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2025年は、中国でエンボディドAI(身体性を持つ人工知能)の商用化が本格化する節目の年とされている。その象徴的な事例として、人型ロボットユニコーン企業「智元機器人(Agibot)」と、ロボットを活用した業務ソリューションを提供する「安努智能(Annu Intelligence)」が7月9日、自動車部品メーカー「富臨精工(Fulin P.M.)」の四川省綿陽市の工場から、約3時間のライブ配信を実施した。
主役となったのは、Agibotが開発した汎用AIロボット「遠征 A2-W」。自動車部品の供給に使われる「通い箱」を、2交代制でミスなく800箱以上運搬する様子が披露され、視聴者や関係者の注目を集めた。
A2-Wは高精度な2本のロボットアームを活かし、サイズや重量の異なる箱を掴んで運搬・設置。作業中に異常が発生した場合には自律的に判断・対応し、タスクを中断することなく継続できる。加えて、マルチモーダルなセンシング能力と障害物回避技術も備えており、スタッフや他の障害物を自ら認識してルートを調整する。また、人と共に働く空間では複数の安全設計が組み込まれており、現場での事故を未然に防ぐ。
富臨精工の李鵬程副会長は、A2-Wのパフォーマンスについて「現場のニーズを満たしている」と評価する。同社では従来、人力での運搬が中心だったが、1回につき5〜30キロもの荷物を繰り返し運ぶ必要があり、労働負担が重かった。ロボット導入により、省人化・省力化の効果が期待されているという。
人の作業を肩代わりし精度も高いとはいえ、A2-Wは効率面では改善の余地がまだ大きい。現状では1つの箱を運搬してから次の箱に取りかかるまでに約40秒を要し、人間作業員の平均である30〜35秒よりも遅い。
Agibot汎用業務部の王闖総裁は、製造現場におけるAIロボットの重要性について次のように指摘する。「工場のオートメーション化が進み、スピードも動きも改善されているのに、なぜAIロボットが必要なのか。それはこれまでの産業用ロボットは固定化されており、汎用性が低い。多品種・小ロットという現在の製造現場のニーズを満たすのが難しかったからだ。例えば、新エネルギー車(NEV)の生産では、ガソリン車の時代に比べ明らかに更新のスピードが上がったが、AIロボットを活用すればラインの変更にも柔軟に対応できる」。
A2-Wを導入した富臨精工は、自動車向けの駆動・熱管理システム部品やリチウム電池正極材料、バイ・ワイヤ式サスペンション部品の製造に加え、スマートロボット用電動アクチュエーター部品など、次世代領域に事業を拡大している。
今回の現場実証では、Agibotのロボットと基盤モデルを採用し、安努智能がシステムの導入を担当した。智元機器人と富臨精工はともに安努智能の株主でもあり、三者連携による導入体制が整っている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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