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動画配信サイト「Mango TV(芒果TV)」の運営を手掛けるニューメディア企業「芒果超媒(Mango Excellent Media)」 はこのほど公告を出し、公募により同社株式の5.26%を譲渡する方針を明らかにした。公告によると、同社の支配株主「芒果伝媒(Mango Media)」は公募締め切りの11月16日までにアリババ系列の「阿里創投(Ali Venture Capital)」から有効な形式の申請資料を受領。総合的な審査の実施後に「株式譲渡契約」を結ぶことになる。
公告では譲渡人の決定には依然として不確実な部分が存在するとしているが、この取引が成立すれば動画配信サイトの勢力争いに新たな動きが生じるのは間違いない。
中国の長尺動画配信業界では現在、テンセント(騰訊)傘下の「テンセントビデオ(騰訊視頻)」、バイドゥ(百度)傘下の「iQIYI(愛奇芸)」、アリババ傘下の「Youku(優酷)」の三大プラットフォームがしのぎを削っている。
ビッグデータ分析の「易観千帆(qianfan Analysys)」が今年4月に発表したデータによると、アクティブユーザー数、ネットユーザーへの浸透率および利用時間の各指標で、いずれもiQIYIが第1位、テンセントビデオが第2位、Youkuは第3位となっている。アクティブユーザー数(規定の時間内に少なくとも1回はアプリを開いたユーザー数)に着目すると、iQIYIは6億人台、テンセントビデオは5億人台、Youkuは3億人台、Mango TVは1億人台となっている。
Youkuの業績は、明らかにアリババの期待に応えられていない。今回の株式譲渡が成立してアリババが芒果超媒の株主になれば、Mango TVとYoukuの提携が強化されるだろう。その結果、将来的には各指標で上位2社との差が縮まる可能性もある。
芒果超媒(旧称「快楽購物」)は湖南省長沙市に本社を置くニューメディア企業で、子会社として「快楽陽光(Happy Sunshine)」「天娯伝媒(EE-Media)」「芒果娯楽(Mango Entertainment)」など7社を抱え、Mango TVのほか「湖南IPTV」やテレビショッピングチャンネル「快楽購(Happy Go)」などを運営している。
芒果超媒の実質的な親会社は、同社の支配株主である芒果伝媒を完全子会社とする湖南広播電視台(HBS)だ。芒果伝媒は現在、芒果超媒株の64.2%を保有している。
動画配信サイト上位3社のiQIYI、テンセントビデオ、Youkuが赤字続きなのに対し、Mango TVだけは黒字を出している。広告収入と会費収入を主な収入源としているのは上位3社と同様だが、Mango TVはHBSが運営する衛星放送チャンネル「湖南衛視(Hunan TV )」の番組の独占配信権を低価格で取得でき、番組制作費を大幅に低減できることがその理由となっている。
Mango TVが今年6月から9月にかけて配信したリアリティーショー「乗風破浪的姐姐(Sisters Who Make Waves)」は、同時期配信のバラエティー番組人気度ランキングで第1位となった。人気度を測る4種類の指数は、いずれも第10位までの番組の平均値を上回っていたが、とくにメディアに対する人気度がずば抜けて高かった。同番組の配信開始後、芒果超媒の株価は年初と比べ82.5%上昇し、直近では70.2元(約1100円)をつけている。
(翻訳・田村広子)
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