机の上に「話せて、動いて、表情がある」ーー1/3サイズヒューマノイドが日本上陸、開発者に無償提供

話しかければ答えて、触れれば反応して、考えて表情まで変わる—— そんな小さなヒューマノイドが、机の上に置けるサイズで登場した。

中国の新興ロボットメーカー「FIGUROBOT(霊童機器人)」が開発した、全長約60センチの人形型コンパニオンロボットが、日本の開発者・クリエイターを対象に、数量限定で無償提供される予定だ。

小型ヒューマノイドであり、動く1/3ドールでもある

FIGUROBOT製品の最大の特徴は、そのサイズにある。関節が多自由度の身体表現を実現しながらその全長は約60センチ。いわゆる「1/3ドール」と同じスケールで、市販の既製衣服がそのまま着せられるため、見た目のカスタマイズ自由度は高い。

同社はこのサイズを「デスクトップの魂の運び手にとっての黄金サイズ」と呼ぶ。背景にあるのは、「お気に入りのIPに命を吹き込み、IPからも愛される存在になる」というシンプルでロマンチックなビジョンだ。

お気に入りのIPを現実世界に蘇らせる

デスク上でも場所を取らず、それでいて安定した立ち姿・自然な歩行・豊かなボディランゲージを実現する。さらに市場に流通するフィギュアや球体関節人形の規格とも一致するため、「市場に出回っている人型IP95%に対応できる」という。肌パーツのカスタマイズも可能で、初音ミクからロボット系IP、オリジナルキャラクターまで、好みのキャラクターをそのままミニチュアとして再現できる。

ヒューマノイドとしての機能も充実している。前後左右に歩けて、腕を自在に動かし、目・口・眉が連動して様々な表情が出せて、ちょっとした踊りまでこなす。各種センサーを搭載することで、声・動き・タッチのいずれにも反応する。さらに独自の専用AIモデルにより、自然な会話も可能だ。コンパクトな筐体ながら、ほしい機能を詰め込んだ製品となる。

ロボットの見上げ動作

ダンスパフォーマンス

サーボ開発が生んだ、小型化の技術的突破

創業者の陸傑氏に話を聞くと、1/3ドールサイズを選んだのは、既存のドール向けの製品の流用ができることと、技術的な面の2点を挙げる。実際、60センチクラスの超小型機体に対応するコア部品ついては、自社開発を行っている。

2008年から小型サーボの開発を続けてきた同社のチームが、極小サイズのデジタルサーボとトルクモーターを融合させたトルク制御型アクチュエーターを開発。高負荷でも破損しにくく、人との接触時にも高い安全性を確保しながら、よりしなやかで生命感あふれる動作を実現した。そして中国でもドールやフィギュアの産業が成長していることから、皮膚パーツについても専業部品メーカーのものを標準採用したとこだわりをみせる。

1/3ドールサイズ

小型ヒューマノイドを作ること自体は、現在では必ずしも難しくないと陸氏は指摘する。中国のヒューマノイドメーカーはすでに160社を超え、コア部品の市販化も進む。その一方で本製品に匹敵する超小型機体をリリースする企業はまだなく、それに対応した精密部品のサプライチェーンも十分には整っていない。そこを同社はチャンスととらえている。

初代は即完売、2代目はさらに進化 

初代製品の念NIA-F01

まもなくリリース予定の新製品は初代モデル「念NIA-F01」に続く2代目にあたる。初代もまたそのコンセプトの尖り具合からからテックファンを中心に大きな注目を集め、発売後すぐに完売となった。

人形風のAIロボット「NIA-F01」、手のひらサイズで登場。世界最小級関節搭載、対話も可能

2代目での主な進化点は二つだという。まずは表情を豊かにした。目と口と眉が連動して動かせることにより、感情表現の幅が大きく広がった。AIが音声・表情・タッチ操作をリアルタイムで解析してユーザーの感情を推定し、ある表情から別の感情へと滑らか自然に変化する。実演動画では、笑顔から驚き、悲しみへと変わるその動きがなめらかに変化していて驚かされた。

次に熱対策だ。好きな服を着せるということは熱がこもりやすくなることから、独自の熱制御アルゴリズムで改善を図った。「服を着せると機器が傷む」という心配が不要になった。 

コミュニティで「育てる」エコシステム

このロボットの面白さは、ハードウェアだけにとどまらない。

ファンによるカスタマイズ需要に対応するため、FIGUROBOTはユーザーが髪型・肌・モーション・性格データなどを購入できるコミュニティプラットフォームを用意している。「ソウルエディタ」でロボットの個性を設定したり、「モーションエディタ」で動きを作ったりしたデータを、ユーザーの間でも取引可能となるそうだ。3Dプリンター用データのマーケットプレイスに近いイメージだ。

同社が目指すのは、ユーザーのコミュニティによってロボットが進化し続けるエコシステムの構築だ。3Dプリンターが共有データコミュニティによって普及したように、FIGUROBOTもユーザーの創造性によって育つ製品を目指している。

手のひらサイズの小型ヒューマノイド

AIの思考・感情処理には、300万ユーザーを持つAIチャットアプリの開発経験持つエンジニアが参画。中国国内外のAIモデルへの切り替えも可能な設計となっている。資金面では、すでに1億元(約20億円)以上の調達を完了しており、開発・運営体制は一定の安定性を持つ。またその尖った製品特徴ゆえに日本企業からの引き合いも入り始めているというので、さらなる展開が期待できそうだ。

日本のクリエイターとも「共創」

FIGUROBOTは、コミュニティによる共同創造・共同開発というビジョンのもと、世界全体で1000台、そのうち日本向けに300台を無償提供するプログラムを始動する。

世界の専門ユーザーと共に、ロボットが「家族」や「パートナー」となる未来のエコシステムを構築したいという目標から、国籍や職業を問わず、研究機関、ハードコア開発者、メイカー、コンテンツクリエイターなど、熱意ある全ての「創作者」に門戸を開くとしている。

申し込みフォーム:https://www.figurobot.com/#/creationProject

机の上に置ける、話せて動き、表情もある人形型ヒューマノイド。それは単なるガジェットではなく、これからは人とロボットの関係を問い直す、マイルストーン的製品だと感じた。

(文・山谷剛史)

日本企業のDXを促進するプラットフォーム「CONNECTO」
無料コンテンツ公開中

最新記事