中国EV「NIO」、中価格帯のサブブランドから新車発売へ 多角化戦略で競争力強化

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中国の電気自動車(EV)メーカー「蔚来汽車(NIO)」は、中価格帯ブランド「ALPS」を新たに打ち出した。ALPSから発売される最初のモデル、コードネーム「DOM」が今年7月に試作に入り、下半期に市場に投入されるという。3カ月間のパイロット生産を経てから量産され、消費者に届けられる。順調に進めば、10月にも正式に発売されることになる。

サブブランドとなるALPSは、NIOがこれまで発売してきた30万元(約600万円)以上の電気自動車(EV)とは異なり、主に20万~30万元(約400万~600万円)の価格帯をターゲットにしている。NIOの李斌曽CEOによると、ALPSには3モデルあり、初の製品となるDOMはテスラの多目的スポーツ車(SUV)「モデルY」を意識した。

李CEOは2023年12月に開催されたイベント「NIO Day」で、DOMの試作車がすでにラインオフしていることを明らかにした。販売目標からはNIOの自信のほどがうかがえる。NIO Dayの開始前に行われたメディアブリーフィングで李CEOは、ALPSは1つのモデルで1カ月に5万台から6万台を販売できると見込んでいることを明らかにした。

自動車産業は大規模製造による競争の時代に突入している。NIOの目標はハイエンド市場で足場を固めることだ。36Krでは以前、NIOの2024年販売目標は23万台以上と報じており、これは23年の販売台数16万38台を7万台上回る。ALPSなどサブブランドは、この壮大な目標の基礎固めとして重大な責任を負わされている。

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SUVタイプEVのポテンシャルが高いことは、テスラのモデルYの販売台数が証明した。テスラの2023年決算報告書によると、同年にモデルYの納車台数は120万台を超えた。平均すると毎月10万台程度を納車したことになる。

DOMはNIOの第三代技術プラットフォーム「NT3」を採用した初の量産モデルだ。NIOの最新技術を使い、高い競争力を持つ。

バッテリーパックは約60kWhと90kWhの2タイプがあり、現在の第三世代バッテリー交換ステーションにも対応したサイズだが、厚みは薄くなって車室空間がより広くなった。また自社開発した次世代モーターを搭載することで、さらにサイズやコストを最適化した。また、DOMは4Dイメージングレーダーを搭載するという。4Dイメージングレーダーは対象物との水平方向の距離だけでなく垂直方向の高さも検出でき、これまではハイエンド車両に搭載されることが多かった。

NIOが損失を減らすには、複数のブランドを展開することが重要なカギとなる。李CEOは、異なるブランドでも同じ技術やソフトウェアを活用できるので「コストや生産台数の面で有利になる」とした。

NIOの2023年7~9月期決算報告によると、売上高は190億6660万元(約4000億円)で損失額は48億4390万元(約1000億円)、そのうち純損失は前年同期比で9.8%増加し、45億5670万元(約960億円)となった。今後NIOが損失を減らせるか否かは、ALPSブランドの新車販売の業績に大きく左右される。

今年は理想汽車(Li Auto)や小鵬汽車(Xpeng Motors)などが20万元(約400万円)クラスの新型車を発売し、ミドルレンジ以下の市場でシェア獲得を狙う。NIOの強力なライバル、テスラも、中国でグレードアップしたモデルYを発売すると発表した。シリーズ全車種に強力な感知・演算能力を持つ次世代自動運転ハードウエア「HW4.0」を搭載し、販売価格は据え置かれる。

これまでとは異なる価格帯の車を売り出すことはNIOにとって急務だ。しかし、多くのメーカーが同じ市場に狙いを定めているため、ALPSブランド初のモデルは静かな船出というわけにはいかないだろう。

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*2024年2月19日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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