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中国の大手自動車メーカー・広州汽車集団(GAC Group)が1月23日、AI(人工知能)を搭載した第三世代の人型ロボット「GoMate」を今年前半にリリースすると発表した。
中国ではこの1〜2年、AIやハードウエアの技術進歩によって人型ロボットの開発が急速に進んだことで、スタートアップ企業が次々と生まれ、市場に多額の資金が流入している。こうした中、自動車メーカーは豊富な資金や人材、充実したサプライチェーンを生かして技術開発や製品化を素早く進められる優位性があるため、米テスラのほかに、中国の比亜迪(BYD)、小鵬汽車(Xpeng Motors)などが人型ロボットの開発に着手した。そこに広州汽車が加われば、人型ロボットの開発をめぐる競争が激しくなるのは間違いない。
広州汽車のGoMateは、2本の脚に付いている車輪を二輪と四輪に切り替えることで、平地や斜面などのさまざまな地形に対応できる。この斬新な設計によって、どのような環境でも優れたパフォーマンスを発揮できるようになった。
ロボット開発部門の責任者を務める張愛民氏はGoMateの用途について、まずは警備やヘルスケアなどを想定していると説明した。人型ロボットを自動車工場に導入しようとする一部のメーカーとは異なり、同社は需要が高いシーンで活用したいと考えている。例えば警備は、従来の受動的なやり方から能動的なやり方へと変わりつつあり、大きな市場となる可能性がある。センサーやAI、多層防御システムが集約されたGoMateは管理エリアを自律的に巡回し、リアルタイムの監視と環境データの分析を通じて、異常な行為や潜在的なリスクを特定しながら適切な対策を講じる。
また、可燃物や爆発物を保管・販売する建物では、エリア内にある消防設備の点検頻度を自律的に増やし、温度や湿度などの環境要因をもとに火災の発生確率を予測することで、潜在的なリスクとなる事象の発生を未然に防ぐ。さらに、ウエアラブルデバイスの認証が可能なほか、AI監視システムやセキュリティゲート、ドローンなど複数のインターフェースと互換性があるため、効率的な警備が可能になる。
広州汽車はソフトウエア開発にあたり、自動運転技術を支えるエンド・ツー・エンドのAIモデルを人型ロボットに利用している。既存の検知・制御モジュールをAIに統合することで、ロボットの汎用性や意思決定の信頼性、動作の柔軟性を向上させている。
また、自動車メーカーにはハードウエアの開発で、充実したサプライチェーンを生かしたコスト優位性がある。広州汽車はGoMateを構成する汎用部品をサプライチェーンから調達し、中核部品を自社の生産ラインや装置で作っている。加えて、原材料コストもコントロールすることで、人型ロボットの開発コストを抑えている。
広州汽車は警備用のGoMateを今年前半にリリースし、2026年に小ロットの生産を開始して徐々に生産規模を拡大していく計画だ。GoMateはすでに同社の工場敷地内でトレーニングが進められているという。
同社はGoMateを警備だけでなく、ヘルスケアや自動車ディーラー・ショールームのカスタマーサービスでの活用も目指しており、将来的には物流や教育など多くの活用シーンを開拓する方針だ。
(翻訳・大谷晶洋)
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