ドラマ原作の6割を占めるネット小説 脚本化はAIが担当

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中国の映画・ドラマ業界では既存コンテンツの映像化がトレンドだが、現在増加が顕著なのはインターネット小説を映像化するケースだ。2018〜2019年に放映された人気ドラマ309本のうち、インターネット小説が原作の作品は65本で、全体に占める割合は21%だったが、2020年には60%にまで伸びている。

小説を脚本化する過程は煩雑だ。形式を変更し、セリフやシーンも再構成しなければならない。しかし、こうした作業がAIで代替できるという。

AIを使ったコンテンツ制作を手がける「海馬軽帆(HAIMA QINGFAN)」のサイトでは、「AI執筆」のメニューを選び、小説の本文を「脚本に転換」のテキストボックスに入力すると、ワンクリックで脚本形式にリライトされる。小説の内容を再解釈・再分解・再構成し、重要なシーンやセリフ、動作など視聴覚的要素を加味した脚本へ書き換え,執筆作業を効率化し、所要時間を短縮する。

小説を脚本にリライト

海馬軽帆は 2016 年 11 月に設立された。小説を脚本に書き換える機能は6月にリリースされたばかりで、これまでは執筆素材ライブラリーや脚本の自動評価などの機能を提供してきた。

例えば「脚本形式調整」機能では、脚本を中国式やハリウッド式に書き換えられる。「執筆素材ライブラリー」機能では、キーワードを入力すると関連するエピソードが検索でき、ストーリーの着想に役立てられる。「短編ドラマ脚本出力」機能では、短編動画プラットフォームから近年派生した短編ドラマへの需要に対応する。「脚本自動評価」機能では、劇場・インターネット公開の映画、テレビドラマ、インターネットドラマなどの脚本のデータ分析を行い、潜在的商業価値を評価する。

脚本家が執筆の際にソフトウェアの力を借りること自体は目新しくはない。しかし、ハリウッドで用いられる「FinalDraft」やアマゾンがリリースした「Amazon Storywriter」など、既存のソフトウェアは中国語の執筆習慣にはそぐわない。海馬軽帆の創業者・劉笑逸氏によると、中国市場ではより現地化された執筆ソフトが必要とされている。

AIが創作を行うソフトウェアでは、顧客を満足させる要素として「正確度」の占める割合が大きい。海馬軽帆の製品は、AIがどの程度ヒトに代替できるのだろうか。劉氏によると、AIが手がけた脚本の完成度はやはり原作となる小説そのものの質で決まるという。

これまでの執筆実績

現在、海馬軽帆の創作プラットフォームには5万人以上の登録ユーザーがおり、これまでにサービスを利用した製作会社はIT大手傘下の「アリババ・ピクチャーズ(阿里巴巴影業)」、動画共有プラットフォーム「優酷(Youku)」、中国最大手の映画会社「中国電影集団(China Film Group)」など350社以上で、業界浸透率は約80%だという。これまで取り扱ったインターネット小説は500万本、脚本は8000 本、生み出したドラマは話数にして3万話以上になる。

脚本の自動評価機能では、ストーリー評価、シーン分析、登場人物の関係性などのカテゴリーから合計300以上の評価指標を同社独自のアルゴリズムが構築し、脚本選びにかかる時間を削減。商業展開の基準判断やリスク回避、脚本内容の質評価などを行う。

同社は現在一部機能を無償提供しているが 、製品やサービスの商業化を積極的に進めている最中だ。2018年にはアリババ・ピクチャーズから出資を受けており、さらなる資金調達に向け準備中だという。
(翻訳・愛玉)

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