「2台目の車」に代わるeカーゴバイク 中国TARRAN、スマート制御で安全確保
電動アシスト付きのカーゴバイク(eカーゴバイク)を手がける中国企業「迅路創新(TARRAN)」が2026年初め、新たに約1億元(約24億円)の資金調達を実施したことが分かった。既存株主のBrizan Venturesと新規株主の弘暉基金(Highlight Capital)が出資を主導し、紅杉資本(HongShan)や順為資本(Shunwei Capital)、清水湾基金なども参加した。資金は主に量産や新製品の開発に充てられる。
迅路創新は2023年設立。短距離移動用のスマートモビリティ製品に注力しており、海外向けブランド「TARRAN」では主にファミリー層を狙う。創業チームは、ドローン大手DJIやモバイルバッテリー大手Anker、アクションカメラ大手Insta360など、中国のスマートデバイス企業の出身者が名を連ねる。
eカーゴバイクは、大型の荷台を備えた電動アシスト自転車で、子どもの送迎や買い物、荷物の運搬などに利用される。欧州では「2台目の自家用車」に代わる移動手段として注目を集める。一方、子どもや重量物を載せるため、発進・停車時の転倒防止や後方から接近する車両への対応など、安全性の確保が課題となる。TARRANはセンサーや制御技術を使って、こうした課題の解決を目指している。

⼦どもの送迎や買い物などに利⽤される
現在量産している製品は、ハンドルと前輪の間に大きな荷台のあるミッドローダー型の「T1 Pro」と、後部キャリアの長いロングテール型の「L1」の2種類。T1 Proは最大荷重220kg、荷台は最大積載量65kgで、子どもを2人乗せられる。電動アシストを最も抑えたモードでは、航続距離はバッテリー1個で最大100キロメートル、2個搭載時で最大200キロメートルとしている。
また、車載向けのミリ波レーダーと高解像度カメラを搭載し、周囲の道路状況を認識する。スマートライトやディスプレーに加え、電動キックスタンドも備える。
一般的なカーゴバイクでは、駐車時に重い車体のバランスを保ちながら足でスタンドを操作する必要があり、子どもや荷物を載せている場合は転倒するリスクがある。T1 Proでは電動キックスタンドが自動で展開して車体を支え、走行時には自動で収納される仕組みを採用した。

電動キックスタンド

起動
TARRANが最初の製品としてeカーゴバイクを打ち出したのは、欧州に明確な市場ニーズがあることに加え、基盤技術プラットフォームを検証するという目的もあった。次の主力製品として、年内には電動アシストトレーラーの発表を予定する。同社は世界初の量産型スマートトレーラーを目指すとしている。一般的な自転車用トレーラーは動力や能動的な制動機能を持たないため、積載量が増えるほど坂道でのけん引や制動時の負担が大きくなり、転倒などのリスクも高まる。
TARRANはeカーゴバイクで培った電動アシストと制御技術をトレーラーに応用する。モーターに加え、トルクや速度、位置などを測る複数のセンサーを搭載し、利用者のけん引動作を制御アルゴリズムで判断。状況に応じてアシスト力や制動力を自動で調整する。
利用者が速く引けばそれに合わせて加速し、停止すればトレーラーも止まる。荷物を満載した状態でも坂道をけん引しやすくし、手を離すと自動的にブレーキがかかる仕組みとする。人が直接けん引するほか、一般的な自転車や電動アシスト自転車に連結することもできる。定格積載荷重は60キログラムで、最高速度は時速25キロメートルを予定する。
同社の強みは単にモーターやセンサーを組み合わせることではなく、人とモビリティの協調制御や動力管理、安全制御の技術にあるという。eカーゴバイクで培ったこうした技術を共通基盤とし、異なるタイプの短距離モビリティへの展開を目指す。
販売面では、ドイツやスイス、オーストリア、ベネルクス、フランス、英国、北欧などで、数百店の中高級自転車販売店に販路を広げている。フランスの自転車販売チェーン「Cyclable」やスイスの「AureusDrive」などにも取り扱いが広がる。北米市場の開拓にも乗り出し、現地のファミリー向け自転車サブスクリプション事業者や小売サービス事業者と提携に向けた協議を進めている。
*1元=約24円で計算しています。
(翻訳・田村広子)