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次世代型のフレキシブルセンサーを開発する中国スタートアップ「賽感科技(Sycsense Technology)」がこのほど、プレシリーズAで数千万元(数億円)を調達した。招商局創投(China Merchants Venture)が出資を主導し、琥珀資本(Ambrum Capital)と博傑電子(Bojay Electronics)も参加した。資金はコア技術への投資、製品の開発・改良、市場開拓に充てられる。
賽感科技は2023年に設立され、広東省深圳市に拠点を置く。南方科技大学の超柔軟エレクトロニクス研究室に由来している技術を生かし、高性能フレキシブルセンサーとロボット向け「電子スキン」の開発・生産に注力している。製品は人型ロボットや消費者向け電子機器、車載電子機器、医療・ヘルスケア関連機器などに広く活用できる。
フレキシブルセンサーとは、シリコンゴムやナノ複合材料など柔軟性のある基材に微小なセンサーを配列したスマート部品で、圧力や温度、ひずみなどを検知でき、軽量・薄型で高い弾性と環境適応性を備えている。電子スキンは、フレキシブルセンサーを集積したもので、人間の皮膚のように接触刺激や温度などを感知し、反応する機能を持つ。近年、スマートセンシング分野で注目を集め、市場規模が爆発的に拡大している。
中商産業研究院のリポートによると、世界のフレキシブル触覚センサー市場は2022年の約15億3400万ドル(約2300億円)から24年の26億7000万ドル(約4000億円)に拡大し、25年には32億2000万ドル(約4800億円)に達する見込みだという。
賽感科技の高性能静電センサーは、1ミリグラムから100キログラム単位の圧力に幅広く対応する。たとえば、センサー1点は0〜2000キロパスカル(kPa)の測定範囲で線形応答を維持、検出限界は1Paと圧力10ミリグラム以下に相当する。極めて小さな力でも、ノイズを抑えて明確な信号を生成し、信号とノイズの高精度な識別も実現する。
材料に関しては、非吸湿性イオンゲルなど非接触でも電気応答する材料を採用し、微細な生体模倣設計と組み合わせ、厚さわずか0.1ミリメートルのフレキシブル基板上に電気二重層キャパシタ構造を構築。これにより、センサーの弾性と環境耐性を両立させ、従来のフレキシブルセンサーの課題だった湿度や温度による干渉を解消した。
この技術的特性は、さまざまな場面で価値を発揮する。たとえば家庭用サービスロボットが洗濯物をたたむ際、センサーが素材やその柔らかさを感知し、衣服を傷めないようロボットハンドの力加減を調整する。また、飲み物を運ぶ際にもグラスの重さや材質をもとに最適な力で握れるため、グラスの落下や破損もなくなる。
さらに、ロボットが人間と握手やハグなどをする際には、センサーが接触の強さを随時検知し、適切な力加減に調整する。設定されたしきい値を超えた場合は安全ブレーキを作動させ、力の制御ミスによる事故を避けることもできる。
同社はすでに、人型ロボットや産業用ロボット、消費者向け電子機器など、各分野に適した触覚センサーソリューションを打ち出しており、スポーツ用品大手の安踏体育用品(ANTA)などにも製品を提供している。深圳市と広州市に生産拠点を構えており、2024年には世界初となる静電型フレキシブルセンサーの量産ラインを稼働させ、すでに大量出荷の段階に入っている。
*1ドル=約148円、1元=約21円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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