを効率化したように、今後はAIが人と物との交流を進めるだろう」と話した。

月間アクティブユーザー10億人を抱えるメッセンジャーアプリ微信(WeChat)を世に送り出した馬化騰は、すでに人と人とのつながりに限界を見出しており、それを打開するのがAIだと考えているようだ。「AI技術が導く『大社交』時代は将来的に、全人類の『モーメンツ(ソーシャル機能)』を数百億人規模にするだろう。あるいは数千億人かもしれない」と述べている。

最大の不安要素は「人類の思考停止」

AIの普及に伴って生まれる課題もある。

「倫理基準の整備はAI企業の責務の一つ」と考えるのは李彦宏だ。AI企業は大前提として安全性、モラルや社会性を保持するべきで、AIの目指す理想形が人類の代替、あるいは人類の超越ではなく、人類の自由と可能性を切り開くことだとしている。また、AI技術は人々に平等に恩恵をもたらすべきだとも提唱している。

AIが社会にもたらす潜在的な影響について、馬化騰は4つの焦点を挙げた。

1. AIのアルゴリズムは明確で透明化されているか(=人が把握できるものであるか)。
2. AIが個人に危害を及ぼしたり、人類全体の利益を脅かしたりしないかどうか(=人がコントロールできるものであるか)。
3. AI技術がより多くの人に利用され、そのメリットを享受できるようになっているか(=人が存分に利用できるものであるか)
4. AIが不具合を自動でリカバリーし、安全で安定した運用がなされているか?(=人にとって安心できるものであるか)

AIそのものよりも、AI普及後の人類について憂慮するのは馬雲だ。人類の思考停止がより大きな不安要素だと指摘する馬雲は、従来のルールやシステム、思考や教育などすべてを改革する必要があると説く。「上辺をなぞるだけではいけないとうことだ。開発者にしても技術者にしても、そして支援をする政府にしても。これは大きな挑戦だ」。
(翻訳・愛玉)

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