空気と水だけで空間を消毒 安全な感染症対策で注目集まる「PeroPure」が資金調達

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空気と水を使った空間消毒技術を開発する「PeroPure(清越科技)」がプレシリーズAで2度の資金調達を完了していたことがわかった。出資者はそれぞれ米国DCMと真格基金(Zhen Fund)で、調達金額は総額1000万ドル(約11億5000万円)近くに上る。同社はこれ以前にもシードラウンドで米スタンフォード大学TomKat Centerからの出資を受けている。

ウィズコロナ時代に入り、カーボンニュートラルが国家の中長期的な目標となる中、健康や環境保護に対する社会のニーズがますます高まっている。PeroPureはその機運と共に成長を遂げてきた。

創業者の陳志華CEOはスタンフォード大学で化学博士の学位を取得、Jaramillo准教授の研究室で新エネルギー分野における電極触媒反応装置の活用を専門に研究していた。アフリカの一部の途上国では消毒など衛生管理を行う際、大量の消毒剤に頼るしかない。このことに気づいたチームは、空気と水だけで消毒できる装置を開発し、インフルエンザ対策に応用した。これがPeroPureの前身だ。

陳CEOとコアメンバー数人は2019年に米国でPeroPureを立ち上げ、空気と水を使った消毒や空気浄化の事業に着手する。2020年初めに中国で新型コロナウイルスが大流行すると、公衆衛生インフラの重要性に気付き、コア技術の実用化を決意した。

同社のコア技術「ElectroPero」は8年の研究が結実したものだ。この技術は電気化学的酸化還元法を利用し、空気と水を直接反応させて過酸化水素(この水溶液はオキシドールと呼ばれる)を発生させるもので、物体表面や空気中のウイルス、細菌、有機汚染物質、有害ガスなどを効果的に殺菌・分解することができる。

これまでの消毒方法は主に紫外線や高温高圧を利用した物理的な消毒と、塩素やアルデヒド系消毒剤、オキシドールなどを用いた化学的な消毒が用いられてきた。PeroPureの消毒技術は空気と水しか使わないため有害物質が残留することがないほか、危険物である過酸化水素の輸送、保管、希釈などに伴うリスクも回避できるなど、大きな利点がいくつもある。

通常、薬剤を噴霧する化学的消毒は、施設の営業後など人がいない状態で行う必要がある。しかしPeroPureの技術は発生させる過酸化水素を常に安全な濃度に保つことができるため、人がいる空間内でも使用できる。消毒装置の電源を切ると、発生した過酸化水素分子は数分から数時間で水と酸素に分解され、残留物は一切残らない。

PeroPureの消毒装置

現在、事業者向けの「PEIDUN(配盾)」と一般消費者向けの「IKAAS(笑也)」という2つのサブブランドを展開している。事業者向けには空間消毒装置や空間消毒ロボットを販売する。空間消毒装置はエレベーターや教室、病室、客室、レストラン、バス、地下鉄などの密閉空間で使用され、空間消毒ロボットは空港、駅、ショッピングモール、ホテルなど人が密集する広い空間での使用に適している。他のシーンに対応した消毒装置も開発中だ。

消費者向けのIKAASは口腔ケアブランドという位置づけで、高圧水噴射を利用した口腔洗浄器を発売している。今後は電動歯ブラシやプロ仕様の口腔洗浄器をはじめ、その他の口腔ケア製品を続々と投入する予定だ。

PeroPureはすでに製品の量産を始めている。陳CEOによると、これから政府機関や学校、銀行、病院などを中心に、製品の市場投入を進めていくという。同社のコア技術は現在、新型コロナウイルスの殺菌力テストを行っており、日常的な感染症対策が重要な市場開拓の分野となっている。将来的には農業や環境保護などさらに多くの分野でも技術の活用が期待される。
(翻訳・畠中裕子)

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