中国EV大手「NIO」の巨大産業パークが着工、テスラを超える年産100万台を目指す

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中国版テスラと呼ばれる新興EVメーカー「NIO(蔚来)」は4月29日、安徽省合肥市でEV製造の産業パーク「Neo Park(新橋智能電動汽車産業園)」が正式に着工したことを発表した。Neo Parkは世界レベルのスマートEV生産基地という位置づけで、敷地面積はサッカー場1500個分に相当する1130ヘクタールを誇り、研究スタッフ1万人以上、技術者4万人以上の受け入れが可能だという。竣工後は完成車やコア部品、自動運転などイノベーションに繋がる研究を進め、関連企業数百社を招致して、高度に集約された世界的なインダストリアルチェーンの構築を目指す。

NIO創業者でCEOの李斌氏は発表会で、Neo Parkの所在地が合肥新橋国際空港のそばであること、500億元(約8500億円)の初期投資を行ったこと、年間生産能力は完成車100万台、バッテリー100GWhで、年間生産高5000億元(約8兆5000億円)を見込んでいることを明らかにした。

画像提供:NIO

「スマートEVに特化したこれほど大規模な産業パークは世界にまだ一つもない。テスラの工場は規模の点では大きいものの、完成車、部品、研究開発などの部門が分散している」。公式情報では上海にあるテスラのギガファクトリーは年産45万台、米国カリフォルニア州のフリーモント工場は年産60万台となっており、NIOが掲げた年間100万台の生産能力はテスラの工場をもはるかに上回っている。

これより前、NIOの10万台目の完成車がラインオフした際、李CEOは年間100万台に挑戦することを表明した。Neo Parkの完成後は、その生産能力を生かして目標達成を支えることになるはずだ。

Neo Parkはスマート製造エリア、研究開発・生活エリア、文化生態エリアという3つのエリアから構成される。

スマート製造エリアは、チップや半導体、機械、バッテリー、部品から完成車製造、カスタマーサポートまでを幅広くカバーするインダストリアルチェーンの集約地となる。

一カ所に集約する最大のメリットは高効率、コスト削減だと李CEOは語る。例えばバッテリーを製造施設からベルトコンベヤーで自動車組立工場に直接送れば、バッテリー1つ当たり数百元(数千円)の物流コストを削減できるという。バッテリーは危険物に相当するため、大まかに見積もっても完成車1台分で3000元(約5万1000円)の物流コストをカットできる計算だ。

研究開発・生活エリアはNeo Parkのソフトパワーを形にしたもので、楽しさを分かち合い共に成長するコミュニティーを作り上げ、若者にとっても魅力ある場所にしていく。文化生態エリアでは、工業団地の20%の面積を使って自然と共生した環境利用計画を進めるとのこと。

今年2月にNIOは合肥市との提携をいっそう強化するための協力枠組協定を締結した。李CEOは「Neo Parkは協力枠組協定の具体的な実践だ」と語っている。

協定に基づき、NIOは産業パーク内に研究開発、製造、マーケティング、管理チームを設置し、リソースを統合することで、合肥市に質の高いインダストリアルチェーン関連企業を引き入れるサポートを行う。合肥市側はスマートEV産業への支援を拡大して優良企業の工業団地への入居を促すほか、建設や資金、人材など各方面で優遇政策を打ち出してバックアップするという。

画像提供:NIO

優秀な人材や企業を引き入れるため、李CEOは「合肥市企業誘致アドバイザー」を名乗り、自ら企業誘致の宣伝を行った。「これまでに、合肥市に生活拠点を移して仕事をしているNIOの従業員は1000名以上に上る」

合肥市は効率、ロケーション、人材、ビジネス環境のどれをとっても優れていると李CEOは説明する。NIOは生産拠点を合肥市に構えたおかげで、完成車の物流距離の平均はわずか901キロメートルとなり、ベンツやBMW、アウディなどに比べ物流コストをかなり低く抑えることができている。

スマートEV産業は今後、ソフトウエア競争になだれ込むと予測されているが、合肥市は中国科学技術大学、合肥工業大学、安徽大学などを抱え、ソフトウエア分野の人材育成の基礎が整っている。

李CEOは今後を思い描いて次のように語った。「『新橋』という名称は非常にふさわしい。私たちはイノベーションによって産業に新たな橋をかけるからだ。このNeo Park・新橋智能電動汽車産業園が将来、世界EV産業の注目の的となることを確信している」
(翻訳・畠中裕子)

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