トレンドの象徴から無料宿泊所へーマクドナルド、中国上陸28年の変遷

2018年10月9日は、マクドナルドが中国へ進出して28年目の記念日だった。中国初の店舗は1990年、香港に隣接する広東省深セン市にオープンし、店外に長蛇の列ができる盛況となった。それから28年、中国市場におけるマクドナルドの位置づけは変遷してきた。

改革開放政策が未曽有の経済発展を起こそうとしていた当時、人々は初めて出合う「異国の味」に興味津々だった。20台のレジを備えたマクドナルド中国1号店は、香港ドル紙幣を握りしめてハンバーガーを買い求める客で溢れ返った。このとき行列に並んでいたのは、改革開放政策の恩恵を受け、起業によって豊かになりはじめていたごく一部の裕福な人々。マクドナルドが初めに受け入れた中国の顧客たちだった。

1992年4月、マクドナルドは中国の首都、北京に上陸した。市内随一の繁華街に開業した店舗は「アジア最大のマクドナルド」をうたい、初日だけで1万人以上の客が訪れた。

若者の支持を受けて中国全土に店舗を拡大するにつれ、マクドナルドは一種のトレンドの象徴となった。中国進出当時はハレの日のごちそうだったが、徐々にカジュアルな日常食へと変化した。「週末はマクドナルドに行くよ」。当時の子どもたちはこの言葉を励みに勉強にいそしみ、マクドナルドのキッズセットについてきたおまけがあれば、学校中のアイドルになれた。

その子供たちもやがて大人になり、彼らにとってのマクドナルドは、残業時の小腹を満たす軽食や、ランチの時間も捻出できないほど多忙な日の非常食になった。マクドナルドが中国で大衆化していく過程はそのまま、中国経済の成長と庶民の消費力の向上を示している。

2018年、中国人にとってのマクドナルドはもはや欧米化のシンボルではなく、日常のどこにでも転がっているありふれたものになった。

事業面から見ると、マクドナルドの中国展開は間違いなく成功だ。現在、世界中のマクドナルドで3位の売上げを上げているのが中国で、現在、総店舗数は2700店を数える。2022年末までに4500店体制に拡大する計画で、その成長速度は世界一だ。

成功の秘訣は、単純な飲食業からの脱却にある。「マクドナルド」というシステム全体を売る経営手法が成功を導いたのだ。1950年代、マクドナルドはフランチャイズ・レアルティ社を設立。世界中で交通の便がよいロケーションにある土地を取得し、これをフランチャイズ加盟店に貸し出すことで利益を得る構造を打ちたてた。現在、世界中にある3万6000店のうち70%の店舗、45%の土地は自社所有となっている。加盟店は家賃のほかに、開業保証金やフランチャイズ権料、売上げから一定のロイヤルティをマクドナルド側に支払う。

ただし中国では2017年1月、金融・証券関連の国営複合企業、中国中信集団(CITIC)が中心となり、マクドナルドの全事業は買収された。中国・香港の加盟店を20年にわたって運営する権利が譲渡され、徐々に直営店の割合を増やしている。

かつてカルチャーアイコンだった中国のマクドナルド。現在では一部の人々にとってシェルターの役割も担っている。2006年4月、北京市内の17店舗が24時間営業を開始し、「ネットカフェ難民」ならぬ「マクドナルド難民」が誕生したのだ。トイレに行くためにマクドナルドを使ったことがある人は少なくないだろうが、一部の若者や残業ビジネスマン、深夜も働くタクシー運転手、時にはホームレスにとって、マクドナルドは無料の宿泊所でもあるのだ。何も注文しなくても、少なくともお手拭きと水は手に入る。もはや社会に欠かせない公共インフラと言える。
(翻訳・愛玉)

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