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2018年は中国国内のゲーム業界にとって、ターニングポイントとなった1年であった。ゲーム認可申請の凍結、ライセンス発行数の制限等一連の政策によって、中国政府は、ゲームのサプライヤー側に改革を促す指導を強化するとともに、中国文化を代表する良質な作品の開発と海外展開を奨励する方針を示した。
統計によれば、2013年より中国で制作されたゲームの海外における売上高が急速な伸びを示しており、2018年の年間売上高は前年比15.8%増の約96億ドル(約1兆円)に達したという。中国国内におけるゲーム業界に対する政策の厳格化がきっかけで、中国のゲーム会社が海外の広大な市場に活路を見出すようになった。海外市場でいかに利益を上げるかがキーポイントになっている。
中国ゲームの海外展開における一般的な流れは次の図の通り。
この流れから、ゲーム作品の国内外における発表までの過程の最大の違いはローカライズであることがわかる。
いわゆるゲームのローカライズとは、ゲーム作品を対象国の言語に翻訳して適応させ、必要に応じてゲーム作品に対して相応の修正変更を加えるプロセスを指す。翻訳はローカライズの最も基本的な一過程だったが、2017年から、ゲームコンテンツ、スタイル、課金の支払い方法等翻訳以外の修正ニーズが高まってきた。言いかえれば、ローカライズのタスクはゲーム作品の海外での発売を手助けするためのものであり、キーポイントは対象国の課金構造やユーザーニーズを研究することにある。
米国サンフランシスコに本社を置く「博特盈(Pole to Win、以下PTW)」は、上海を含む世界10か国に16か所のスタジオを持ち、ゲームのローカライズサービスを提供している会社だ。PTWのCEOである Deborah Kirkham氏によれば、中国制作のゲーム作品の海外展開を重点的にサポートしている同社の主な業務には以下のものがある。
■ ゲームテキストのローカライズ翻訳。
■ ゲーム音声の再制作と吹き替え。
■ ゲームの文化的要素についての再評価、現地ユーザーの嗜好に合わせた調整。
■ ゲームの現地運営サポートとカスタマーサービスの提供。
Deborah氏は、現在PTWは中国国内のゲームベンダートップ4社と提携しており、ゲーム作品の海外での発売と運営をサポートしていると語った。中国で制作されたゲーム作品が欧米で発売される場合を例にとると、PTWはゲームのローカライズの過程において、通常以下のことを考慮に入れる。
■ ゲームにおける中国的要素について、そのまま残すか、それとも西洋の要素で代替するか。
■ ゲームキャラクターが欧米市場で歓迎されるかどうか、欧米市場で歓迎されるヒーローキャラクターの追加が必要かどうか。
■ ストーリー中のミニストーリーと比喩を西洋のユーザーになじみ深いストーリーに変更する必要があるかどうか。
■ TwitterやFacebook等、西洋で主流となっているSNSでの拡散方法。
■ ゲームの課金構造が西洋のユーザーの消費習慣に合致しているかどうか。
■ PayPal、VisaとMastercardなど欧米で主流となっている支払い方法の追加。
■ ストーリーが現地政府の審査を通過できるかどうか。
現在ゲーム作品の海外展開とローカライズ分野では、PTWの他に、Localize Direct等国際的ゲームローカライゼーションプラットフォームや小規模の翻訳チームなどが活躍している。しかし、市場には依然として満たされていない大きなニーズが存在する。今後中国のゲームの海外展開が加速するにつれて、ゲームのローカライゼーションがより一層重要な部分となる。最強の競争力はやはり各地域の市場に対する深い理解とプロフェッショナル集団の確立にかかっている。
(翻訳・桃紅柳緑)
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