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新エネルギー市場で敗北を繰り返してきたリチウムイオン電池(LiB)メーカーだが、株式市場でその勢いを盛り返してきた。
昨年12月24日、中国にあるリチウムイオン電池世界大手「寧徳時代(CATL)」の株価が100元(約1600円)の大台に乗った。翌25日の終値は105.3元(約1650円)で最高記録を更新したほか、時価総額が2325億元(約3兆7000億円)となり、新興企業向け市場「創業板(チャイナネクスト)」で一躍トップに上り詰めた。
さらに、同社は2月3日、米EV大手のテスラに車載用リチウムイオン電池を供給する2年間契約を締結したと発表。新型肺炎の影響を受け、発表当日3日の市況は一定して低調だったが、CATLの株価は136.7元(約2120円)と7.03%の値上がりとなった。
とはいえ、寧徳時代の株価高騰のニュースも、車載電池業界全体の冷え込みを覆うことはできない。
統計によれば、11月の中国での車載電池生産量は容量ベースで6.29GWhと、前年同期比29%も減少、中国の車載電池メーカー50社のうち30社がマイナス成長だった。また車載電池メーカー上位10社のうち、半数以上で増加率が前年を下回っている。
市場全体の冷え込みにより、中国の車載電池メーカーでは利益率が急降下し、業界内の再編が一気に進むとみられている。資金繰りに苦戦する車載電池業界では、発言権のある大企業がますますシェアを拡大している。
昨年11月時点で寧徳時代の市場シェアは実に64%に達した。かつて寧徳時代と並び「車載電池の巨頭」と称された中国EV最大手の「比亜迪(BYD)」は、シェアわずか6%ほどと大きく水をあけられた。トップを独走する寧徳時代は、まさしく市場の覇者となっている。
中国の証券会社「国泰君安証券(Guotai Junan Securities)」は、今後さらに車載電池メーカーの淘汰が進むとの予測を述べた。別の証券会社「天風証券(TF Securities)」もリポートの中で、車載電池メーカーは工場の拡張に多額の資金を必要とするため、自身の収益基盤を確立しておくことが不可欠だと指摘している。
弱肉強食の過酷なレースにおいて最も有望視されているのが、市場シェア最大かつ十分な収益基盤を持つ寧徳時代だ。
同社は今や世界最大手の車載電池メーカーとなっている。欧州や四川省では新工場の建設が進んでおり、今後は生産能力がさらに拡大するだろう。また利益率で見ても、韓国のLG化学やサムスンSDIがそれぞれ3.2%、5.7%であるのに対して、寧徳時代は14.08%と、世界大手メーカーの中でも突出している。
米フォーチュン誌が今後の急成長企業を発表する「フューチャー企業50社(Fortune Future 50)」で、寧徳時代は2019年にテスラやテンセントなどの有名企業を抑えて4位にランクインした。
車載電池メーカーの関係者によると、サプライチェーンが整った中国において、国内メーカーはコストコントロール能力に長けているという。車載電池市場の拡大と共に大規模生産を進めれば、コストはさらに圧縮できる。
国泰君安証券の予測では、世界の新エネルギー車の浸透率が自動車市場全体の30%に達したとき、車載電池業界は1兆元(約16兆円)規模にまで成長しているという。今後10年間で、車載電池業界の利益率は10倍以上に増加するという試算もある。そうなれば、リチウムイオン電池メーカーの時価総額も現在とは比べものにならないほど膨らむことになる。そのときに笑うのはいったい誰だろうか。
作者:未来汽車日報(Wechat ID:auto-time)、李梓楠
(翻訳・畠中裕子)
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