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スマートフォンのアクセサリーなどで人気の「CASETiFY」が、香港の著名実業家の鄭志剛氏が創設した「C資本(C Ventures)」から数千万ドル(約数十億円)を調達した。これはCASETiFY初の資金調達となる。調達した資金は販促、小売チャネルの拡大、他社の買収に充てられる予定だ。
CASETiFYは2011年に呉培燊氏と楊子業氏によって香港で創設された。同社は世界初のオーダーメイドスマホアクセサリーを開発しており、売上高は世界トップクラスだ。CEOを務める呉氏は香港出身で、豪州でデザインを学び、同社を起業する前はテレビ局のデザインディレクターを務めていた。
呉氏は早くからiPhoneの素晴らしさに感服していたが、それと同時にiPhoneに合うスマホケースがないことに注目し、CASETiFYを起業することにした。CASETiFYは当時人気が高まっていたインスタグラムユーザー向けに、ユーザー自身の顔写真をモチーフとしたオーダーメイドスマホケースの販売を行い、一気に人気ブランドに成長した。
今やサッカー選手のメッシ、スーパーモデルのカイリー・ジェンナー、韓国の人気音楽グループBTSがCASETiFYのスマホケースを使用するほどになっている。彼らはSNSにスマホケースの写真をアップロードすることがあり、そのことがCASETiFYの知名度を向上させ、同社の売上高も大きく伸びた。
呉氏のよると、CASETiFYは創業後、毎年2倍以上の成長を記録しており、赤字は一度もないという。現在、同社の規模は年間300万点以上のスマホケースを販売するほどだ。
CASETiFYの最も有名な商品はiPhoneのスマホケースで、ほかにもApple Watchの時計バンド、スマホスタンド、iPadカバー、ワイヤレス充電器、MacBookカバーなどを開発している。これまでの販売品目総数は30万を超える。
同社が売りとする製品のデザインに関しては、オリジナルデザインとコラボをともに重要視する。ディズニーとはこれまで3回のコラボを行っており、ほかにもルーブル宮殿、ポケットモンスター、日本のファッションブランドsacaiなどとコラボしたことがある。
CASETiFYの主な市場は欧米、日本、韓国であり、この3地域での売上高がそれぞれ1/3を占める。販売チャネルは自社運営のオンラインショップで、外部のプラットフォームを利用することはない。この手法によりブランドの統一感を保つことができ、またコピー商品対策としても有効である。
このように人気のCASETiFYだが、価格は決して安くない。iPhone12 Proのスマホケースは定価469〜499香港ドル(約6600円〜7000円)だが、タオバオで販売されている他社製品は最高でも200元程度(約3400円)しかしない。
なぜこれほど高くても売れるのか。その要因としてまず挙げられるのがCASETiFY製品の品質の高さだ。たとえば昨年に発売されたiPhone 11のスマホケースは、衝撃を吸収できる「qitech」という材料を使用したことで、3mの高さからスマホを落としても壊れる心配がない。
デザイン性の高さも高価格で販売できる要因だ。CASETiFYは社内にデザインチームを抱えるだけでなく、誰でも自由に投稿できるスマホアクセサリーデザインプラットフォームを運営している。投稿されたデザインが同社に採用されれば、投稿者は販売数に応じた報酬を受け取れる仕組みだ。
これまでオンラインのみの展開だったCASETiFYは、2020 年から実店舗をオープンしている。1号店は今回出資した鄭志剛氏傘下のショッピングモール内にあり、これまでに出店しているのは7店舗だ。現時点での実店舗売上高は全体の20%を占め、資金調達後は実店舗をさらに出店していく予定だ。
CASETiFYは中国大陸では発売されていないが、購入代行による注文がこの2年間で急増している。呉氏は中国大陸へ進出するため消費者の趨勢を研究している最中であり、C資本の力を借りて大陸に進出する構想を持っているという。しかし、他社製品の2倍以上にもなる価格が大陸の消費者に受けいられるかどうかは未知数である。
(翻訳・小六)
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