クラウドゲーム技術の「Welink」、シャオミなどから25億円調達 クラウド版『原神』制作に参加

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クラウドゲーム技術のソリューションプロバイダー「蔚領時代(Welink)」は先ごろ、シリーズAで1億5000万元(約25億円)を調達した。リード・インベスターはシャオミ(小米科技)、コ・インベスターは「順為資本(Shunwei Capital)」、既存株主の「米哈游(miHoYo)」、「中手游(CMGE)」などが務めた。調達資金は、技術研究開発と組織拡充に充てられる。

シャオミと提携

蔚領時代は今回の資金調達に伴いシャオミと複数のプロジェクトで提携を進め、インテリジェント・エコシステムおよびクラウドゲーム技術に関するそれぞれの強みを合わせることで、より優れたクラウドゲームタイトルを制作するためのソリューションを提供する。

蔚領時代の創業者で董事長を務める郭建君氏

同社創業者で董事長を務める郭建君氏は従来のコンソールゲームについて、ソニーのPlayStationやマイクロソフトのXbox、任天堂のゲームシリーズがいずれもハードウェアをベースとし、ゲーム機の販売を通じてリリースと運営のクローズドループが成り立っていると指摘。一方のクラウドゲームではプログラムがクラウド上で動くため、ゲーム機に縛られることなく、ディスプレイさえあればゲームを楽しむことができると話した。

シャオミ・インターネット部門総経理の馬驥氏は、中国には数億人のゲームプレイヤーがいる上、インテリジェント・エコシステムの中国トップ企業である同社はクラウドゲーム技術を活用して同社製のスマートフォンやスマートテレビなどを瞬く間にゲームディスプレイに変えられるため、数十年にわたり事業を展開してきたゲーム機メーカーにも一気に追い付くことができると説明。シャオミの製品はクラウドゲーム・エコシステムの重要なキャリアとなって、プレイヤーにハイスペックなゲーム体験を提供できるとの見解を示した。

蔚領時代は現在、ソフトウェア大手「キングソフト(金山軟件、Kingsoft)」傘下のクラウドベンダー「金山雲(Kingsoft Cloud)」のほか、株主でもあるゲームパブリッシャーのmiHoYoやCMGEと提携してより多くのゲーム制作に参加できる良好な環境を構築すると共に、クライアントに包括的なクラウドゲーム技術ソリューションを提供している。中でもmiHoYoと制作しているクラウドゲーム「原神(Genshin)」が現時点で最大のプロジェクトとなっている。

Android版「原神」のゲーム画面(画像提供は筆者)

クラウド版「原神」をテスト公開

4月7日にmiHoYoのクラウドゲームプラットフォーム「米哈雲游」がAndroidデバイスでテスト公開されており、プレイヤーは「1080P+60Hz」という低遅延のクラウド版「原神」を体験できる。「クラウド版『原神』の開発と改良に1年半近くかかったが、本タイトルの制作を通じて今後の製品開発に役立つ多くの経験と技術を蓄積できた。また、グラフィックの向上に取り組んでおり、スマホでもゲーム機と同じ高画質を楽しめればクラウドゲームの大きな強みとなるだろう」と郭氏は話した。

「原神」のクラウド化から見るクラウドゲームの未来

中国では4Gの普及後にゲームプレイヤーが2億人弱から5億人以上に増え、そのほとんどがスマホユーザーだ。スマホの性能とユーザーの時間的制約によって、高画質の「AAA(トリプルエー)タイトル」と呼ばれる大作をスマホユーザーが選ぶことは少ない。クラウドゲーム技術の向上によってスマートディスプレイさえあればいつでもAAAタイトルをプレイすることが可能となり、そうなればゲーム市場の構図は変わるだろう。

Android版「原神」のプレイ画面(画像提供は筆者)

「原神」の複数端末同時接続モードはクラウドゲームの大きなトレンドとなる見通しだ。テンセント(騰訊)やネットイース(網易)などのメーカーもそれぞれの強みを活かしてクラウドゲーム・エコシステムの構築に注力している。郭氏は、「現在は『ゲーム動画化』の過渡期にあり、次はクラウドネイティブ、ゲームIPの映画・テレビ化、VR(仮想現実)といった分野にも技術を広げたい。将来的には産業チェーンに関連するより多くの企業と共に仮想世界(バーチャルワールド)を作りたい」 としている。

(翻訳・神戸三四郎)

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