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中国北京市郊外の大興区龐各荘(ほうかくそう)鎮でこのほど、「2025ペット産業科学技術革新・投資金融フォーラム」が開かれ、人工知能(AI)技術の急速な発展を背景とした「ペット経済」の発展について議論が行われた。
この席で、フランスの動物用医薬品大手ベトキノールの林永偉大中華区総経理は「わが社は中国のペット医療市場の急成長を目の当たりにし、その発展に重要な役割を果たしてきた。中国におけるAIなどの技術の急速な発展はペット産業に新たな商機をもたらすだろう」と語った。
皮膚鏡(ダーモスコープ)システムでアルゴリズムを通じダニや真菌性、細菌性の皮膚疾患を判別する。デジタルツインモデルを組み合わせ、薬物代謝プロセスをシミュレートすることにより、動物用医薬品の開発サイクルを短縮する。スマート首輪によりペットの睡眠や運動データを記録し、品種や年齢に基づいて個別に栄養プランを作成する……。中国国務院参事で農業農村部の元副部長、于康震氏はこうした事例を挙げながら、AI技術は従来のペット医療サービスの時間的・空間的制約や資源障壁を打破し、疾病診断や疫病予防管理、重要医薬品開発、ペット健康管理などチェーン全体を網羅して、業界を的確かつ包摂的で全サイクル対応型へと推し進めていると語った。
清華大学社会科学学院の謝丹夏長聘副教授(終身在職権のあるテニュア副教授)は、AIなどの技術の発展に伴い、ペット産業はスマート化、緻密化などに向かって技術革新や高度化が進み、産業の付加価値も絶えず向上していると指摘した。
中国建設文化芸術協会環境芸術専門委員会の汪建松執行会長は、一部地域ではペットフレンドリーな施設の建設を加速していると説明。同委員会もAIなどの技術を活用してペットの行動履歴やさまざまな動きなどを観察し、「人とペットの共生」のための理想的な住まいづくりに取り組んでいると語った。
ペット関連のテック企業、星寵王国(北京)科技の郭瑋鵬副総経理は「AIなどの技術がペットの世話の仕方を変えつつある。スマート給水器やスマート猫砂トレー、人とペットのインタラクティブ製品などが、年々多くの家庭に普及している」と説明。技術はペットのデジタル管理にも変革を起こしており、例えば、深層学習(ディープラーニング)分析モデルに基づくペット識別システムは、ペットの特徴から情報を抽出し識別することで、迷子のペットを簡単に探せるようにしていると語った。
「ペット経済」の急成長は、中国の大学などの教育機関にも機会をもたらし、「産学研」連携の強化につながっている。南京農業大学の単正豊副校長は、急速に成長するペット消費市場という「ブルーオーシャン」を前に、同大学では近年、率先して伴侶動物(コンパニオンアニマル)科学イノベーションクラスを設置し、伴侶動物の飼育や管理に関する専門的な中核課程を開講したと説明。学生がAIや画像認識、スマート診断アルゴリズムなどの技術を融合して、スマートペット飼育機器などの革新的な設計を展開し、産業ニーズに積極的に対応できるよう指導していると語った。
北京市農業農村局の張士功副局長は、同市では今後5年間に科学技術イノベーションエコシステムを最適化すると説明。ペット産業パークなどの高度プラットフォームの構築を加速させ、ペットの品種改良やスマート診療、新薬開発といった重点分野への投資を促し、ペット産業に新たな活力を注入していく考えを示した。【新華社北京】
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