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中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の日本法人は10月6日、東京で老舗ゴルフブランド・本間ゴルフと共同開発した日本限定モデルのスマートウオッチ「HONMA×HUAWEI GT 6 Pro」を発表した。発売は14日を予定している。
ファーウェイは2019年に米国の制裁を受けて以降、日本でのスマートフォンや基地局の事業の継続が困難になってきた。現在は、スマートウオッチを中心としたウェアラブル製品に注力している。今回の限定モデルはゴルファー向けに設計し、新たな顧客層を開拓する構えだ。本間ゴルフの店舗のほか、家電量販店やECサイトを中心に販売する。
ファーウェイデバイス日本・韓国リージョンプレジデントの賀磊氏は独自商品を出した理由について「日本市場が重要だからだ」と力を込めた。米中摩擦など政治に翻弄されてきたが、本間ゴルフとの協業でブランド力を生かし、日本市場での足場を固める方針だ。
世界ウェアラブル市場で首位に
ファーウェイは、世界のウェアラブル市場での存在感を高めている。米調査会社IDCによると、2025年1~6月期に世界スマートウオッチ出荷台数で米Appleなどを上回った。4~6月期には、20.2%のシェアを獲得し、マーケットシェアと出荷台数で世界1位となり、1~3月期に続き2四半期連続で世界首位に立った。
一方、本間ゴルフは日本を代表する高級ゴルフブランドで、安倍晋三元首相が2016年に就任する前のトランプ米大統領に同社のゴルフクラブを贈ったことで知られる。ただ、2010年に経営難から既に中国企業の傘下に入っており、日本国内のゴルフ市場の縮小や若年層離れに直面している。今回の協業は、テクノロジーと伝統ブランドの融合という点で、両社はそれぞれの強みを生かした新たな市場開拓を目指す。
AIが「キャディー役」 国内コース99%に対応
新製品の最大の特徴はゴルフに注力した機能だ。HONMA×HUAWEI GT 6 Proには、ゴルファーのプレーをサポートするAI(人工知能)分析機能が多数搭載されている。グリーンの傾斜や方向をリアルタイムで可視化し、ショットの強さやラインを補正ができる風速や地形情報をもとに最適なクラブをAIが提案する。
マップデータは日本全国の約99%のゴルフコースに対応し、高低差を補正して表示することができる。GPS精度の高さに加え、衛星信号が届きにくい山間部でも安定した測位が可能だという。 バッテリーは通常使用で最長約21日間持続し、価格は税込み5万2580円とし、アップルのApple Watch Ultraシリーズ(12万9800円)などよりは大幅に低価格に設定。
本間ゴルフの小川典利大社長は発表会で「本間ゴルフの伝統とファーウェイの革新性が結集し、最高級のスマートウオッチを提供できることをうれしく思う」と語った。
近年日本ではキャディー不足は慢性化しており、全国のゴルフ場の約8割が「人手不足」を訴えているとの統計もある。 今回の新製品はAIがプレーを補助する“次世代キャディー”としての役割にも注目が集まりそうだ。
(文:36Kr Japan編集部)
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