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デジタル通貨による決済サービス「MugglePay」がシードラウンドで100万ドル(約1億円)を調達した。リード・インベスターはブロックチェーン技術や仮想通貨決済を手掛ける「Celo(セロ)」傘下の「Flori」、コ・インベスターはパブリック・ブロックチェーン「Algorand(アルゴランド)」に特化したベンチャーファンド「Borderless Capital」、「Golden Gate Ventures」傘下で暗号通貨に特化した「LuneX Ventures」。
今年3月24日、米電気自動車(EV)大手テスラが公式サイトの決済画面で仮想通貨ビットコインを採用し、デジタル通貨による決済が再び人々の注目を集めている。MugglePayは2019年に設立され、暗号化されたデジタル通貨による国際決済をメインとする。決済手段を必要としているゲーム、オンラインコンテンツ、越境ECなどを手掛ける中小事業者に対して、入金および決済サービスを提供している。
MugglePay共同創業者のShawn YuCEOによると、国を跨ぐ決済はアジアの中小事業者が海外進出する際の課題だという。VISA、Stripeなど従来から国際決済を手掛けるプラットフォームは決済コスト、手数料がともに高い(総コストは約7%)。また銀行間の送金が完了して企業が売上金を回収できるまでの期間が長く(約14日間)、チャージバック(クレジットカードの不正利用などにより購入者が支払いを拒否すること)が発生した場合はそれに対応しなければならない。このような条件は中小事業者のビジネスと資金管理に不利益をもたらしている。
これらの問題を解決するためにMugglePayはブロックチェーン上でポイントツーポイントの決済ソリューションを構築し、国際決済のコストを従来の7%から1%以下にまで引き下げた。さらに約14日かかっていた売上回収期間を数分にまで短縮し、これによって事業者の資金上のリスクを大幅に低減した。これ以外にも事業者側がチャージバックなどの問題に対応する必要がないという利点がある。
デジタル通貨の変動性の問題についてMugglePayの共同創業者であるSky HanCOOは、現在ほとんどの決済業務は安定したデジタル通貨によって行われており、変動による影響は小さいと述べている。ビットコインなど市場価値の変動が大きいデジタル通貨に対しては独自の取引モデルを用意しており、事業者は同等の価値を持つ安定したステーブルコインを得られるため、デジタル通貨の不安定性に対する懸念を軽減できる。MugglePayによるとこれは同社の技術的な優位性の1つだという。
MugglePayは昨年、5000を超える事業者をサポートし、100万件あまりのオンライン決済取引を完了させ、取引額ベースで前年同期に比べて1000%の成長となった。
現在MugglePayのプラットフォームに登録している事業者は7000を超え、毎月30万件あまりの取引を処理している。この数は2011年に設立された仮想通貨を扱う決済サービス「BitPay」の3倍以上の取引数だ。
欧米市場をメインに展開するBitPay、「Coinbase Commerce」などの競合と異なり、MugglePayは主にアジア市場に進出し、同市場における需要の空白を埋めようとしている。
Sky HanCOOによるとMugglePayはアジア地域における影響力を拡大し、ローカル化、ブランド化、専門化によって優位性を確立し、より多くの事業者と消費者にMugglePayによる決済サービスを利用してもらい、アジア地域における最大のデジタル通貨サービス企業になることを目指しいている。
新型コロナウイルスの世界的な流行で、中国では事業者の対外取引への需要が急増している。MugglePayのデータによると越境ECの潜在的な市場規模(TAM:Total Addressable Market)は100兆ドル(約1京900兆円)あり、世界最大の時価総額を誇る決済企業「PayPal」ですら、この潜在的市場規模の1%を占めるに過ぎない。決済市場は巨大なブルーオーシャンだ。
MugglePayのチーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)を務めるCherry Shi氏は、従来の金融システムに比べて暗号化されたデジタル通貨は安全性、迅速性において優位であり、ビジネスの成長は従来の銀行システムに比べてはるかに速いと述べている。MugglePayは2022年末までに2019年末の1000倍の取引額を達成する見込みとのことだ。
同氏はまた、最近のデジタル通貨に関する監督管理の強化とコンプライアンス重視の動向について、MugglePayにとってもデジタル通貨産業全体にとっても良いニュースであり、ライセンス制度も含めて市場の規範化に繋がるとしている。MugglePay今後、監督管理の強化に対応したコンプライアンスサービスを企業に提供していく予定だ。
MugglePayはまもなくプレシリーズAの資金調達を開始するという。
(翻訳・普洱)
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