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医療用ロボットを開発する中国スタートアップ「凱瑞医療科技(Kairui Medical Technology;Aixam)」がこのほど、プレシリーズAの追加ラウンドで華西証券(Huaxi Securities)傘下の華西銀峰投資(Huaxi Yinfeng Investment)から出資を受けた。資金調達後の企業評価額は2億5000万元(約50億円)を突破した。
凱瑞医療は2022年の設立以来、医療現場の反復作業や高負荷業務の肩代わりを狙い、採血・超音波検査・AI画像診断などに対応するロボットの開発を進めている。主力製品のスマート採血ロボット「Mシリーズ」については、第1号製品「M1 Pro」がすでに臨床試験を終え、第三類医療機器登録の申請手続きを進めているところだ。加えて、ポータブルタイプの「M1 mini」も開発フェーズにある。
血液検査の結果は、医師が診断を下すうえで重要な判断材料となる。実際、採血は世界の医療現場で最も頻度の高い不可欠なプロセスであり、その市場規模は非常に大きい。ただ、今も人手に頼った採血が主流のため、乳幼児や高齢者では正確な穿刺が難しく、医療スタッフの負担が大きいなどの課題が存在するものの、スマート製品はほとんど市場に出回っていないのが現状だ。
凱瑞医療の創業者・王懿剛氏は、ロボットであれば複雑な血管でも安定して採血でき、現場負荷の軽減につながると説明。患者は腕を所定の位置に置くだけで、ロボットが赤外線と超音波で血管位置を特定し、正確に穿刺する。所要時間は約90秒で、痛みも少ないという。
採血ロボット「M1 Pro」は、ステレオ赤外線と超音波を組み合わせて血管を探し、独自開発の経路計画アルゴリズムが最適な針のルートを計算して、1ミリ未満の精度で穿刺する。また、緊急停止ボタンなどの安全機能も備わっている。同社の調査によると、初めて採血ロボットを体験した患者から「痛みが少ない」との声が多く、受容性は高いという。現在は「ほぼ無痛」で採血できる新しい針先の開発が進んでいる。
同領域には参入企業が増えているが、凱瑞医療は「正確さ」を強みとし、子どもから高齢者まで幅広く対応できる高い臨床適応性と安定性を強調する。2024年には、その技術成果をロボティクス分野で最高峰の国際会議「ロボット工学とオートメーションに関する国際会議(ICRA)」でも発表し、あらためて技術の先進性が確認された。
採血ロボットの技術基盤を確立した同社は、そのコア技術であるAIビジョンをさらに多くの分野へと広げている。なかでも、北京疤康医院と共同開発した瘢痕スマート評価システム「S1」はすでに納品が始まっている。この製品は、傷跡の形状、血流、色、弾力性など複数の指標を多角的に測定・数値化し、治療の経過をチェックする医師をサポートする。
王氏の話では、今回の調達資金で医療現場への導入や臨床実証センターの整備を進め、データの蓄積と製品改良をさらに加速する方針。量産開始後は体外診断(IVD)との連携も強化し、地域医療への普及を加速する。目標は、「90秒のセルフ採血・10分で検査結果」という新しい医療体験の提供だという。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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