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アマゾン中国(亜馬遜中国)が越境EC事業を手放すと、経済誌「財経」が今月19日付で報じた。
網易(ネットイース)傘下の越境EC「網易考拉(KAOLA.com)」からの打診に、アマゾン中国の越境EC事業「海外購」が応じて、2018年末に合併契約を締結したという。ただし、考拉は報道についてコメントを避けており、アマゾン中国は「単なる市場の憶測」と否定している。
アマゾンは2004年に地場のEC「卓越網(Joyo.com)」を買収して中国市場へ進出した。しかし、順調な成長を遂げてきたとは言い難く、これまで何度も身売りの噂がささやかれてきた。今回の報道もこれまでと同様に「単なる噂」と一蹴した同社だが、中国市場での不振は隠しようもない。アマゾン中国はオンライン書店事業、越境EC事業、クラウド事業、物流事業(すでに撤退)の4本柱で展開してきたが、オンライン書店事業以外は一貫して振るわない。
潤沢な資金、人材、技術を擁し、各国で業界上位の座を欲しいままにしてきたアマゾンだが、中国ではその成功モデルは通用しなかった。アマゾンのジェフ・ベゾスCEOはその要因について、「スピード感や勢い、投資、ローカライズ、いずれも不十分だった」と分析している。簡単に言えば、中国とは水が合わず、また勉強不足だったということだろう。
もともとオンライン書店から出発したアマゾンは、中国進出に際してもこれを踏襲した。書籍販売事業ではそれまでに構築したサプライチェーンや物流体制を生かし、さらに卓越網という現地パートナーを得て順調なスタートを切った。
しかし、中国市場でのさらなる拡大を求めた時、既存の成功モデルを当てはめるだけでは立ち行かなくなった。現地市場のマーケティングを怠り、地場の競合の返り討ちにあってしまう。
中国のECは価格戦略を重視する。まずは廉価で商品を売り、市場シェアを獲得することに専念するのだ。アマゾンは中~高価格帯で勝負するというポリシーにこだわり、ここで戦略を見誤った。さらに、近年の中国では購買力の向上や消費の多様化といった「消費のアップグレード」が起こっていたにもかかわらず、その波に乗れなかったのも敗因だろう。この点、地場ECは市場の空気感を素早く感じ取り、オフライン展開や新業態への転換を進めていった。成功の一例としては、アリババ傘下の「淘宝心選(Taobao Xinxuan)」、網易傘下の「網易厳選(NETEASE YEATION)」など、セレクトショップの形式をとったライフスタイル系のECが挙げられる。
また、配送サービスで中国の顧客を満足させられなかった点もアマゾンの敗因だ。現地企業の配送サービスは「即日配送」「1時間配送」が基本。これに慣れたユーザーには、アマゾンの配送は遅過ぎる。2016年、アマゾン中国は即配サービスなどが受けられる「Amazonプライム」をスタート。しかし、ここでも京東集団(JD.com)など現地企業のプレミアム会員サービスを超えることができなかった。
中国の超大手IT企業はとにかくスピード感があり、身軽だ。この点を理解しないと外資は太刀打ちできない。アマゾンはアメリカに本社を構えているので、現場からのフィードバックも遅れがちだ。しかし、中国では一歩が遅れれば、すべてで後れを取ってしまう。
アマゾン中国のEC事業は2008年をピークに下降している。中国のIT専門調査会社「易観」によれば、アマゾンは2008年に中国のB2C市場で15.4%のシェアを獲得したものの、2018年には1%以下にまで落ち込んだ。
2014年、アマゾンは初の越境ECサービス「海外購」を中国でスタートした。海外出店サービス「全球開店(amazon global selling)」も後に続いた。この2つを柱とした越境EC事業は、アマゾン中国の4大主要事業に名を連ねている。
越境EC事業はアマゾン中国にとって生存戦略として功を奏した。中国の越境ECとしては安定して上位10位に入るシェアを獲得している。
報道の真偽は定かではないが、もしアマゾン中国が越境EC事業で網易考拉と統合するなら、さらなる成長のための賭けに出たとも言える。
アマゾンが競合を取り込むのは、市場競争を勝ち抜くための常とう手段だ。中国進出の際も、アマゾンと同じく書籍販売からECとして成長してきた卓越網を買収し、ライバルの「当当(dangdang.com)」を打ち負かした。
アマゾンの海外購と網易の考拉は、ミドルレンジ~ハイエンドをターゲットとしており、路線が類似。親和性は比較的高い。網易考拉の平均客単価は500元(約8300円)超で、中国の越境ECでは最も高額だ。もし両者が合併すれば、国内の越境ECでトップ3圏内に食い込める。
ただし、アリババやテンセント系の競合先と比較すると、数字の上では僅差に迫ることができても、インフラ面ではまだ脆弱だ。
アリババは国際物流やサプライチェーンの面で国内最強の布陣を構えている。また、越境EC事業にかなり注力している。最近行った組織改革で「天猫国際(TMALL.HK)」を独立した事業グループとしたのも、戦略上の重要性が高まったためだ。一方のテンセントはSNSからの誘客に強みがある。
網易陣営がこれらのトップ企業と闘う過程では多くの困難が待ち受けているだろうが、それでもアマゾンにとって考拉との合併は渡りに船の申し出であることは間違いない。
(翻訳・愛玉)
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