伝統的な旧正月の過ごし方に変化、若者がけん引

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間もなく辰年の春節(旧正月)を迎える中国では、旅行や春節用品の準備など伝統的な年越しに新たな変化が現れている。変化を促しているのはネット世代の若者で、彼らが徐々に一家の大黒柱として成長し「年越しの仕切り役」を引き継ぐようになったことで、春節の過ごし方に新たな風が吹き込んでいる。

春節期間中は旅行を楽しむ人も多く、ソーシャルメディアでは「南北交換旅行」というワードが注目されている。「南方の人は雪を見に北へ、北方の人は寒さを避けて南へ」という若者の理想的な生活への願望を満たすために、家族と一緒に遠出することが新たな選択肢となっている。

英市場調査会社のカンターが発表した「2024年春節の若者のソーシャルメディアトレンドに関する洞察報告」では、若者の36%が春節期間中に旅行関連の支出を増やす計画があった。オンライン旅行大手の携程旅行網(シートリップ)が1月15日に発表した「2024年春節旅行市場予測報告」でも、今年は「南北の人々が入れ替わって年を越す」ことがトレンドで、国内では北京、上海、広州、深圳、ハルビン、成都、西安、杭州、三亜、昆明が人気を集めている。中でも北方のハルビンは昨年の人気目的地トップ10圏外から今年は5位に躍進。ハルビン旅行は元日連休から春節連休期間までブームが続いており、予約件数も前年同時期の15倍以上にまで増えた。南方の三亜や昆明なども北方の観光客から避寒地として好まれ、昆明は春節期間の予約件数が約8.4倍に上ったという。「南北交換」式の年越し旅行が流行し、異郷での年越しを体験することが新たなトレンドとなった。

春節用品の買い物や年夜飯(旧暦大みそかに食べる食事)のメニューはこれまで、全て親が考え用意するものだった。電子商取引(EC)大手アリババグループ傘下の通販サイト「天猫(Tモール)」がこのほど発表したデータによると、同じくアリババ傘下の通販サイト「淘宝網(タオバオ)」で春節用品を注文したユーザーの半数以上が「95後」(1995~99年生まれ)世代だった。「95後」が家庭における春節用品調達の意思決定者となりつつあり、「年越しから逃げる」姿勢から徐々に「積極的に参加する」、さらには「年夜飯のテーブルを仕切る」ようになり、春節用品や年夜飯の準備に新たな変化が生じている。

対聯(縁起の良い対句)は春節の装飾品として定番だが、若者は毛筆で書かれた伝統的な対聯ではなく、諧音(かいおん、同じまたは似た音の漢字を使った言葉遊び)や模様、イラスト、アルファベットを組み合わせた新しいスタイルの対聯を好む。客人をもてなす際のお茶請けは、伝統的な落花生や瓜子(グアズ、スイカやカボチャなどの種)、酥糖(砂糖菓子の一種)などに代わり、より健康的な薬膳スナックが好まれている。「95後」が準備をする年夜飯は、「ふるさとの味」よりも輸入品や他地域の特産品など「新品種」の方が多く食卓に並ぶ。例えば、お酒はミルクティーに火鍋は螺螄粉(タニシビーフン)に代わり、「辣条(ラーティアオ、ピリ辛のおつまみ)」がギョウザの具になる。浙江省の人が内モンゴル自治区の羊肉を、広東省の人が新疆ウイグル自治区アルタイ地区の冷水魚を好んで食べるのだという。

広東省で働く汪さんは「四川省の実家で暮らす両親が広東省に来て年越しするので、サムズクラブ(米ウォルマート傘下の会員制スーパーマーケット)で天然のアメリカンロブスターを注文した。両親のために腕を振るいたい」と語る。年越しの食事はふるさとの味だけではなく珍しいものも食べてもらいたいと考えており、ネットも駆使しながらさまざまな輸入食材を購入しているという。

淘宝網と天猫で食品・生鮮部門の責任者を務める張鵬氏は「秋にはミルクティーを飲み、冬には七輪を囲んでお茶を楽しむといったように、若者の『儀式感』を楽しみたいという欲求が新たな消費トレンドを形成している。年越しは若者にとっても一年で最も大事な祝日だが、その過ごし方は変化しつつある」と説明した。(新華社北京)

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