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バイトダンス(字節跳動)がショート動画アプリ抖音に続き海外版であるTikTokでもソーシャル機能を拡大するという。
36Kr傘下のメディア「Tech星球」が複数の情報筋から得た情報によると、バイトダンスは昨年末から「北京軽松十点」というテクノロジー企業関係者に接触しているという。同社は昨年末に解散しており、創業者である張燁彬氏がバイトダンスに加入したとのことだ。同氏はすでにTikTokのソーシャル技術部門責任者に任命されており、バイトダンスのコア技術責任者である梁宇明氏直属の立場だという。これはバイトダンスが海外向けサービスのTikTokにソーシャル機能を加える計画があることを意味している。
企業情報検索サイト「天眼査(Tianyancha)」によると、北京軽松十点は2020年1月6日に設立されたが現在は正式に登記が抹消されている。しかしバイトダンスの組織には取り込まれていない。同社の製品は「Chill」というソーシャルアプリだ。
Tech星球はChillをダウンロードしてみたが、現在利用登録ができない状態だった。バイトダンスが同アプリを採用したわけではないようだ。しかしChillはまだAndroidのアプリストアにあり、今後再び利用できるようになる可能性もある。
モバイルアプリのデータ分析を行う「七麦数據(Qimai Data)」によると、Chillのダウンロード回数は2万523回で無名のソーシャルアプリよりも少ない。このような目立たないアプリがどうしてバイトダンスの目に留まったのだろうか。
Tech星球が同アプリのユーザーから得た情報では、Chillは写真で交流するアプリという位置づけで匿名方式を採用しており、Snapchatと同様に閲覧後は写真が消えるためプライバシーが保たれるという。そのほかChillでは動画の編集も可能とのことだ。
Snapchatと似ているが、コミュニケーションの際のプライバシー管理をより重視しているという。
中国で主流となっているソーシャルアプリに比べ、Chillはよりオープンでリアルだ。例えば「お知らせ」のページに表示される「相手がスクリーンショットを撮影」「送信済み」「既読」「相手がリプレイ」などのメッセージを通して、プライバシーが保護された上でのオープンなやり取りが可能となる。これらの機能によりコミュニケ―ションのリアルさが守られる。知らない人とやり取りするアプリのうち、大部分がこの点が実現できていない。
機能から考えるとChillは海外での利用により適しているようだ。これがバイトダンスが北京軽松十点を買収した理由なのかもしれない。張燁彬氏がChillの利用方法をTikTokに応用し、バイトダンス版のSnapchatを作り出し、海外ユーザーにより適した利用方法を試そうとしているとも考えられる。
抖音のソーシャル機能が怒涛の勢いで発展してきたのに比べ、その海外版であるTikTokにはソーシャル機能面での発展は見られず、いまだにショート動画というユーザーが鑑賞するだけの一方的なモデルに留まっている。TikTokは近ごろEC(電子商取引)分野でテストを開始しているが、さらに一歩進んでエコシステムを発展させ、各事業を繋げる要となるものを必要としている。その「要」にはソーシャル機能が最適だ。
米モバイルアプリ調査会社「Sensor Tower」によると、TikTokは4月のApp Storeのダウンロード回数では首位だったものの、Androidのアプリストアで首位を飾ったのはFacebookだった。海外では新型コロナウイルス流行中、多くの人々が外出を控えたためソーシャルアプリを通して交流するしかなく、ショート動画は人と人との新しいコミュニケーション方法となった。今回TikTokがソーシャル機能を強化することはFacebookを逆転するための大きな後ろ盾となるだろう。
バイトダンスがTikTokを重視しているのは明らかだ。今年の2月からTikTokの人事は絶えず強化され、同社傘下のニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」CEOだった朱文佳氏がシンガポールの開発センターでTikTokの技術責任者となった。続いてスマホ・IoT家電大手のシャオミ(小米)CFOだった周受資氏がバイトダンスのCFOとなり、TikTokのCEOも兼任することになった。
人事面での布陣の完成にともない、TikTokも新しいスタートを切るはずだ。将来的にはショート動画という単一的なモデルから事業範囲を金融、EC、ソーシャルの分野にまで拡大し、多様化した発展を遂げることとなるだろう。
(翻訳・山口幸子)
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