中国発“AIマッサージ師”が日本で活躍、対話しながら好みの力加減に。人材難や人件費問題の緩和へ

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スマートロボットを開発する「広東具身風暴機器人(robotstorm.ai)」(以下、具身風暴)がこのほど、エンジェルラウンドで1000万元(約2億2000万円)以上を調達した。 羲融善道(Heroad Investments)と星河資本(Star River Capital)が共同で出資した。調達した資金は製品の開発と量産、運営費用に充てられる。

2023年9月に設立された具身風暴は、エンボディドAI(身体性を持つ人工知能)と人のインタラクションをめぐる新技術開発と実用化に力を入れており、膨大な量の人間の反応に基づく模倣学習を通じて、人間とロボットがより快適にやり取りできるようになることを目指している。

具身風暴の第1号機はAIを搭載したマッサージロボットだ。創業者の李暁輝氏によると、すでに量産を始めており、マッサージ店や、美容院、クリニックなどを顧客として、中国国内のほか日本にも出荷されている。

マッサージロボットは、ロボット技術とマッサージの原理を組み合わせた医療機器だ。 現在、健康管理に対する消費者のニーズは急速に高まっているが、従来のマッサージ業界は人材難や人件費の高騰、スタッフの離職率の高さといった問題を抱えている。マッサージロボットならこれらの問題点を効果的に解決することができる。従来のマッサージ機とは異なり、具身風暴のマッサージロボットは、頭脳の役割を果たすAIを搭載しているため、より正確に動作の強弱を制御することが可能となった。

例えば、従来のマッサージ機は一般的に、強、中、弱といった数種類のマッサージのボタンがあるだけだが、AI搭載のマッサージロボットは顧客とのやり取りを通じてマッサージの強さや向きなどをすぐに調整でき、個々に合わせたマッサージ体験を提供する。

AIを頭脳として機能させるには、大規模言語モデル(LLM)だけでなく、複数の「専門家」モデルを束ねるように設計された混合専門家モデル(MoE;Mixture of Experts)も必要になる。LLMで顧客との対話が可能になり、MoEはマッサージに対する顧客の具体的な指示を正確に判断できるようにする。両者を組み合わせることで、顧客にオーダーメイドのマッサージ体験を提供することができる。

李氏は「現在のところ、一般的なロボットが幅広いタイプの人と安全で快適なやり取りをするのは非常に難しい。というのも、人によって気持ちいいと感じる力加減はそれぞれ異なるからだ。当社はこの問題を解決するため、現場にロボットを投入し、人とロボットがやり取りするリアルなデータを大量に収集することにした」 と語った。

具身風暴のマッサージロボットは多くの革新的な技術により、競合する従来型の他社製品よりも大幅に低いコストを達成した。平均給与が1万元(約22万円)以上のマッサージ師の作業を肩代わりできるほか、ボディセラピストの作業量を5分の4に減らせるなど、多くの顧客から好評を得ている。

李氏は「競合他社の6軸力覚センサーはすべて外注したものだが、当社では独自開発しており、コストを5分の1以下に抑えている」と明かす。具身風暴はハードウェアの改良やサプライチェーン管理などの多種多様な方法で、ロボット本体のコスト引き下げを実現していると強調した。

具身風暴の戦略的目標は、マッサージロボットにとどまらず、より汎用性の高いロボットであるエンボディドAIを開発することだ。開発チームは、大規模で低コストの実データこそがエンボディドAIの技術のブレイクスルーの唯一の解だと考え、各地のマッサージロボットから人とロボットのやり取りに関するデータを収集している。 2025年末までに、多関節ロボットとやり取りする500万人分の対話データベースを構築し、人のリアルな反応データを軸に据えていく予定だ。

具身風暴が採用している人の反応に基づく模倣学習のソリューションは、現在主流となる人の指示に基づく模倣学習よりも大幅にコストを削減できる。 しかも、ロボットが人との効果的な対話方法をより早く習得でき、人が正確な操作手順を一から示す必要はなくなる。

具身風暴は、汎用ロボットの安全かつ快適な対話モデルの訓練を進めている。人の反応を中心に収集したデータでトレーニングされたモデルは、産業界のあらゆるタイプのエンボディドAIの能力を向上すると期待されている。

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*1元=約22円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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