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中国ではこのところ、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を手がける企業の資金調達が相次いでいる。そのうちの1社、「弘玑Cyclone(Cyclone robotics)」は中国で今最も将来性が見込まれるRPA企業の一つだ。同社は先日、シリーズAで1000万ドル(約10億8000万円)を調達しており、ベンチャーキャピタルの「DCM中国」と「源碼資本(Source Code Capital)」が出資した。
業務自動化を実現するRPA
RPAは業務自動化のためのロボット型ソフトウェアだ。事前に編集されたルールに基づき、人間が行う操作(クリックや入力など)を再現するもので、「規則性があり、繰り返しの多い」作業を大量に行うことができる。
API接続やシステムインテグレーション、特注ソフトウェアと比べると、各種ソフトのAPIを取得する手間や特別なソフト開発を必要とせず、ユーザーインターフェース(UI)要素または画像に基づき、AI(人工知能)を搭載したロボットが操作を代行することで自動化を実現できるところがRPAの最大の特長だ。
2019年は11倍以上の増収見込む
現在のところ、弘玑Cycloneは、財務・税務、人事、サプライチェーン、生産、運営、会計などの分野で豊富な実績を誇っている。
CEOの高煜光氏によると、同社の製品は2018年8月の発売以来、すでに数千万元(約数億円)以上売り上げており、2019年の売上は前年の11倍以上になる見通し。また、中国内外の大手IT企業やコンサルティング企業と提携し、共同で中国市場を開拓する構えだ。同社は国際化も重視しており、日本や東南アジアなどの海外市場でも事業展開に乗り出しているという。
RPA市場を制するポイントは
高氏はRPAの市場競争について、迅速に市場を占有すること、製品の安定性、堅牢性、信頼性を高めることの2点が現段階で最も重要との認識を示した。
RPAを導入する顧客は大企業が中心であり、ひとたびその製品が認められれば、ソフトウェア型ロボットの必要数は増え続け、利用場面も多くなる。そうすると、RPA企業の方も顧客の業務フローに対する理解が深まる。RPAは長期的なサービス体制を重んじ、反復購入を獲得していくというビジネスだ。
迅速な市場の占有には、弘玑Cycloneのコアコンピタンスと提携企業を活用することが最も適しているとみている。提携企業は中国に進出する外資系大手コンサルやIT企業、中国の大手コンサルや大手システムインテグレーターなどで、いずれも多数の大企業を顧客に抱え、客先の業務フローも熟知しているためだ。
製品の安定性、堅牢性、信頼性の向上も重要だ。無数に発生する想定外の問題を一つひとつ解決し、ノウハウを蓄積することが競争優位性につながるという。RPAの将来性という点では、同社は顧客企業の業務フロー全体の90%以上を自動化するソリューションの実現を見据えている。
AIと認知技術で市場拡大へ
IT業界に特化した調査会社の米HfSリサーチによると、RPAの世界市場の規模は2022年に43億ドル(約4600億円)を超える見通しだ。市場としてそれほど大きいわけではないが、拡大の余地はあるのだろうか。
高氏は、現在のRPA市場はまだ定型業務の自動化を実現している段階だと指摘。次の第2段階ではスマート化が進み、コンピュータビジョン、自然言語処理、音声認識ロボットなどの技術を融合することで、より広い範囲の業務自動化が実現できるとみている。第3段階ではRPAの認知技術が向上し、ナレッジベースに専門家の知識を取り込むとともに、顧客の業務フローに関する大量の電話を収集、分析することで、RPA自身による分析と判断が可能になるとした。「定型業務」という制限を突破することによって、想定される利用場面に大きな可能性が生まれるとしている。
(翻訳・池田晃子)
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