「中国のテスラ」ファラデー創業者御乱心? 恒大との破談申し立て

中国発の米EVメーカーファラデー・フューチャー(Faraday Future)に出資し、株式の45%を保有する不動産コングロマリット恒大集団の子会社恒大健康産業集団は10月7日夜、以下の内容を発表した。

1:ファラデー・フューチャーは半年で、恒大健康から調達した8億ドル(約900億円)をほとんど使い切った。
2:「元株主」は7億ドルを事前に入金するよう要求してきたが、拒絶された。
3:「元株主」は、恒大が株主として有している出資に関する同意権のはく奪と、全ての協議内容の解除を香港国際仲裁センターに申し立てた。

「元株主」とは、言うまでもなく、ファラデー創業者の賈躍亭氏を指す。

恒大は「当社は協議で取り決めた事項を履行する責任がある。国際弁護士チームに依頼し、恒大が協議で取り決めた権利を今後も保有できるよう、全力で必要な措置を取る」と表明した。

恒大と賈躍亭氏は2017年11月30日、恒大の子会社とファラデーによる新会社(恒大FF)の設立と、出資などで合意した。恒大の香港子会社恒大健康はファラデーの株式の45%を20億ドルで買い受けると取り決め、2018年末までに8億ドル、2019年と2020年にそれぞれ6億ドルを払い込む約束をしていた。恒大によると、今年分の8億ドルは、5月25日に入金したという。

ファラデーは8億ドルを既に使い切り、両者の「ハネムーン」は終わった。恒大の今回の発表を受け、恒大健康の株価は、8日の取引開始時に35%下落した。

手のひら返しの賈躍亭氏

もし香港国際仲裁センターが賈躍亭氏の申し立てを認めたら、恒大はファラデー・フューチャーから全面撤退せざるを得なくなる。

恒大はファラデーとの協議で、「出資同意権」を設定。ファラデーが資金調達する際には、細部にわたるまで恒大に決定権があった。賈躍亭氏は恒大が持つこれら権利のはく奪と、合意内容全ての解除を求めている。既に振り込まれた8億ドルの扱いがどうなるのか、現段階では分からない。

両社に近い関係者は「ファラデーは一番大変な時期を乗り越え、恒大と手を切りたいのではないか。新たな資金提供者を見つけた可能性もある」と指摘した。

ファラデーはEV車の量産体制確立を目指している。不動産企業からの脱却を模索している恒大にとって、最初の目標はファラデー初のEV車FF91の量産化であり、この目標はファラデー創業者の賈躍亭氏も共有している。だが、ファラデーの将来像については、食い違っていた。ファラデーは事業の重心を米国に置いており、賈躍亭氏はその体制を変えるつもりはない。一方、恒大の許家印董事局主席は中国での成長を思い描いている。

ファラデー米国本部を視察する恒大集団の許家印董事局主席(写真中)と恒大FF創業者の賈躍亭氏(写真左)

実際、恒大がファラデーに出資して以降、提携はそれほどうまく行っていなかったようだ。恒大がファラデーにスタッフを送り込もうとしても、かなわずにいた。

初のEV車量産化に遅れも

36Krの記者は1カ月前、ファラデー米ロサンゼルス本部を取材した。

取材に対応した賈躍亭氏に近い人物は、「恒大とファラデーは家族だ。賈躍亭は車のことをよく分かっており、許家印は豊富な資源を持っている。皆で同じ目標に向かって進んでいる」と語った。

ただし、双方の協議の詳細について、ファラデー側は賈躍亭氏と一部の側近を除いて、知らなかったようだ。

別の報道によると、賈躍亭氏はファラデーの評価額を80-100億ドルと考えていたとも伝えられる。実際には、ファラデーは20億ドルで株式の45%を恒大に譲渡した。

ファラデー米国本部

8月28日、ファラデーのハンフォード(カリフォルニア州)工場で、同社初のEV車FF91がのラインオフした。一方、ファラデーの大株主となった恒大健康の株価は、上昇を続けた。ファラデーへの出資前に398億香港ドルだった時価総額は、1206億香港ドルに膨れ上がった。

賈躍亭氏の自動車製造という長年の夢は、紆余曲折を経ながらも、恒大という協力者を得て実現に近づいた。許家印氏も賈躍亭氏の夢を支えることで、想定より大きな評価を市場から得た。

香港国際仲裁センターの審判結果が出るまでには時間を要する。賈躍亭氏の申し立てが認められるかは不透明だ。もし、ファラデーが恒大との関係を断ち切れば、ファラデーのEV車量産化が遅れる可能性もある。

賈躍亭氏の今回の行動には、さまざまな憶測が飛び交っている。ともあれ、許家印氏は自動車メーカー転身するために、既に相当な資源を投じており、簡単にファラデーを手放すとは考えにくい。それは賈躍亭氏も十分承知だろうが。
(翻訳・浦上早苗)

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