中国の動画生成AI「Kling」に4900億円、Runway超え評価額180億ドルへ
中国のショート動画サービス大手「快手科技(Kuaishou)」は7月2日、香港証券取引所への開示で、動画生成AI事業を担う傘下の「可霊(Kling)」が新たに資金調達を完了したと発表した。
資金調達は2段階で進められる。第1段階では21の投資家が合計約138億元(約3300億円)を出資する。同日には、さらに15の投資家が加わり、52億2400万元(約1300億円)を追加出資。今回の調達累計額の上限は204億4700万元(約4900億円、約30億ドル)と定められている。
公表されている調達前の評価額が150億ドル(約2兆4000億円)であることから、16.67%の株式希薄化を伴う今回の取引により、上限(30億ドル)まで調達できた場合、同社の評価額は180億ドル(約2兆9000億円)に達する。快手の持株比率は増資完了後も約68.33%を維持して、支配株主としての地位は変わらない。Klingの業績は、引き続き快手グループの連結決算に組み入れられる。
また開示された財務データによると、Klingの2025年通年の売上高は約11億元(約260億円)だった。売上の伸びは下半期に入って大きく加速し、25年12月の単月売上高は2000万ドル(約32億円)を突破。この水準を年換算した年間経常収益(ARR)は約2億4000万ドル(約390億円)となる。さらに26年3月にはARRが5億ドル(約810億円)まで拡大し、半年で108%超の成長を記録した。
一方、急成長の裏で継続的な巨額投資により赤字も拡大している。Klingの24年の純損失は5億元(約120億円)だったが、25年には19億元(約460億円)に拡大した。25年末時点の総資産は2億4400万元(約59億円)、総負債は2億5300万元(約61億円)だった。
AI動画生成の分野での資金調達の動きを見ると、これまで世界最高の調達額を記録したのは米国の「Runway(ランウェイ)」である。今年2月にシリーズEで3億1500万ドル(約510億円)を調達し、評価額は53億ドル(約8600億円)だった。
中国の競合では、3月に「PixVerse」の開発元・愛詩科技(AIsphere)がシリーズCで3億ドル(約490億円)を調達し、評価額は約10億ドルとなった。6月には、AI画像生成プラットフォーム「LiblibAI(哩布哩布AI)」を展開する「演語科技(Evoken)」がシリーズB+で約3億ドルを調達し、評価額が20億ドル(約3200億円)を突破している。
Klingが今回の調達を上限まで完了すれば、調達額(30億ドル)、評価額(180億ドル)ともにこれまでの業界記録を大幅に塗り替えることになる。
*1ドル=約162円 1元=約24円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)