高度運転支援の4Dイメージングレーダー、中国メーカーが量産準備急ぐ

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先進運転支援システム(ADAS)の普及に伴って、主流センシング技術の一つであるミリ波レーダーが4Dイメージングレーダーという新しい技術に進化しつつある。米テスラやインテル傘下のMobileye(モービルアイ)などの大手企業も、運転支援システムで4Dイメージングレーダーを積極的に採用している。

こうした中、業界では4Dイメージングレーダーの新興メーカーが数多く生まれている。そのうちの1社「賽恩領動(SINPRO Intelligent Technology)」を創業した李旭陽CEOは、4Dイメージングレーダーの時代になれば高度な運転支援の需要に応えられるとの考えを示した。

同社の4Dイメージングレーダーは、業界トップクラスの新エネルギー車(NEV)メーカーによる量産プロジェクトに照準を定め、今年後半に納品を予定しているという。

2021年に設立された賽恩領動は、4Dイメージングレーダーとセンシングソリューションを手がけ、4Dイメージングレーダーのハードウエア、センサーアルゴリズム、ソフトウエアの開発や、自動運転システムのセンシング技術、マルチセンサーフュージョンとシステムのソリューションを提供している。

設立からわずか2年余りの同社は、すでに業界内で注目を集めるようになっている。2023年12月には金浦投資(GP Capital)と華強資本が主導したシリーズA+で資金を調達し、既存株主の蔚来資本(NIO Capital)とシャオミ(小米)傘下の湖北小米長江産業基金(Hubei Xiaomi Changjiang Industrial Investment Fund)も追加出資した。

従来の3Dレーダーはすでに市場でその性能が実証されているが、依然として歩行者の横断など安全に関わる一部の問題を解決できていない。一方、4Dイメージングセンサーなら物体の距離、相対速度、角度だけでなく、高度も計測できる。

業界では現在、複数のチップを多段接続し、仮想アンテナチャンネルを確立することで、垂直および水平方向にある物体を検出する手法が主流だ。しかし、賽恩領動は一般的なミリ波レーダーシステムの設計コンセプトについて、従来のTDMA(時分割多元接続)方式ではゴースト(偽のターゲット)が出現しやすく、レーダー信号処理のダイナミックレンジが不十分なため、小さいターゲットを検出できないと考えている。例えば歩行者が飛び出した場合でも、歩行者はターゲットとして小さいため検出されづらいという。

こうした問題点を解決するため、同社は4Dイメージングレーダー「SFR-2K」を発表した。SFR-2Kの水平角度分解能は1度となる。

同社はシーンに応じて角度測定アルゴリズムを最適化させ、ダイナミックレンジを高めて小さなターゲットの検出能力を大幅に向上させ、ゴーストの出現を抑えられるようにした。例えば運転手の視覚が遮られるような雨天時にも、SFR-2Kは道路を横断しようと飛び出す歩行者を確実に検出する。夜間の道路でも、約120メートル先に落ちているタイヤを検出できるという。

量産と大量納品の需要に応えるため、昨年10月には4Dイメージングレーダーの自動生産ラインを完成させた。

李CEOによると、先進的な顧客がカメラと4Dイメージングレーダーを組み合わせて都市部向けナビゲートオンオートパイロット(NOA)を改良すれば、4Dイメージングレーダーの急速な普及が見込まれるという。

(翻訳・大谷晶洋)

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