所得税管理プラットフォームの「51個税」が数億円を調達 税制複雑化で法人顧客を開拓

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個人所得税の税務管理プラットフォーム「51個税管家(51gs.com)」を運営する「杭州銭暢科技(Hangzhou Qian Chang Technology)」が、「盈動資本(INCAPITAL)」「51信用卡(51 Credit Card)」などからエンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達した。

税務関連の偽造防止システム「金税」第3期が全国的に推進されたことや今年から新個人所得税法が施行されたことに伴い、中国では税制改革が社会全体の関心事となっており、中でも個人所得税は納税者個人の利益に直接影響するものとして注目されている。「税負担の軽減・税金の厳格な徴収および管理」という政府の基本方針の下、企業はコンプライアンスと税負担軽減のバランスを保ちながら対応していく必要があり、税務アドバイザリー事業は大きなポテンシャルを秘めている。ここに目をつけた銭暢科技は、税務関連の総合サービスを提供している。

同社が提供するプロダクトやツールは以下のようなものだ。

■税務ツール:「51個税管家」は企業の人事担当者向けに、個人所得税の税額算出、納税履歴・完納証明書のダウンロード、Q&A、タックス・プランニングなどのスマート源泉徴収や税務申告サービスを提供。

■税務サービス:「51優税」はフリーランス事業者や複業従事者向けに、タックス・プランニングなどの税務アドバイザリーや委託管理ソリューションを提供。

企業においては特別付加控除(従業員の住居費や家族の教育費、高齢者の扶養費など)の項目が新たに追加されたことで個人所得税額の計算が複雑化し、高い専門知識をもった業務担当者が必要とされる。そのため同社は、税務ツールや税務アドバイザリーに重点をおいたサービスを提供する。

インターネットの普及によりフリーランス事業者との契約など、企業と労働者の雇用関係も大きく変わった。フリーランスの技術開発者、配車サービスや外食デリバリーの配達員などは直接雇用関係を持たず、業務委託契約で報酬を得ることが多い。会社員の総合所得税率を比べると、個人事業者は税率がかなり低くなるケースもあるという。

税務アドバイザリーは同社が得意とする業務の一つだが、個人所得税といっても実際のサービスは個人を対象としたものではなく、企業向けだ。企業内の人事総務・財務管理サービスは多くのスタートアップ企業が参入しているが、市場自体は未熟で、需要もつかめていない。

何がボトルネックになっているのか。銭暢科技の潘豪傑CEOは、この分野は価格だけで勝てる世界ではなく、最終的にはサービスの品質が物をいうと考える。税制改革など政策面を背景にした税務アドバイザリー事業はいまだ新興市場といえる。事業を成功させるポイントについて同氏は、サプライチェーンの川上(税源など)と川下のサービス提供現場を足固めすべきだと考える。

今年10月時点で同社は杭州・深圳・武漢・南京などに支社を設立、数百社の法人顧客にサービスを提供している。今回調達した資金は51個税管家のサービス拡充に充てるとともに、全国に51優税のネットワークを構築し、各地域の税制優遇などの情報をフレキシブルに取得、より良いサービスを企業向けに提供していくという。

同社は総勢約100人。中核メンバーである創業者兼CEOの潘豪傑氏は「銭粒科技(QIANLI TECHNOLOGY)」や「卡塔科技(Kata Technologies)」を創業した連続起業家で、コンサルティング、マーケティング業界での経験が豊富だ。他には税務、監査、法律などの業界で長い経験をもつパートナーも多く在籍している。
(翻訳:貴美華)

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