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コロナ禍前に一世を風靡したタピオカブーム。街のあちこちでタピオカドリンクスタンドがオープンし、若年層を中心にタピオカを片手に歩く姿が多く見られた。中国本土や台湾大手が日本に進出したり、日本在住の中国人が個人店をオープンさせるなど、文化の本家である中華圏の影響も大きかった。タピオカブームからおよそ2年経った今、東京近郊のタピオカ店はどう変化したのだろうか。
大手生き残り系
現在、日本最大手のタピオカドリンクスタンドは台湾発の「ゴンチャ(貢茶)」だ。2015年に日本1号店を出店した同社は店舗数を急拡大し、タピオカブームが一段落した2021年7月には100店舗目を出店、2022年4月には120店舗目をオープンさせている。季節限定のフルーツティーやフローズンティーなど、タピオカ以外のドリンクも充実しており、スターバックスのような感覚で利用する層が増えていそうだ。アウトレットモールやイオンモール、高速道路のパーキングエリアにも新規で出店しており、高校生などの若い世代だけでなく、ファミリー層にも訴求している。
同じく台湾発の「CoCo都可」や「THE ALLEY LUJIAOXIANG」は都内を中心にタピオカブーム全盛期には20~30店舗ほどまで増やしていたが、2022年8月時点では一桁にまで後退している。しかし、これでも中国や台湾ブランドのチェーン店としては健闘しているほうだ。中国初の大手ドリンクスタンド「奈雪の茶」は2020年7月、大阪・心斎橋に日本一号店をオープンするものの、2021年9月に閉店し撤退。同じく中国の「喜茶(HEY TEA)」は2020年、渋谷で出店準備を進め、日本語版のTwitterや食べログのHPまで作成していたが結局オープンすることはなかった。
タピオカ+αで生き残り
タピオカブームにあやかって急激に増えていったのが中国人経営の個人店だ。上述した中国のブランド喜茶(HeyTea)を文字った「宣喜茶(HEFKTEA)」やTikTokを文字った「TikTea(抖茶)」など趣向を凝らした(パクリ)店が増えた。こうした店のほとんどはブームにのっただけのなんちゃってタピオカ店だったっこともあり、既にほとんどが姿を消した。
一方でこうした店の中で今も経営を続けるのがブーム終了のタイミングでタピオカ以外の商品も提供し始めた店だ。神田の「綿茶」は2021年頃から魯肉飯や担々麺、浅草橋の「源茶」ではオーナーの出身地である福建省の軽食を提供し始めており、2022年8月現在でも営業を続けている。
他にもタピオカとともに仙草ゼリーや豆花などの台湾スイーツを提供し、中華スイーツに転身した店もある。チェーンではなく、個人経営のなんちゃってタピオカ店だからこそ、トレンドに合わせ柔軟にメニューをアップデートしタピオカブームが去った後も生き残れたのだろう。この他、日本で暮らす中国人留学生が多い高田馬場などでは、2022年になっても新たにオープンしているタピオカ店もある。タピオカもガチ中華と同様、中国人が多い場所では需要があり、日本人のブームが終わってもひっそりと生き延びているのである。
日本人のタピオカブームが一段落した今、中国人が日本でタピオカ店を大量出店することは考えにくい。今後はゴンチャを中心にCoco都可や日系の店などが日本人向けのタピオカ店の中心になり、中国人が多い地域は個人のタピオカ店がタピオカに加え中華スイーツなどの軽食も出す店に切り替わっていくのではないだろうか。個人経営店は中国で流行っているスタイルをそのまま持ち込んできたガチ中華のように、新しいトレンドにのって柔軟に提供するものが変わるので今後も動向に注目したい。
阿生:東京で中華を食べ歩く26歳会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内に新しくオープンした中華を食べ歩いている。Twitter:iam_asheng
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