AI自動運航船で水上DX⋯中国「海舶無人船」、水域作業を効率化

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自動運航船を開発・製造する「北京海舶無人船科技(AquaHelpers)」(以下、海舶無人船)がこのほど、浙江老漁翁集団傘下の上海繁盛投資が主導するシリーズAで数千万元(数億円超)を調達した。資金は技術開発やと製品化の加速に用いられる。

2019年創業の海舶無人船は、自律航行型の無人船に高性能センサーと超高速演算装置を搭載し、SaaS技術やクラウドプラットフォームと組み合わせた水上向けAIソリューションを提供している。北京市の「専精特新」企業、国家ハイテク企業にも認定されている。

近年、世界の自動運航船業界は急成長期を迎えており、その規模は拡大を続けている。市場調査会社MarketsandMarketsによると、2023年時点で市場規模は80億ドル(約1兆1600億円)を突破、30年には280億ドル(約4兆600億円)に拡大する見通しで、年平均成長率(CAGR)は15.2%に達するという。

自動運航船は即時性や正確性、スマート性能に優れており、生態環境保護や水資源管理、洋上風力発電、海洋石油・天然ガス、海洋観測、パトロール、レスキューなど、幅広い用途に活用可能だ。

自動運航船の活用イメージ(画像は企業提供)

例えば、海洋環境をモニタリングする場合、従来は観測員が海に出て、厳しい環境のなか長時間作業する必要があり、観測精度や効率に課題があった。また、船舶や機器の操作も手作業のため効率が悪く、広範囲を高頻度に観測することが困難なため、データの網羅性やリアルタイム性が損なわれていた。

これに対し、自動運航船は高度な自律航行システムと障害物回避技術を備えており、変化の多い海況でも安定して航行し、事前に設定された観測タスクを自動で遂行できる。船には高精度の観測装置が複数搭載され、プログラムされた通りに自動でデータ収集と分析を実施するため、作業効率が大幅に向上する。また、タスクに応じて航路や観測頻度を柔軟に調整し、広い海域での包括的でタイムリーなデータ収集を可能にする。

海舶無人船は多岐にわたる製品ラインと膨大な水域データを生かし、水域に関わる「製品開発・用途別のサービス・データ活用」を統合したスマートソリューション体系を構築した。すでに船本体、技術カスタマイズ、専門的なデータサービスという3つの主力事業を展開している。

海舶無人船の製品ラインアップ(画像は企業提供)

代表的な「Hunter(猟人)」シリーズは、河川や湖沼、貯水池など内陸水域に特化した製品で、カーボンファイバーを採用した船体は高い耐久性や耐腐食性を誇る。ミリ波レーダーとビジョンシステムの搭載により優れた環境認識能力を発揮し、障害物を自動検知しながら効率的に自律航行するため、水質調査や水文調査、パトロール、緊急対応といった複雑な任務にも対応できる。

浅水域の水文調査などを想定した「Koi(錦鯉)」シリーズは、1人でも持ち運びしやすい軽量化設計。超小型の多項目水質センサーを搭載すれば、これまでサイズの関係で難しかった浅水域での高精度データの収集が可能になり、生態系の管理を支える正確なデータを取得できる。

現時点で、海舶無人船はコア部品の国産化率92%を実現し、コストを21%削減に成功。すでに大手船舶企業やスマートシティ事業の請負業者、水質測定機器メーカー、政府、研究機関などとの提携を積極的に進めており、北京市や山東省など複数の地域で約1000件のプロジェクトを展開している。

今回の資金調達を受けて、浙江省紹興市にある未来産業科創園に華東運営センターを設立し、自動運航船のスマート組立工場の建設を進めていくという。

*1ドル=約145円、1元=約20円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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