中国自動車市場、2026年は「2000万台」の消耗戦へ 新興EVの大増産vs大手の収益重視

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2026年に入り、世界最大の中国自動車市場は、生き残りをかけた「選抜戦」から「消耗戦」へと様相を変えた。

主要自動車メーカー10社が公表した販売目標によると、2026年の目標販売台数は合計2000万台に達し、25年の実績を約500万台上回る水準となった。内需の伸びが鈍化する中、限られた市場でシェアを奪い合う熾烈な戦いが、すでに始まっている。

新興勢力は強気の姿勢、目標100万台も

2026年の販売計画では、ファーウェイ(華為技術)が主導する技術ブランド鴻蒙智行(HIMA)や、零跑汽車(Leap Motor)に代表される新興電気自動車(EV)メーカーが、かなり強気の姿勢を打ち出す。両社はともに年間100万台という大台突破を目標に掲げている。

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鴻蒙智行:ファーウェイが主導するEV連合は、販売目標を100万~130万台に設定し、成長率70~121%という業界トップクラスの伸びを見込む。2025年は「問界(AITO)」を中心とする5ブランド戦略で58万9000台を納車した。26年には少なくとも12モデルの新型車を投入する計画だ。ファーウェイのエコシステムに支えられた集客力やスマート化技術を武器に急拡大の勢いを保っており、市場で最も脅威を与える存在となっている。

零跑汽車:2025年は60万台を販売し、新興メーカーの中で首位に立った。26年の販売目標は前年比68%増となる100万台を掲げており、うち海外市場で10万台を目指す。強気な姿勢の背景には、25年に目標達成率119%を記録した実績と、一貫した自社開発によるコストの優位性がある。今年はラインアップの拡充に力を入れる方針で、SUVタイプの「D19」やMPV(多目的乗用車)「D99」などの投入を予定している。10万~25万元(約230万~570万円)クラスのメイン市場でシェア拡大を図る構えだ。

SUVタイプの「D19」

小米汽車:新規参入にもかかわらず、2025年に40万台以上を納車し、爆発的ヒットを記録。26年は目標を55万台へと引き上げた。主力モデルのEVセダン「SU7」とSUV「YU7」は市場での評価を固め、SU7は年間納車台数が25万8000台と、20万元(約450万円)以上のセダン市場でトップに立った。YU7は中大型SUV市場で4カ月連続首位を維持している。26年には、SU7のモデルチェンジ車や特別エディション、さらに2車種のレンジエクステンダー式SUVを含む4車種の投入が見込まれている。生産能力の不足が解消されるにつれ、爆発的ヒットモデルに頼る成長段階から、量産型のトップメーカーへと姿を変えつつある。

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小鵬汽車(Xpeng):2026年の販売目標は55万~60万台、25年の販売実績42万9400台から約28.1~39.7%の増加を目指す。26年は新車種のリリースに力を入れ、複数のレンジエクステンダーモデルに加えて、新型SUVを4車種投入する計画だ。現在の主力モデルは純電気自動車(BEV)だが、レンジエクステンダーモデルをラインアップに加えることで、より幅広いユーザーの取り込みを狙う。海外市場も新たな成長分野となっており、25年に約10%だった海外販売の比率を、26年には倍増させる方針だという。

蔚来汽車(NIO)は具体的な数字を公表していないものの、李斌CEOは40~50%の成長を見込む考えを示している。2025年の販売台数32万6000台をもとに計算すると、26年の目標は45万6000~48万9000台ほどと予想される。

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大手メーカーは300万台規模、攻守のバランス重視

強気の成長戦略を打ち出す新興勢力に対し、既存大手は規模の強みを維持しつつ、新エネルギー車の比率向上とグローバル展開に軸足を移している。

吉利汽車(Geely)、長安汽車(Changan)、奇瑞汽車(Chery)の大手3社はいずれも300万台以上の販売目標を掲げている。吉利グループ(傘下のZeekr、Lynk & Coなどを含む)の目標は345万台、うち新エネルギー車を222万台とし、その比率を56%から64%に引き上げる計画だ。長安汽車は330万台を目標とし、新エネルギー車140万台、海外販売75万台を掲げる。奇瑞汽車は320万台を目標とし、2025年から14%の成長を見込む。

注目すべきこととして、長城汽車(GWM)は2026年の販売目標を249万台から180万台へと大幅に下方修正した。一方で、純利益目標は100億元(約2300億円)のまま据え置いていることから、販売台数を追う成長モデルを脱却し、効率や収益性重視の戦略へとかじを切ったことがうかがえる。

また、BYD(比亜迪)は2025年、前年比7.7%増となる460万台を納車。しかもBEVの販売台数では米テスラを上回り、世界トップの座を獲得した。26年の目標台数は公表されていないが、市場では500万~550万台と見込まれている。

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総合力で競うフェーズへ

市場関係者は、2026年の中国国内需要は微減に転じる可能性があると指摘する。今後の成長は「他社のシェアを奪う」か「海外へ打って出る」かの二択しかない。

こうした状況では、販売台数だけを追い求める成長戦略は続かない。規模、収益、そして技術投資のバランスをいかに取るかが、勝敗を分けるポイントになる。

エコシステム戦略の鴻蒙智行、コスト管理を徹底する零跑汽車、ブランド力を生かした小米汽車、グローバル化と新エネルギー車の両輪戦略をとる吉利汽車や長安汽車、それぞれの戦い方があるものの、競争原理は共通している。未来の勝者となるのは、総合的に戦える実力を備え、効率的な技術投資やグローバルな視点で長期的に取り組める企業である、ということだ。

中国新興EV勢力図が変動 2025年販売首位は「リープモーター」、シャオミも急浮上

*1元=約23円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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