中国、UWB技術を使った高精度測位システム 刑務所や介護施設への応用進む

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測位システムを開発する「全迹科技(UbiTraq)」が、数千万元(約数億円)の資金調達をしたことがわかった。華軟資本(China Soft Capital)が出資し、賽鉑資本(Cyber Capital)が財務アドバイザーを勤めた。調達した資金は次世代の測位システムの開発と、営業チームの拡充に使われる。

全迹科技は2016年4月に設立されたUWB(Ultra Wide Band、数百MHzから数GHzという非常に広い周波数帯域を用いる無線方式)技術に基づき高精度の測位システムを開発する企業である。工業、農業、商業、介護、研究機関、司法機関、建築現場など、幅広い分野での使用を想定している。

同社のUWB測位システムは、基地局、スマートタグ、測位エンジンからなる。基地局は室内に設置され、電波を受信するために使う。スマートタグは人員または物品に取り付けられ、UWB電波を発信しつづける。測位エンジンはローカルサーバーまたはクラウド上にあり、受信した電波に基づきスマートタグの位置を計算する。

全迹科技のUWB測位システムの構造

現在の全迹科技のクライアントは大手企業がメインで、製造業と物流分野の企業が最も多い。システムは好評であり、リピート率は100%に近い。製造業において、UWB測位システムは人員、物品の位置をリアルタイムで確認でき、人時管理、資材管理、動線管理などがより簡単になり、作業現場の効率と精度を上げることができる。物流では、人員や車両の移動ルートをより正確に把握することができ、最適なルートで作業していくことができる。

また、同社の技術は今後刑務所や介護施設向けにも展開する予定。 刑務所の場合、受刑者の24時間の位置監視と移動の追跡が可能になる。 介護施設の場合、職員は高齢者の正確な位置情報をタイムリーに把握できるほか、ブレスレット型のディバスを装着させることで、高齢者の心拍数、脈拍数、血中酸素指数を観測することもできる。

個人向けにおいても、UWB技術の可能性が広がっている。アップルはiPhone11からUWBチップの「U1」を搭載し、それを使った各種サービスが誕生している。この分野において、全迹科技は2017年にスマートフォンを使った捜し物装置の特許を、2018年にUWBに基づく改札技術の特許を取得した。特に後者は、スマートフォンをポケットに入れたままで地下鉄の改札を通過することが可能となる便利なものであり、すでに銀聯などが興味を見せている。

UWB技術のネックは専門性とコストが高いことである。基地局とスマートタグの設置には専門スタッフが必要であり、一般の消費者が購入してすぐに使えるものではない。そのため、全迹科技はより使いやすい次世代のUWBデバイスを開発している。一般向けの販売が増えれば、製品の価格も下がってくるだろう。

全迹科技の2019年の売上高は約2000万元(約3億円)で、黒字化を実現した。現在の従業員は開発職がメインで、今年営業チームを立ち上げた。CEOの都延星氏はファーウェイのハードウェアエンジニアなどを歴任し、ハイテク製品の開発において10年以上の経験を持つ。(翻訳:小六)


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