ジャック・マー氏創設のファンド、オンライン教育の世界最大級ユニコーン「猿補導」に300億円出資

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中国のオンライン教育スタートアップ企業「猿補導(Yuanfudao)」が、アリババグループの創業者ジャック・マー(馬雲)氏が創設した「雲鋒基金(Yunfeng Capitall)」から3億ドル(約310億円)の出資を受けたことがわかった。

猿補導は今年3回目の資金調達に成功したことになる。3月には高瓴資本(Hillhouse Capital)からシリーズGで10億ドル(約1040億円)を、10月にはテンセントとDST Globalをリードインベスターとして22億ドル(約2300億円)を調達しており、後者は中国のインターネット業界で今年最高額の案件となった。3回で合計して35億ドル(約3600億円)を調達したことになり、世界のエデュテック業界としては最高評価額のユニコーン企業に躍り出た。

オンライン教育で世界最大規模のユニコーン誕生 中国「猿補導」が新たに2300億円を調達で評価額1.6兆円に

2012年に公務員試験対策の問題集「公考題庫」事業からスタートした猿補導はその後、ターゲットユーザーを成人からK12(幼稚園年長から高校生まで)に拡張し、事業内容もオンライン教育プラットフォームにまで拡大した。さらに事業の軸足はオンライン授業へ移り、2017年末にはAIを活用した未就学児から小学校低学年向けの基礎科目講座「斑馬AI課」を開講、K12向けオンライン授業「猿補導網課」と並び同社の二大主力事業となった。

現在は早期教育にも注力しており、プログラミング教育「猿編程」や科学教育「南瓜科学」、0〜3才児向け教育「斑小馬」などのブランドを運営している。さらに美術教育や音楽教育などの事業を準備中だという。最終的にはK12の全科目および早期教育を網羅するブランドの確立を目指す。

36Krの調べによると、猿補導は今年の売上高として100億元(約1600億円)以上を計上する見込み。また、受講生数について、同社のWeChat公式アカウントの発表によると、「斑馬AI課」「猿補導網課」の二大事業における有料コースの受講生は400万人以上だという。売上高でもユーザー規模でも猿補導は業界首位となった。

今年はコロナ禍がオンライン教育業界の追い風となったが、同時に資金調達や企業間競争の面でも苛烈さを増している。国内外の大手投資機関や、テンセントやアリババといったITジャイアントも時価総額1000億元(約1兆6000億円)規模の企業の出資者になるべく、おしなべて同業界に参入している。

オンライン教育を手がける企業が抱える課題は主に三つだ。一つ目は高騰する新規顧客獲得コストをより下げること、二つ目はサービス内容をブラッシュアップして受講継続率を確保すること、三つ目は企業の運営効率を上げ、コミュニケーションコストを下げるとともに余剰人員を減らしていくことだ。

今回、猿補導に出資した雲鋒基金は2010年、アリババグループ創業者ジャック・マー氏と広告メディア企業「聚衆伝媒(Focus Media)」創業者の虞鋒氏が設立したプライベート・エクイティ・ファンドで、傘下には複数のドル建てファンド、人民元建てファンドなどを抱える。主な投資分野はIT、テクノロジー、金融、教育などだ。(翻訳・愛玉)

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