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バイクは、これまでのような単なる移動手段から、乗ること自体が趣味やレジャーになりつつある。ハーレーダビッドソン(Harley Davidson)、インディアン・モーターサイクル(Indian Motorcycle)、トライアンフ(TRIUMPH)、ヴィクトリー(Victory)、BMWなどの輸入バイクの中国人オーナーも右肩上がりで増えている。中信証券(CITIC Securities)は、移動手段としての二輪車市場は飽和状態になりつつあり、性能に優れた大型バイクが新たな成長点となると見込んでいる。中国の大型バイク市場は、2026年には110万台に達する見通しだ。
36Krはこのほど、クルーザータイプの輸入バイクを取り扱うECプラットフォーム「摩燃(Mobag)」を取材した。現在の主な業務はアメリカンバイクのパーツと装備の輸入、卸し、小売となり、商品ラインナップは米国トップレベルのメーカーから中堅メーカーまでカバーしている。
Mobagは、有名バイク用品通販サイトの米RevZillaとアメリカ最大級のパーツ&アクセサリーディストリビューターの米ドラッグスペシャリティーズ(Drag Specialties)をベンチマーク。2019年の売上高は3000万元(約4億5000万円)を超えている。
中国国内の大型クルーザーバイク市場規模の成長は顕著である。とはいえ、アフターマーケットはまだ健全とはいえない状態だ。クルーザーバイクのアフターマーケットには、パーツの改造とツーリング装備などが含まれる。そのうちアメリカンバイクの需要が4分の1を占める。アメリカンバイクは主に、ハーレーダビッドソンとインディアン・モーターサイクルで、Mobagが注目しているメーカーでもある。
創業者の馮沫然氏は、「バイクの改造とツーリング装備の購入はオーナーの自己表現、個性を表すための必需品となっている。純正パーツはデザインが単一で価格も高い。そのためアメリカンバイクのオーナーは改造メーカーのパーツを好み、自分なりの改造を施す。現在多くの改造用パーツは海外メーカーのものが大半を占めている」との見解を示した。
供給面から見ると、輸入バイクの中国国内オーナーはパーツや装備品をアリババ傘下のECモール「淘宝(タオバオ)」から購入している。新たなEC法規公布後、既存の代理店は輸入業者と輸入業者から仕入れる仕入業者に二分されたが、いずれのルートもこれまでと同様、淘宝から商品を調達している。
オンラインチャンネルの他に、各都市に点在する実店舗が主に会員形式でバイク愛好者を募り、改造サービスを行っている。しかし、実店舗にはストックがなく、ディーラーの調達に頼っているのが現状だ。売り上げはパーツ価格との差額と人件費による。需要サイドからみると、個人消費者は購入過程で、▽情報が不透明であることから価格も不透明である▽商品調達ルートが分散化しており、商品の比較がしづらく、ニセモノなどの識別がしにくい▽淘宝でのCX(消費者体験)が低く、納品時期が保証されていない上、改造時の人件費が高く、アフターサービスも受けにくい――などの問題に直面している。
Mobagはこのような問題に対して、二年間で独自のサプライチェーン(供給網)を作り、海外ブランドのベンダーから直接調達する仕組みを構築した。現在、中国エリアで海外メーカーのパーツ輸入量が最大のディーラーとなっている。
同社はアメリカに自社倉庫を保有している。受注した商品はパッケージされた後、長期提携の物流企業を通じて中国国内に輸送される。同社はサプライチェーン全体を管理し、仕入れ先と品質を保証している。また、これまで30~60日かかっていた納品期間も15~20日に短縮した。
サービス面では、淘宝に二店舗あるほか、業界カスタマイズ向けのディーラー調達システムと消費者向けのECプラットフォームを構築している。現時点でディーラー向けシステムはすでに1年間運営しており、30万種近くの商品をカバーしている。消費者向けECプラットフォームもすでにオンラインでの運営を開始、現在はイテレーション中だ。
ディーラーと自社プラットフォームの在庫問題を解消するため、摩燃はデータにより各シーズン、時間帯、製品販売量の割合のビッグデータを分析し仕入時の参考とし、在庫を抱えないように努めている。
新規オーナーにとっては、淘宝でのパーツ購入後の改造方法が分からない、ディーラー店の改造費が高い、小規模店舗ではクオリティーが低いなどの問題があるという。これに対して摩燃は以下のソリューションを提案している。
■ECプラットフォームに検索機能を追加し、消費者はキーワードを入力し対象商品を検索する。
■動画チームを立ち上げ、技術者チームによりハイクオリティーな製品テスト動画を制作する。基本の改造とメンテナンス方法を動画配信することで、ユーザーは改造を楽しみながら、改造コストも節約できる。
クルーザーバイク市場はある種の「サークル型」市場である。オーナーはグループ活動を好み、情報交換なども密に行っている。
Mobagは現時点では大規模な広報活動を行っていない。主にCXを通してバイク仲間への口コミで広まっている。
次なるステップは、全メーカーのサービスに本腰を入れることだ。アメリカンブランドからドイツ、イタリア、イギリス、日本などのメーカーのバイクへと守備範囲を広げる。長期的に見た場合、クルーザーバイクを皮切りに、街乗り用、ツーリング用、レースバイク、クロスバイク、クラシックバイク、アドベンチャーバイク(ADV)などの二輪車に加え、スノーモービル、バギーATV、水上バイクなどのパワースポーツ分野でのフルカバレッジを目指す。現在、Mobagは資金調達先を探している。
馮氏はハーレーダビッドソンの熱狂的なファンだ。バイクのアフターマーケットに精通している上、長年の国際貿易経験もある。共同創業者のMark Wang氏は、ナレッジシェアサービスプラットフォームの「GitChat」の共同創業者だ。OracleやIBMでの長年にわたるコンピューターとインターネットに関する研究開発経験を有し、アメリカ在住で米国バイク市場に精通している。もう一人の共同創業者である唐暁侃氏には10年近くアメリカンバイクのパーツ、装備の販売経験がある。
(翻訳:lumu)
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