中国TCL、平野歩夢選手をアンバサダーに起用。日本エアコン市場に参入、「85インチ超」戦略も推進

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オリンピック・パラリンピックの最高位スポンサーを2025年2月から務めている中国家電メーカーのTCL電子控股(TCLエレクトロニクス)は、2022年北京オリンピック金メダリストの平野歩夢選手をブランドアンバサダーに起用すると発表した。同時に、主力のテレビなどに加えて、グローバルで世界第3位のシェアを持つエアコン事業での日本市場参入を明らかにした。

平野選手はミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックのスノーボード男子ハーフパイプ(HP)で、4大会連続の五輪代表を確実としている。

グローバル3位の実績で激戦のエアコン市場へ

日本のエアコン市場にはダイキン、三菱電機など日本国内大手が強固な基盤を築いており、技術力にも定評がある。TCLはグローバルでエアコン分野で世界第3位のシェアで、「エアコンで、日本市場にチャレンジしたい」とTCL JAPAN ELECTRONICSの蒋賛社長は表明し、あえて困難な市場に乗り込む方針を示した。狙いは単なるエアコン販売ではない。

「テレビだけでなく、エアコンを含めた全体的なスマートライフスタイルを提供したかった」。エアコンを起点に、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、モニター、サウンドバーなどをIoTで連動させ、総合的なスマートソリューションを提供する狙いがある。製品単体ではなく、IoTエコシステム全体で顧客を取り込み、日本の地元企業と勝負したい考えだ。

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「挑戦」を体現する平野選手

ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックを約2カ月後に控えた平野選手のアンバサダー就任も発表された。「平野選手が持っている『挑戦に立ち向かう』という精神が、我々が日本市場のユーザーに伝えたいメッセージと非常に一致している」と蔣社長は強調した。

平野選手は先週北京でのスノーボードW杯ハーフパイプ(HP)第1戦で金メダルを獲得したばかり。発表会では「このオリンピック前の大事なタイミングでTCLさんと一緒に歩んでいけることを光栄に思う。自分らしい滑りをオリンピックの舞台で表現し、挑戦したい」と抱負を述べた。

2014年のソチ五輪での初出場から数えてミラノ・コルティナ五輪で4大会目の出場となる平野選手は、体の変化と向き合いながらも進化を続けている。「限界だと思われていても、進化は生み出され続ける。自分も現役選手を続けられるうちは、生み出していく側でいたい」。この「限界への挑戦」という姿勢が、1981年の創業以来「不断の挑戦、持続的な進化」を企業理念としてきたTCLがアンバサダーに採用した理由だという。

日本市場で勝つための「85インチ」という選択

85インチ超大型テレビを中心とした大画面戦略も注目を集めた。日本市場では50〜65インチが主流だが、TCLは明確な戦略的理由を持つ。

TCL JAPAN ELECTRONICS、蒋賛社長

蔣社長は「人間の視覚特性によると、85インチのテレビを見る際の最適視聴距離は3メートルから3.5メートルだ。我々の調査によると、日本の大部分の家庭には85インチを設置するスペースがある」と指摘。一度85インチの大画面に慣れてしまうと、多くのユーザーは65インチや50インチには戻れないと説明した。

TCLの大画面テレビは、液晶パネルを照らすバックライトに0.1mm以下の極めて細かいLEDを用いるMini-LED技術、高画質、デンマークの音響メーカーバング&オルフセン(Bang & Olufsen)のオーディオシステムを搭載している。また、パネルでは世界第2位のパネルメーカーTCL華星光電技術(TCL CSOT)を傘下に持つ技術的優位性を活かしている。

平野選手は「普段はスマホで自分の映像を確認しているが、大きい画面の方が見やすく、イメージしやすい。回転がすごく速い動きなので、大きい画面でスローにして確認している」とアスリートとしての大画面テレビの活用法を明かした。

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日本市場の戦略的重要性

TCLは2011年から日本市場に参入し、10年以上の実績を持つ。グローバルではテレビ出荷台数で世界上位、米国では市場シェア2位。2024年のグローバルテレビ出荷量は2900万台に達した。

TCLは世界24カ所に研究開発センターを展開し、累計特許申請数は3万件を超える。蔣社長は「日本市場はTCLのグローバル戦略において、戦略的地位が非常に高い市場。特にテレビ分野の技術において、日本市場からのフィードバックは本部にとって極めて重要だ」と語る。単なる市場ではなく、日本の厳しい市場で鍛えられることが、グローバル展開で競争力を高めることにつながると訴えた。

(36Kr Japan編集部)

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